haruon1018
2025-10-29 14:21:00
1890文字
Public ヘクマン
 

春よ来い早く来い

社会学部のヘクトール教授✕院生マンドリカルドの話をモブ姉妹が語るだけ
本人達はほぼ出てない。
https://x.com/Haruon1018/status/1982658376489480397
の一部をSSにしたもの
※マ君に片思いしていたモブ女子が出ます(名前なし)
大学についてはあやふや知識で描いてます。多分部屋は三つもないとは思いますが、たぶんモブ村の部屋も使ってる
(マ君の四年生までのゼミ教授)

「お姉ちゃんうちの大学の七不思議って知ってる、」
「七不思議……どうせあれでしょD棟三階の女子更衣室から時々不気味な笑い声が聞こえるとか」
「何で知ってるの」
「妹よ、姉はもう四年大学に通っている。云っておくけどその更衣室にいるのは、」
 彼女たちの名誉のために妹には教えないが、D棟三階の女子更衣室にいるのは夏冬に命をかける女子達の語り場になっている。
 姉妹が通う大学はAからFまでの棟に分かれており食堂や大講堂のあるA棟、あとは、文学部、社会学部、経済学と専門学部の教授のゼミ室や講義のための教室がある棟に分かれている。
 大学というのは高校までとは違い、同学年が一緒の授業を受けることは少ないが一年次の必須科目はどの学部も同じなので、こういう噂が流れやすい。
 この噂も早ければ夏、一年も経てば正体が分かるか主が卒業するので自然と消えては、また新しい不思議が産み出される。
「そうだよね、ならこれはヘクトール教授の講義にしか出ない謎の男子学生」
……えっなに七不思議にされてるの!」
「お姉ちゃん?」
「いやその話は知らなかったな……
「されてるって云ったのに? まぁいいや、どの学部の子に聞いてもいないって云うから不思議でね、一部では単位を落として彷徨っている怨霊とか云われている」
 怨霊ではなくオタクなだけだ。付け加えるなら学生ではなく院生である七不思議の主は、ゼミの先輩、マンドリカルドだ。
 自他共に認める社会学部のヘクトール教授の、熱狂的なファンである彼が、まさか講義にまで潜り込んでいるとは思わなかった。
 そういえば以前、ヘクトールがいるから大学に入ったのに入れ違いで彼は官民一体の町おこしプロジェクトに呼ばれたと酒の席で聞いたことがある。
 ならば戻ってきて一年目のヘクトールの授業を聞きたいと行動に出ても彼なら可笑しくはない。
……怨霊ね、」
「ねぇ~教授の課題厳しいし、採点辛いから無理もない、と言うわけでお姉ちゃん課題手伝って、」
「自分でやりなさい、どれ……ああこれ、モブ田ならここまでの内容求めてこなかった」
 モブ田はヘクトールが戻る前にいた社会学部の講師で、幾つか必須科目を受け持っていた。
 優しい友人、人の良い先輩がいれば楽々単位が取れた科目はいまや、生半可なレポートは受け付けて貰えず、仮に受け取って貰えても詰めが甘いと突き返される。
 それはゼミ生も同じだ。
 姉妹揃って阿鼻叫喚、難攻不落を味わうとは。
 けれど単位目的のレポートは講義内容と参考文献を理解していれば、合格点は貰える。
 いくつかアドバイスをすれば妹が拝み始めた。
 別に拝まなくとも良い。卒業論文はこの数倍は厳しいと云えば心配されたが上には上がある。
 教授の愚痴とはいえ、皆それが己のために時間を割いて読み込み時にはアドバイスしてくれる。
 なので冗談交じりにゼミ室で喋っていれば、ヘクトールの三つある部屋の一つラボと呼ばれる部屋から戻ってくるなり、にっこりと笑っていた。
「院生の論文はもっと辛口だけどな、ああ××の論文ってどこに載っていた」
 資料豊富なヘクトールの書斎に潜り込むマンドリカルドを見て、ゼミ生全員声には出さなかったが「顔と表情が合っていない!」とツッコんだ。
 あとから雑誌に掲載された論文はなるほどと思わせる内容で、プレゼンも成功したようだ。
」「髭はダンディーなのにね、」
 確かに栗毛の髪と髭は男らしいく、採点は辛いが人の良さそうな顔は女性受けする顔立ちである。
「年の差幾つあると思ってるの、」
「大丈夫そういう意味じゃないから、どちらかといえば怨霊の方が好みかも」
 普段はシニカルな笑いだが、ヘクトールの話や本人を前にするとその顔は一気に華やぐ。
 黒髪と短い眉、噂では元ヤンとかなんとかと聞いたことがある。
 確かにゼミのレクリエーションで行ったバッティングセンターでは、バッドの持ち方は様になっていた。
……その怨霊の正体知りたくない?」
「お姉ちゃん知ってるの、」
「まぁね、明日ゼミ室に行けば会えるわよ」
 そしてわかるわよと姉妹だから同じ男に惹かれたのかそこまでは分からないが、傷は浅いうちが良いと思ったのだ。
 愛おしい人を前に、華やいで艶めいて、言葉を待っているなんて恋する少女と一緒じゃないの。
 だからさっさと幸せになってとただ願うしかない自分はなんていい女なのだろうと思うのであった。

 コレは余談になるが傷つくどころかD棟に仲間入りした妹に強いと思えるほどには、失恋の傷は癒えてたようだ。