うすねず
2025-06-26 16:33:16
1328文字
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へるころへる!夏!水筒!回し飲み!

タイトル通り!以上!
いつかちゃんと清書したいですね

明日から夏休み
クラスメイトの多くはこれから遊びだバイトだと賑わっている。

「僕はちょっと用事があるから」
これからカラオケだボウリングだと盛り上がるクラスメイト達に背を向け、駅とは反対方向へ歩いていく殺死杉。はじめはゆったりとしていた足取りは徐々に急かされるように速くなり、周囲に人影がなくなる頃には全力疾走へと変わっていた。
殺死杉が向かっているのは『――県立勉強の強はあらゆる意味での強さを表している高校』を取り囲む山々のひとつ。
その麓にある『良縁が欲しくば円を納めよ神社』の裏手に少し開けた場所がある。新年や祭りの時期でもなければ鬱蒼と生い茂った林を越えてまで訪れる人は少ない。そこは殺死杉と地獄虎の秘密の練習場所であった。


特訓後


ボロボロのしめ縄が回された大樹の根に二人揃って腰掛け、息が整うのを待つ。
ざあざあと木々を揺らす風が心地よかった。
「謙信っていつも水筒だよな」
「うん、冷たいのが好きなんだ」
「重たくねえ?」
「慣れてるから」
「ふーん」
そう言う地獄虎はいつもペットボトル飲料を飲んでいた。今日はこの運動を見越してか、青いラベルのスポーツ飲料を持参していた。
地獄虎が放置されてぬるくなったペットボトルを煽り、殺死杉もそれにならう。
カラン、コロン、と殺死杉の水筒から涼し気な音が鳴る。

「あ、」
地獄虎の持つペットボトルが空になっていた。
「もう1本買っておけば良かったな」
「今日は暑いからね」
殺死杉の水筒は大きめで、まだ中身にも余裕があった。
「地獄虎も飲む?」
「お、いいの?」
だから、特に深く考えず水筒を差し出した。
さんきゅ、と地獄虎手を伸ばしてきた時、いつかの会話を思い出した。
曰く、誰かが口をつけたものを口にする奴の気がしれない、仲間内のまわし飲みが気持ち悪くて仕方ない。
「ま、しょうがないけどさ。躱すのも面倒になるくらいそういうのが多いから」
そう、いつもの屈託のない笑顔で語っていたのを覚えている。
慌てて手を引っ込めようとしても、地獄虎はすでに殺死杉の水筒を手にしていた。
地獄虎の唇が水筒の飲み口に触れる。つい先程まで全く同じ場所に殺死杉は口を触れさせていた。
(あ、これって、間接キスだ)
頬に血が上る気配がする。顔の赤さは暑さに紛れてくれるだろうか。額から流れ落ちた汗に目をしばたたかせた。
広く開いた喉元で褐色の喉仏が心地よさそうに上下する。
その動きが、なぜかやたらと目についた。今麦茶を飲んだはずなのに喉が渇く。
カラン、と氷の音が鳴った。
「嫌じゃ、なかったの」
「ん?」
一際大きく蝉の声が響く。
息を詰まらせながら差し出した言葉は急な蝉時雨にぶつかって消えた。
「ありがとう。やっぱ冷たい方が美味いな!」
「そう、だね」
屈託なく笑う親友に殺死杉は同じように笑みを返す。
差し出された水筒を受け取った時に指先が触れた。ますます頬が熱くなり、木々の影に紛れて気付かれていないことを願う。
「ねえ、帰りにアイスでも食べようか」
「いいね、珍しいな?謙信から言い出すなんて」
「たまにはね」
二匹の怪物はまたじゃれ合うように歩き出した。
明日もきっと、暑いだろう。