haru_haru0704
2025-10-26 23:02:03
6320文字
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ミリしら麻雀で遊ぼう!

仇遠&哥舒臨&カカロ&忌炎(CPなし) 全年齢

4人がルールミリしらの状態で麻雀をやる話

経緯は省くが、仇遠、哥舒臨、カカロ、忌炎の4人は今州城内を訪れていた。更に詳細も省くが、彼らは麻雀卓を見つけた。そして麻雀をやることになったのだ。

***
「ふむ・・・麻雀か」
仇遠は席に座り、竹筒の中身をぐいと呷った。その左隣に座った忌炎は気遣わしげに尋ねる。
「その・・・できるのか?麻雀」
「問題ない。牌に触れれば図柄は判別できよう」
鷹揚に頷く仇遠。その向かいに座ったカカロは首を傾げた。
「だが、俺たちが捨てた牌は見えないんじゃないか?」
「そちらも問題ない。共鳴能力を用いれば、某には全てが視えるゆえ」
仇遠の右隣に座った哥舒臨は、竹筒を奪って勝手に中の液体を飲んだ。今日の中身はただの水だ。
「んん?つまりそれは、盲牌し放題ということか?」
口元についた水を拭いながら、哥舒臨は眉をひそめた。彼が発した聞き慣れぬ言葉に、忌炎も首を傾げる。
「盲牌って何ですか?」
「なんだ、知らんのか?盲牌ってのは、ほら、あれだ・・・イカサマのことだ」
「イカサマですか。なるほど」
「忌炎、お前麻雀の知識はどれくらいあるんだ?俺についてこれるのか?」
哥舒臨は目を細め、忌炎を挑発するように不敵な笑みを浮かべる。しかし実際のところ、彼は麻雀のルールをよく知らなかった。
『盲牌』といういかにも熟練者っぽいワードを知っているだけで、実は役も知らないし、鳴きもどれがどういう意味なのかまったく分かっていない。
だが麻雀を知らないというのはちょっとダサい気がして、勢いで乗り切ろうとしているのだ。
「大丈夫です。経験は少ないですが、哥舒臨さんを楽しませることくらいはできますよ」
哥舒臨の問いに、忌炎は自信満々に頷く。だがしかし、彼も麻雀のルールをよく知らなかった。
彼もまた、この局面を勢いで乗り切ろうとしている。
「なかなかの自信だ。某も楽しませてもらうとしよう」
仇遠は口の端を僅かに上げて笑う。そして彼もやはり、麻雀のルールをよく知らなかった。
全ては勢い。勢いさえあれば何でもできる。
「なら、さっそく始めるとするか」
カカロは牌の裏面を上にして積み始める。もはや当然ながら、彼も麻雀のルールをよく知らなかった。
そのため牌を3個重ねて山を作ってしまったのだが、それを咎める者はいない。誰も麻雀に詳しくないからだ。
「・・・それで、結局イカサマ対策はどうするんだ?」
カカロは影と協力して牌を並べながら尋ねた。仇遠はやれやれと肩をすくめる。
「某は如何様などせぬ」
「だが、勝った時に疑われるのも嫌だろう?仇遠が共鳴能力を使わなくて済むように、俺たちが捨てた牌を読み上げるのはどうだろうか」
「うむ、名案だ。それで良い」
仇遠は忌炎の提案に頷き、哥舒臨から取り返した竹筒の水を飲んだ。それから牌の山を作るのに協力しようとしたが、既に山は完成していた。カカロと影による見事な早業である。

