桐谷リベル
2025-10-31 17:59:23
1509文字
Public
 

月下に実る恋の果実

ハロウィンにかこつけたリンゼル話です。ハロウィンほとんど関係なくイチャついてます。100年後時間軸ですが、時期はハッキリ決めていません。

「リンク、今日はハロウィンです!トリック・オア・トリート!」

青いローブとつばの広い帽子を被ったゼルダが、帰宅したリンクにニコニコと両手を差し出した。なんの事だかわからず、リンクはゼルダの手と顔を交互に見て首を傾げる。

「トリック・オア・トリート?ハロウィン、ですか?」

100年の眠りから覚めたリンクは、未だに記憶のところどころが欠落している。それはエピソード記憶に限らず、知識や常識なども抜け落ちているものがあった。ハロウィン、というものが何かはわからないが、イベントごとであるらしいのは、ゼルダの様子から察せられた。
リンクが困惑していると察したのか、ゼルダがハッとして眉を下げる。

「ごめんなさい、リンク。私、リンクの記憶のことをすっかり忘れて舞い上がってました。未だ完全ではないとリンクから聞いていたのに。」

「ゼ、ゼルダが謝る事ではありません!おれが記憶を早く取り戻してないのが悪いんです!」

しゅんとしたゼルダに、リンクは慌てて両手を振った。

「その、よかったらゼルダがハロウィンの事を教えてくれませんか?出鼻は挫いちゃったけど、ゼルダが楽しみにしていたイベントをおれも一緒に楽しみたいです。」

リンクのその言葉に、落ち込んでいたゼルダが顔を上げる。ぱぁっと笑顔を咲かせ、ハロウィンについて語り始めた。

「〜ですから、元々は悪霊から身を守り追い払うために仮装をリンク?聞いてますか?」

(一生懸命説明してくれててやっぱりかわいいな、魔女みたいな格好も似合ってる。おれのゼルダ、すっごくかわいい」

「ふぇっ!?」

ゼルダの驚いたような悲鳴とともに説明が止まる。あれ?と思ってゼルダを見ると、口元を両手で押さえて顔を真っ赤にしていた。

「どうしたんですかゼルダ、顔真っ赤も、もしかしておれ、声に、出してました?」

原因に思い当たったリンクが恐る恐る聞くと、ゼルダは顔を真っ赤な顔を両手で隠しながらこくりと頷いた。途端にリンクも顔が熱くなる。きっと耳の先まで真っ赤になっているだろう。目の前にいるゼルダもそうなのだから。

「あ、あの不敬、でしたね申し訳ありませ」

「ふ、不敬なんかじゃありません!」

ゼルダが真っ赤な顔のまま声を張り上げる。

「わ、私、私はリンクにそう思って貰えたとわかって嬉しかったのです!好きな人にかわいいと褒めてもらえて嬉しいに決まっているではないですか!……あっあのですからその

勢いを失って尻すぼみになって行く言葉。リンクの言葉が嬉しかったのは事実だが、大切なリンクに告白してしまった事に気付いたゼルダは恥ずかしくなってしまい、そのまままた両手で顔を隠して蹲ってしまった。
羞恥に見を縮こまらせるゼルダに、リンクも伝染して更に照れてしまう。

「ゼルダ顔を見せてください。ゼルダの顔、見たいです。」

ゼルダの両手を取ると、りんごのように真っ赤なゼルダの顔が出て来る。リンクは自身の顔も同じりんご色なのだろうなと思いながら、ゼルダの目を真っ直ぐ見て告げた。

「ゼルダ、とってもかわいい。魔女の仮装も似合ってるし、一生懸命説明してくれたのもかわいかった。先に告白されちゃったのは悔しいけど、俺も好きだよ」

そのまま抱き締めると、ゼルダはおろおろと両手を彷徨わせながらもリンクの背中に腕を回して抱き返した。

「ゼルダ、おれたち、両想いで嬉しいです。」

「私も私も嬉しいです、リンク。」


実りの月の最後の日の夜、新たに誕生した恋人達を祝福するかの様に星が瞬き、細い三日月がハテノ村を見下ろしていた。