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幸希(ユキ)
2025-11-01 06:25:43
1607文字
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ハロウィンのイタズラ
仮装大会終わったあと
マジであれは無理。死ぬ。
「え、これおジャミの妹の服じゃん。」
水心子から渡された服を着てみれば、某捻れた魔法の世界で私が気に入っているキャラクターの妹のものだった。
「てか今回衣装誰が作ったんだろ。」
来派と伊達組主催で行われた仮装大会。衣装を作った刀がいたはず。大方手伝いに入っていた長船辺りだとは思うけど。
鏡で着崩れていないかチェック。うん、なかなかいいのでは?
「水心子ー、着替えたよー。」
着替え終わって、待っているはずの水心子に声をかける。
「おん、開けるぜよ。」
「!?」
だけど返ってきた声は水心子のものではなくて、先ほど汚い悲鳴を向けた彼のもの。
「ちょ、むっちゃんま、えええぇぇ!?」
先ほどは所属する寮の寮服だった。いやあれだけでも破壊力抜群なんだけども、それ以上に、今着てるものに心底びっくりした。
「それ故郷イベで着てたやつ!何で!?」
「あれにしか妹出んろう。寮服と私服とじゃあアンバランスやき着替えた。」
「サービスが過ぎてそろそろ死にそう。てか水心子は!?待ってるって言ってて
…
」
「主の『待って』に返事はあったかえ。」
必死に記憶を遡る。てっきり思い込みで返事をされたと感じていたけど、もしかして
…
「して
……
ない?」
「ようよう2人になれた。」
ぎゅっと抱き締められる。いやいやいや待て待て待て。
「むっちゃん本当にダメ。私死んじゃう。」
「もう待てん。うろたえて逃げ惑うおまさんも可愛らしかったけだ、そろそろお預けも限界じゃ。」
「かわっ
…
!?」
さっきよりグッと減った露出。それでも、袖や襟周りから覗く健康的な肌色。一気に心拍数が上がる。
(待って本当に無理かっこいいんだってば!!)
「おまさんの姿も見せてくれんかえ。」
「え、あ、うん
…
。」
1歩離れてくるりと回って見せる。
「
…
どう?」
「こじゃんと可愛い。わしと対になっちゅうのが堪らんにゃあ。」
「うん
…
。」
きゅー、っとむっちゃんの眦が下がる。とろりと声が甘くなる。好きで、好きで、その想いで溶けそうな程に熱の籠った視線と声。それが恥ずかしいやらいたたまれないやら。
「見ないで
…
。」
「どういて?よう似合うちゅうよ。」
「
………
むっちゃんの熱に当てられそうなんだもん。」
ぽつりと零れ出た本音。ドキドキしすぎて、その上熱っぽい視線を向けられて、平常心でいられるほど朴念仁じゃない。
「おまさん、げに、まっこと、可愛いのう。」
ぎゅうっと抱きすくめられる。
「のう、主。」
「
…
なぁに。」
「トリック・オア・トリート、じゃ。」
「
………
飴もうないよ。」
短刀達や脇差達からのイタズラ回避で用意した飴。最後の1人が来た時、ちょうど空になってしまった。
「ほうか。」
「うん。」
「それじゃったら、イタズラ、じゃな。」
すり、と耳を撫でられる。ビクッと背中を跳ねさせれば、宥めるように撫でられた。
「何をしちゃろうかにゃあ。」
「お願いだから手荒いことしないで私の心臓が止まっちゃう。」
「わしがおまさんにがいな事するはずがないろう。可愛がるだけやき、安心しとうせ。」
楽しそうにククク
…
ッと笑うむっちゃん。ああもう、逃げ場なんてどこにもないじゃんか。
「じゃあ
…
」
「ん?」
「じゃあせめて、とびきり優しくして。一応仕事帰り
…
なんだし。」
悪あがきでそうお願いしてみる。言うだけならタダだしね!そう思ってむっちゃんの顔を見上げた。
(あ、ダメだこれ。)
さっきより熱の籠った目。精悍な顔つき。背中に回される腕の力がどんどん強くなっていく。
(墓穴掘った。)
「わしは掌中の珠は傷つけんと決めゆう。足るばあ愛しちゃるき、安心してわしに身を委ねや。」
明日も仕事あるから加減して、なんて二の句は告げられず、龍の
腕
かいな
に収まるしかなかった。
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