ugatuno
2025-10-28 00:18:50
732文字
Public 二次小説
 

その心臓は世界のかたち 単発話数 その1

弱ってるジペとお見舞いに来てるラ
ランジンに見えるかも?

……会長、来てたの?」
カーテン越しに声をかけられて、ラントは一瞬だけ固まった。
いつものジンペイの声と、少し違った。
少し掠れていて、抑揚も低くて――
まるで、別人みたいに落ち着いて聞こえた。
……ああ。様子を見に来ただけだ」
「そっか……ありがと」
小さく笑ったような気配。
けれど、ジンペイは目を閉じたままだった。
「会長さ、寝る前にこうやって誰かの様子見に来るタイプだよな。昔から」
……そうだったか?」
「うん。俺が気づかないふりしてただけかもだけど」
妙に、言葉が静かだった。
突拍子もない冗談もなく、目も合わせず、ただ穏やかに話してくる。
その静まった空気に、ラントは一瞬だけ気圧された。
……具合はどうだ?」
「んー……まあまあ。……悪くはないけど、よくもないってやつ」
そう言って、ジンペイは小さく息を吐いた。
ほんのわずかに、胸が上下するのがわかる。
……なあ、会長」
「なんだ」
……俺がさ、しばらく寝たきりでも、笑ってくれる?」
ラントは、言葉を失った。
「“お前はそれでもヒーローだ”って、まだ言ってくれる?」
ジンペイの声は穏やかで、でもどこか、誰かに縋るようなものがあった。
……言う。言うに決まってるだろう」
ジンペイはふっと笑って、目を開けた。
その瞳は、わずかに潤んでいて――ラントの喉奥に、何かが引っかかった。
……ありがと。……なーんか、変なこと言ったかも。ごめん」
……謝るな」
静かに、ラントは言った。
……そういう時は、素直に頼っていい」
その返事を聞いて、ジンペイは再び目を閉じた。
……じゃあ、ちょっとだけ、甘えとくわ」
それは、普段のジンペイからは想像もつかない、柔らかい声だった。