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ぽふむん
2025-11-01 22:37:34
1365文字
Public
ワンドロ
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仮面の男
#童しの版深夜の真剣物書き60分一本勝負
「仮面」「種子」
氷柱ifのつもり
元ネタというか発想元が、昔の映画「仮面の男」です
アンヌ王妃とダルタニャンの不義の子が実は双子で片方は王、片方は仮面をつけられ地下牢に幽閉という筋でした。
でも現実には「人としての愛をもらえず」「陽の光を浴びず」「動かない」と、どんな健康体に生まれたとしても成人どころか学齢期になる前に死んでしまうそうで⋯
双子のどちらが兄かは明治以降のそれに準拠してます。
しのぶは禁足地と呼ばれる場所の奥深くに足を運ぶ。
そこには小さなお堂があった。
小さいとはいえ、独り身のものなら生活ができそうなほどしっかりした作りだった。
中には阿弥陀像以外には何もない。
と、思えばその像に隠されるようにして地下に続く道への扉があった。
重い扉を開き地下へと進むと、座敷牢と思しき間があった。
そこによく見知った広い背中が見えた。
事前に聞いていた。
童磨が幼い頃より、親から教え込まれていたことをしている最中だ。
親の業を受け止めるお役目だ。
背中越しに見えるものは髑髏。
いや、幼児の即身仏だ。
それに対して、童磨は何やらブツブツ語りかけている。
「兄上⋯今日も俺が髪を梳いて差し上げます⋯ああ、そんなにお怒りなさいますな。上のものは下のすることにいちいち目くじらを立てぬもの⋯そう、母上からよぉく仰せつかってます」
そう
この即身仏は、童磨の双子の兄。
生まれ落ちたとき、双子では教主の御子として人聞きが悪いと片方が隠された。
この隠された子は、童磨より瞳の色が蒼かったそうだ。
虹ではなかった。
童磨より、少し茶色の濃い髪色だったそうだ。
たったそれだけ。
母体から後に出た方が神の声の聞こえるに違いない子と優先された。
時を同じくして産まれた片割れは、地下の座敷牢に幽閉された。
勝手な大人の思惑で。
これだけでも吐き気がするのに、それだけにはとどまらない。
童磨の母は処女だったという。
先代教主との間に夫婦のつながりのない身通女。
そんな馬鹿な話はない。
そんなことぐらい、嫁入り前とはいえ医学に通じた娘であるしのぶは知っていた。
異国の教えにそんなものもあるが、あれは多分⋯おそらく
宗教が生まれるほど、必要なほど荒廃した地域、時代だからこその“そういうこと”だろう。
童磨の母の場合も多分に漏れず。
無理矢理というものではなかっただけ。
お互い合意の、夫以外の男の種。
跡継ぎを授からねばならぬという周囲からの軋轢。
夫は指一本触れようとしないというジレンマ。
事実かどうかは知らないが、古来にもそういう例があったという、自分への言い訳と側近の教唆。
これらが複雑に入り組んで⋯ついに夫が長期の不在の間に過ちを犯した。
夫も、赤子がこの世に生まれ落ちるまでの月日がどのくらいかぐらい知っていた。
どのようにして女の腹に種が蒔かれ、実となるかぐらい知っていた。
その後は⋯
それらの大人の罪を、作り笑いという仮面を被り、受け入れ償い続けた子どもがいた。
すっかり体は大人になったが、心は子どものまま。
親の罪を償い続ける子どもが一人。
「兄上も大人になっていれば、さぞ立派な体躯に恵まれ⋯あれぇ、来たの?」
足音に気づいて、童磨が振り返った。
そこで気づいた。
もう一つ髑髏がある。
髑髏の方は大人。
女のようだ。
あれは埋葬すら許されなかったという、童磨の母だろう。
しのぶは少し怯んだが、気を取り直し童磨の両頬を思いっきりつねった。
「あなた、今はここの教祖でしょう。親の指示ではない。あなたの権限で埋葬しなさい」
痛い、痛いと悲鳴が上がるがそんなことはお構い無しに「わかった」という返事が返って来るまでつねり続けた。
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