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syanpon
2025-10-31 02:50:40
1394文字
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不器用な恋を眺めて愛をなぞる
オトスバサンド
誅せずの軸のその後
愛している友人の誕生日を間近に控え、その日はオットー・スーウェンにとってめでたい日の前哨戦になるはずだった。
普段なら用のない百貨店の方にまで足を伸ばし、恋人になった目つきの悪い男へのプレゼントを探しにきたオットーは柄にもなく浮かれていた。
――
オットーが調子に乗ると基本的にあまりいいことが起きないのが悲しいかな20数年の人生から学んだ経験則である。
「げ」
「うわっ」
……
どうやら本日の浮かれの代償は会いたくない人間に会うことだったようだ。
***
目的は同じであるが同じものは贈りたくないのが真理である。
二人揃って顔を顰めたあと、示し合わせたかのようにくるりと互いに進路を変えた。もしもここにスバルがいたら「仲良しじゃん!」というしどちらがスバルを連れて行くかで喧嘩が起きている。
オットーは男のことは忘れようと頭を振り目的の店に足を運ぶ。そうしてほんの少しいい値段の(スバルが値段を知ったら返してきなさい! というくらいの値段の自覚はある)万年筆を包んでもらい微笑んだ。
「あとはナツキさんの好きそうな消え物のお菓子を買って誤魔化しますかね
……
」
大事に包装してもらった袋を携えながら歩いていると見たくなかった姿をもう一度発見してしまいオットーは固まる。
会いたくなかったのも理由ではあるのだが。
「これください。ああ、あとこれも。はい、贈答用で」
「ちょちょちょ」
「
……
なんですか」
革の財布にキーケースに手帳カバー。プレゼントが決まらなくてたくさん買いがちなのはわかる。ただ量が量だ。男の両の手には目視だけで5つ以上の袋がぶら下がっていた。
「え、あの。間違ってたら悪いんですけどそれ全部ナツキさんへの誕生日プレゼントですか?」
「はい。わからないので良さそうなものを端から順に」
「端から順に!?」
このフロアはそこそこ値段が張るものばかりだったはずだ。オットー自身自分が結構重たい男であることを自覚し始めているが目の前の男も大概重たい。ついでにこれよりかはマシだと叫びたくなった。ナツキさんやっぱりこいつやばい男ですよやめといた方がいい。
オットーの一人百面相には興味がないのか男は表情をかけずにワインレッドのシャツの袖をつまんでなおす。
「お金は使ってないからありますし。あの人の好きなもの、僕しか知らないので
……
」
「ナツキさんに好かれてるのお前だけみたいな言い方しないでもらえます? はあ」
「おや、どちらに行かれるんですか? このあとお茶でもどうです?」
「そんなつもりないくせによく言う。靴屋に行ってナツキさんが欲しいって言ってたシューズを買おうかと。
……
ああ、なんかすみません。僕しかナツキさんの好きなもの知らなくて」
つい、男につられて煽るような言葉が出てしまう。
男が恋しているのは流されやすくてどうしようもなく傲慢なオットーの愛した少年だ。
愛に臆病で恋に自罰的なスバルには重たいくらいの方がちょうどいいのかもしれない。オットーの挑発的な言動に男はぱちりと目を丸くする。
「なんです」
「いや、スバルさんに好かれているのに気がつかなかった贅沢な人が言う言葉は違うなと」
「あんたはそこにつけ込んだんだからお互い様ですよ」
嗚呼、やっぱり僕だけにしておけばいいのに!
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