ortensia
2025-10-29 12:55:22
1200文字
Public 傭リ
 

機械開発が出来る傭×完全機械(アンドロイド)邪眼さんのえすえふふぁんたじ〜。ちょびっつみたいな話。

アンドロイドは電子回路の恋をするか?

 アンドロイドの電子回路は恋心の負荷に耐えられるか。
「耐えられません。」
 精巧に造られた人工皮膚を悲痛に歪ませる、ホストリッパータイプのイーヴィルアイナンバー、アンドロイドだ。
「おまえの行動で一喜一憂するような電子回路の負荷、もう無理です。」
 本来機械人形に痛覚はない。ただ、それを外部表示、つまり表情に反映させることが可能であり、人間にそう見せる機能が付属している。そんな程度だから、ましてや心因性なんて。
「おまえという外的要因をこちらの電子頭脳で判断した、結局は内的要因に過ぎません。」
 それをセルフスキャニングで良く分かっている機械人形は、そのスキャニング結果を弾き出している。
「だから。わたしの記録をリセットしてください。」
「それは。」
 だから、こんな結論に達してしまったのだろう。
「そうでなくとも、回路が焼き切れてショートしますよ。」
 そこで悲痛な顔のまま、不敵に笑って見せた。器用な男だ、アンドロイドのくせに。アンドロイドの自死とは。死とはなんだろうか。心とは。
 それだって、今この機械が言ったように、人間であるこちらがそれを心だと感じる内的要因によるものに、過ぎない。
 そしてこの機械が不調を、この男自身がこうまで訴える迄に、既に何度も動作不良を起こして、その度に丁寧な調整も行なっている。それでも回路の消耗が激しく、パーツ交換、改善改良、復旧回復と負担軽減のアップデートをしても、追い付かず、このザマだ。強制スリープ、自己シャットダウンしては、本当に記録が消えかねない。
……分かった。」
 ある日突然消えてなくなるよりも、自分がそう思ってそうしたようになるように、自らでその命を断つことを選んだ。命、なんて。
「お願いですから、バックアップは取らないで。」
……良いぜ。」
 アンドロイドは安心したように笑った。
 かくして今は、邪眼には新しい別の電子頭脳が入っている。言われた儘にリセットするのではなく、一新したのだ。
「せんせえ。きょうはなにをしてあそぶんですか?」
「そうだな。工作はどうだ?ほら、ここの廃材なら使って良いから。」
「わぁい。」
「傷を負わないように気を付けろよ。」
「だぁいじょぶですよぉ。わたし、あんどろいどなんですから!」
「気を付けろよ?」
……はぁい!」
 暫く一人遊びと言う名の学習をさせる。
 その間に私室の奥にある隠し部屋に入り、薄暗いそこを見回す。
 先日取り外したばかりの電子頭脳が、そこにあった。
 そしてその横にずらりと並んだのは、同じく幾つもの電子頭脳。部屋中にびっしりと鎮座するそれらは、どれもこれ迄邪眼の中にあったもので、どれも邪眼自身が負担を感じて、こちらで摘出したものだ。
「バックアップは取っていない。」
 約束は守っている。これらはバックアップではなく、オリジナルのデータに違いない。


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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。