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三毛田
2025-10-27 22:36:46
1093文字
Public
1000字5
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58 058. 溢れ出た涙は悲しみではなく
58日目
嬉しい時にも流れるもの
「あ」
列車に戻ってきて、深呼吸したら。ポロッと涙が零れ落ち。
「ちょっ、丹恒?! やっぱり、何処か怪我したんでしょ!?」
「いや、違う」
三月の言葉に、否定しても涙が止まらず。
「姫子、ヨウおじちゃん! 大変!!」
「呼ばなくていいっ」
慌てて止めるも、すでに遅く。
姫子さんとヴェルトさんがやってきて、頭のてっぺんから爪先まで確認された。
「怪我はなさそうね」
「よあったぁ」
姫子さんの言葉に、三月はほっとしたような声を出し。
「でも、突然どうしたの? 怪我はなくても、どこか痛かった?」
「そうじゃない」
芦有は何となく察したものの、それを口にするのは憚られ。
「そうじゃないなら、なんで?」
三月からの追及を、何とか逃れ資料室に戻る。
列車に戻ってきたことでほっとして、涙が止まらなくなったなんて。
きっとからかわれるに決まってるから。
「あ」
「丹恒? どこか怪我をしたのか?」
穹も加わり、しばらく経ったある日。
またも列車に戻ってきたら突然涙が零れ落ち、止まらなくなった。
俺の隣にいた穹は、思わず声を漏らした俺を心配そうに見てくる。
「それなら、苦しいのか? 哀しいのか?」
「そのどちらでもない」
俺の返答に、彼はほっとしたように息を吐く。
「よかった」
胸に手を当て、安心したように笑う。
その姿に、胸がきゅってなって。
「た、丹恒?」
また涙が止まらなくなった俺に、級が慌てる。
「俺、何かした?」
「違う。何もしていない」
首を振って、違うことを示す。
「穹」
「なんだ?」
「涙は、嬉しくても出るんだ」
「そ、そうなんだ。丹恒、何か嬉しことがあったのか?」
「ああ。列車に無事に戻って来ることが出来た時。それから、お前の」
「俺の?」
「笑顔が眩しくて、もっと見たいとなった時」
そっと頬に触れると、体を強張らせ。
「す、すまない」
「う、ううん。丹恒の指って、俺より冷たいからちょっとびっくりしただけ」
「そうか?」
「うん。でも、俺は嫌いじゃないなって」
キュンキュンした。理由はわからない。
暫くして、その理由が判明して動揺したのは秘密だ。
恥ずかしくて、誰にも伝えていない。
それでも。
「俺、丹恒が好きだ」
顔を真っ赤にし、俺の手を握って。
「ああ、俺もお前が好きだ」
嬉しかったので、すぐに頷いた。
そしたら、驚いて目を丸くし。だけどすぐに、勢いよく抱き着いて。
「丹恒と両思いだ!」
嬉しそうに叫び、それから俺の手を引いてラウンジまで行き、皆に報告して回って。
相当嬉しかったようだ。
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