ortensia
2025-10-29 11:20:26
1278文字
Public 傭リ
 

探偵×殺人鬼の謎時空傭リ。

探偵として公認で傭が粘度のあるリのstk…

「おまえ、わたしのこと好きなんでしょう。」
「え。」
 湿っぽい夜。この辺りは曇り空が定番で、月夜が街を照らすことは滅多にない。加えてメインストリートを外れれば暗さも倍増す。犯罪の温床だ。夜は鬼の身方らしい。そんなものが毎日、日暮れ毎にやって来る。血の色は宵闇に良く溶ける。まるで絵の具のように。
 探偵はあくまでも民間組織だが、警察と協力してはいけないなんてルールはない。ましてや元は軍に居たとなれば、少しは警察との仕事も入って来る。
 第一、今は地域内で部署争いなどしている場合ではないのだ。その地域内で犯罪が起こっているのだから。それも、競い合うように解決する時間も、とうに終わった。捕まらないのだ、殺人鬼が。仕事をこなせない上、自ら揉め事を起こす余裕などない。
 警察と民間の違いは、公共を謳っているぶん堂々としていられるが賄賂は御法度、民間なら個人的な付き合いで一方的な嘘もつく。特性が違うから、活かせるものもある。
 そんな中で協定を結んだ先の目標を、直接追い込んだのは、今対峙している探偵が先だった。
 現場に居合わせ、流るる血が時間を物語っても、相手が自分に言っている意味が分からなかった。
「わたしのお手紙、声名の予告状を、証拠の共有として預かっているの、まだ警察に返していませんよね?それ、新聞社に宛てたもので、貴方用ではないのですが。私物化していませんか?」
「そんなことは……。」
「犯罪捜査に、現場を往復するのは良いです、舐めるかのように血飛沫の掛かった壁や地面に顔を近付けるのも、まあ、良いでしょう。」
……。」
「棄ててあった折れた絵筆、犯人の、わたしのものだと思ったのに、探偵さんあなた、警察に何も言っていませんね?」
「それは。」
「近隣住民への執拗な聞き込みも、殺人鬼のほうが怖くて誰も言いませんけど、あなた、鬼の形相ですよ。平和と正義のしもべ、って言うより、対象への執着心が目立ちます。」
 返り血を浴びた仮面が呆れたように見て来る。
 目の前に対峙している今、恐怖ではない緊張感が込み上げ、胸を熱くする。
「ねえ、おまえ……
 指先に震えを走らせる程に。
「わたしのファンですね。」
「え?」
 最初に言われたことと似た調子で言われたが、それより拍子抜けした。
「探偵なのに犯罪者に憧憬を抱くなんて、認めたくないのでしょうが。」
 好きだろう、って、そう言う意味のことか。
「わたしに直接辿り着けた記念に切り裂いてあげましょうか?男は趣味ではありませんが。怪我をしていれば、わたしを逃しても健闘したと外聞も良いでしょう。」
 殺人鬼は、初めにこちらが証拠を私物化していると指摘した割に、本人は堂々と隙だらけでそこにいる。
 警察は先程ここを巡回したばかりで、まだこれから一周して引き継ぎ交代をしなければならないため、時間はある。
 さて。
……だったら、もっと姿を見せてくれないか?街頭の下に晒されてくれとは言わないから、もっと目の届くそばに。なあ、殺人鬼さん。」
 街は平和と正義を取り戻せるだろうか。


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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。