三毛田
2025-10-29 21:25:41
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60 060. 僕が君を見ていたように

60日目
君も俺を見ていたと知る

 丹恒を観察していると、時々目が合う。
 資料室にいる時は、本当にたまーに。横目で俺がいることを確認し、何も言わずに作業をしてるけど。
「俺が見る時、丹恒もまた俺を見ているのだ」
「アンタ、騒がしいもんね~」
 ノーベリージュースを飲んでいるなのの前でそう言ったら、呆れられた。
 彼女は時々、俺や丹恒を弟扱いする。どう見たって、俺のほうがお兄ちゃんだろ?!
 なんて言っても、扱いはさほど変わらない。というよりも、俺もなのも冷徹な蒼龍様の前では等しく弟妹扱いされている気も。
「なのだって、変わらないだろ」
 フィナンシェを口へ放り投げてから、指先を舐め。今度はココア味のマドレーヌを。
「オマエたち、足りているか?」
 ノーベリージュースを飲み終えて、紅茶を飲もうと手を伸ばしているとパムがやってきてそう問うてくる。
「うん! 車掌さん、いつもありがとう」
「乗客たちが満足できるようなサービスを提供するのが、俺の役目じゃ」
 車掌なのに? って突っ込まない。
 ずっといるらしいパムだからこその、おもてなしというやつだろう。
 俺としては、おいしいものを食べられるのならば今のところはそれでいい。
「ところで。客室車両の方に行こうとしてるけど、どうしたの?」
「姫子もヴェルトも今は自室におるからな。そろそろ休憩させないといかん」
「なるほど?」
 なのは理解してるんだかしてないんだか、よくわからない声を出す。
「パム、俺が代わる」
「よいのか?」
「丹恒の分もあるんだろ?」
「それはもちろん」
「あいつが素直に食べるとは思わないからさ。それに、パムにはまだやることがありそうだし」
「それなら頼もうかの。夕食の支度に取りかかりたいと思っていたんじゃ」
 素直に頷き、俺にワゴンを託してキッチンへと向かっていく。
「というわけだから、なのとのお茶は終わりだ」
「残念。ウチはもう少しここでくつろいでから部屋に戻るよ」
「じゃ、また夕飯に」
「うん」
 手を振って別れる。
 まず、姫子とヨウおじちゃんにおやつをお届け。二人とも手を止めて美味しそうに食べていた。
 後でパムに報告しないと。
「丹恒、入るぞ~」
 ノックをして、どうぞ。という声を聞いてから入る。
「穹か。どうした」
「パムから預かってきた。今日のおやつ。糖分補給にどうぞ」
「そうか。休憩にしよう」
 伸びをしてから、俺から皿を受け取り。口へと持っていく。
「ああ、美味いな」
「だよな! 俺も好き」
 ニコニコと告げると、優しい笑みを向けてくれた。