4人は山から13枚ずつ牌を取り、手元に並べた。かろうじて哥舒臨が『手牌は13枚、アガる時に14枚』と知っていたためだ。
「さて。じゃあ始めるか」
哥舒臨は山から1つ牌を取り、表を見た。丸いのが7つ描かれている牌だ。次に手牌を見る。漢字が書かれた牌が多い。
たしか麻雀の役は・・・同じ牌を2個か3個か4個集めたり、連番の牌を2個か3個か4個か集めればよかったはずだ。・・・たぶん。
そうなると、今引いた丸い絵柄の牌はあまり必要なさそうに思う。
哥舒臨は引いた牌をそのまま捨てようとしたが、そこでひとつ問題があることに気づいた。
──そう、牌の名前が分からないのだ。
一萬とか二萬とかはそのまま読めばよさそうだが、この丸いやつとか緑のやつはどう読めばいいんだ?ピンとかソーとかだった気がするが、自信がない。
「・・・・・・」
哥舒臨は勿体ぶった動きで牌を入れ替え、そして一枚捨てた。その牌は・・・二萬。
漢字の牌を捨てたくはなかったが、仕方がない。ひとまず今は、ボロを出さないようにするべきだ。この丸い牌は、しばらく様子を窺ってから捨てても遅くはないだろう。
「二萬(にまん)を捨てた」
哥舒臨の宣言に、3人はふーんという感じの反応を返した。仇遠はそもそも読み上げてもらったところで牌の種類が分からなかったし、忌炎とカカロは「二萬(にまん)だな、どう見ても」と思ったためである。
哥舒臨の右隣に座るカカロは、山から牌をひとつ取った。哥舒臨の「次はお前の番だぞ」という視線を感じ取ったからだ。
取った牌の表を見ると、そこには堂々とした筆跡で「西」と書かれている。カカロの手牌には字牌が多く、漢字好きの彼としては中々良い牌の集まり方だと言えるだろう。
カカロは「東」と「南」の間に「西」を入れた。こうなると、次に欲しいのは「北」だ。
カカロはやや迷ってから、緑色の絵柄の牌──六索を捨てた。
「緑の6を捨てた」
哥舒臨と忌炎は「緑の6・・・?」と訝しんだが、結局何も言わなかった。2人とも、その牌の正式な呼び方を知らないからだ。これでは指摘したくても、指摘のしようがない。仇遠は何にせよ牌が分からないので、鷹揚に頷くばかりである。
続いて、忌炎が山から牌を取る。表を見ると、そこには何も描かれていなかった。これは、ハズレを引いたということだろうか?
忌炎は内心首を傾げながら、ひとまずその牌を手牌に加えた。このハズレ牌の呼び方が分かるまでは、迂闊に捨てられない。
彼は改めて手牌を見る。丸い何かが描かれた牌が多い。ひとまず、この丸いのを集めていくべきだろう。
忌炎は不要そうな牌をひとつ選んで捨てた。その牌は・・・北。
「北(きた)を捨てた」
「む、北か。俺にくれ」
カカロはひょいと「北」を取ると、「東」「西」「南」と合わせて卓の隅に置いた。これは、誰がどう見ても完璧な組が完成したと言えるだろう。
「すまない、俺は本場の麻雀用語にあまり詳しくないんだが・・・カン、で合っているだろうか?」
カカロは予防線を張りつつ尋ねる。哥舒臨は頷き、「合っている。なかなかやるな」と彼を誉めた。
忌炎は仇遠に配慮し、「カカロが俺の捨て牌を取って、東西南北を揃えた」と伝える。仇遠はやはり鷹揚に頷いた。よく分かっていないからだ。
続いて仇遠は山から牌を取った。指で表をなぞり、絵柄を確認する。・・・これは、一体何の絵柄であろうか。中々に複雑な形状だ。2本の細い脚に、横に広がった胴体。頭はもさもさとしている。
──うむ。わからぬ。
仇遠は絵柄の判別を諦め、取った牌をそのまま捨てた。彼の手牌には竹を模した牌が多いため、それ以外の牌は不要なのだ。この面妖な牌は、明らかに竹の牌とは無関係であろう。
仇遠は、他3人の視線が捨て牌に集まっているのを感じ取った。
「・・・後学のために問うておきたいのだが。その牌の絵柄は何であろうか」
その質問に、3人はしばし黙り込む。やがて忌炎がおずおずと口を開いた。
「・・・鳥・・・ですよね、哥舒臨さん」
「鳥・・・なんじゃないか?なあカカロ」
「鳥か?・・・まあ、鳥以外には見えないか・・・」
「何とも歯切れの悪い。かくも判じ難いか」
哥舒臨は「絵が下手なのが悪い」と吐き捨てると、気を取り直して山から牌を取る。表を見ると・・・八萬。
「・・・!」
哥舒臨はその八萬と手牌を見て、ピンと来た。これだ。これしかない。
彼は牌を並び替え、いそいそと組を作った。左から八萬、九萬、三萬の順に並べる。
──そう、それは八九三。ヤクザの組である。東西南北同様、この八九三も組として成立するに違いない。
次に、哥舒臨は手牌の「七萬」「五萬」「四萬」に目をつけた。「三萬」をもうひとつと、「六萬」をひとつ集めれば、三七五六四が揃うではないか。言わずもがな、それは「みなごろし」の語呂合わせである。
彼は先ほど捨て損ねた七筒をぽいと捨て、「丸の7を捨てた」と宣言した。忌炎は「丸の7?」と内心訝しんだが、もちろん口に出して指摘はしない。
続いてカカロが山から牌を取る。表を見ると、「發」と書かれていた。意味は分からないが、なかなか格好いい漢字だ。
カカロはその牌が気に入ったので、手元に残しておくことにした。代わりに、下手な鳥の絵が描かれた牌を捨てる。
「下手な鳥を捨てた」
続いて忌炎が山から牌を取る。表を見ると、「中」と書かれていた。漢字好きなカカロが欲しがりそうな牌だ。
丸い牌を集めている忌炎にとって不要だったこともあり、彼は取った牌をそのまま捨てる。
「中(ちゅう)を捨てた。カカロ、要るか?」
「ん?・・・折角だし、もらっておくか」
カン、と言いながらカカロは「中」の牌を取り、「東西南北」の左側に置く。
カンって4つの時だけじゃなかったか?と哥舒臨は思ったが、やはり自信がなかったので口には出さなかった。
続いて仇遠が山から牌を取る。指で表側をなぞると、竹の5だということが分かった。彼はその牌を手牌に加え、代わりに「發」を捨てる。
「カカロ、あれは要るか?」
「ん・・・もらっておこう」
ついさっきも見た流れで、カカロはカンをした。そして、「中東西南北」の左側に置く。どんどん牌が増えているが、大丈夫なのだろうか。
というか、要るか?って何だよ。麻雀で協力プレイするな。と哥舒臨は心の中で突っ込む。
・・・しかし、忌炎が何の理由もなくカカロに協力するだろうか?俺ほどではないとはいえ、忌炎もなかなか負けず嫌いな奴だぞ。協力すると見せかけて、罠に嵌めるつもりなのだろうか。
などと考えていると、仇遠が突然手牌を両手にひとつずつ持って何かをし始めた。・・・どうやら牌でトランプタワーのようなものを作ろうとしているようだ。2つの牌を斜めに置いて山型にし、更にその上に牌を置こうとしている。
哥舒臨は、突っ込むべきか考えつつ山から牌を取った。表を見ると、何も書かれていない。ハズレだろうか。
・・・いや、違う。おそらくこれはスペアの牌だ。牌をいくつかなくしても大丈夫なように、予備として用意されていたものに違いない。
哥舒臨は何も書かれていないその牌を手牌に加え、代わりに一筒を捨てた。
「丸の1を捨てた」
哥舒臨はそう宣言し、手近にあったペンを取る。それで何をするのかといえば、そう。先ほど手に入れた無地の牌に、自分が欲しい牌の絵柄を書き込むのだ。
「あ、それ・・・チーです」
哥舒臨の対面に座る忌炎は、チーを宣言して一筒を持っていった。ちなみに彼は先ほどから、牌の数で掛け算の組を作ろうと躍起になっている。
続いて、カカロが山から牌を取った。表を見ると、竹がたくさん描かれている。カカロには不必要な牌だ。
「緑の9を捨てた」
続いて忌炎が山から牌を取る。そこで彼は、手牌が14枚あることに気づいた。今取った牌を合わせると、15枚である。先ほどチーをした時に、代わりの牌を捨てなかったためだ。
これはどうしたものか、と忌炎はそっとカカロの様子を見る。彼も先ほどから牌をたくさん取っているが、捨ててはいなかったはずだ。
カカロは・・・10枚の手牌と、カンで集めた6枚の牌を持っている。・・・なら、俺も14枚くらい持っていても構わないか。
忌炎は山から取った牌に目をやった。そこには「南」と書かれている。これはまたカカロにあげるとしよう。

それから10分後。偶然4人の近くを通りがかった漂泊者は、彼らがどんな対局をしているのか気になり、卓の傍に近寄った。まずは経験豊富そうな哥舒臨の様子を見てみよう。
漂泊者はそっと哥舒臨の後ろに立ち、彼の手牌を見た。
すると──
哥舒臨は白牌に「万能牌」と手書きで書いたものを2つ所持していた。それ以外の牌は一見まともだが、よく見ると面子がまったく揃っていない。
「八九三」や「三七五六四」で小さなグループを作っているところを見ると、麻雀牌で語呂合わせをして遊んでいる・・・のだろうか?
「・・・?」
漂泊者は頭に疑問符を浮かべつつ、今度はカカロの背後に移動した。
すると、彼の手牌は6枚しかなかった。そして、卓の端に牌が大量に並べられている。左から、「東西南北中中中中發發發東西南北」・・・牌が15個もある。
字牌をたくさんコレクションして遊んでいる・・・のだろうか?
「・・・??」
頭の中の疑問符を増やしながら、漂泊者は忌炎の背後に移動した。彼の手牌は全て筒子だ。しかしやはり、面子がまったく揃っていない。
「ニ三」「五六」「一ニ八八」で小さなグループが作られているところを見ると・・・わかった。掛け算の式を作っているんだな。
・・・なぜ掛け算の式を?
「・・・???」
最後に、漂泊者は仇遠の背後に移動した。彼の手牌は・・・ピラミッド状に積み上げられている。ピラミッドの下側には索子が多いが、上に行くにつれて少なくなっていく。途中で集めるのを諦めてしまったのだろうか。
・・・なぜ牌でピラミッドを作っているんだ?
「・・・????」
漂泊者は首を傾げすぎて、ややバランスを崩した。ふらついたその身体を、仇遠の墨竹が支える。
「あ、ありがとう・・・」
「如何した?足元がおぼつかぬようだが」
仇遠の問いに、漂泊者は困惑した笑みを浮かべた。
どうしたのかと聞きたいのは、俺の方だ。あなた達はいったい何をやっているんだ?
「ええと・・・大丈夫。ちょっと躓いただけだ。それより、その・・・楽しそう、だな?」
「ちょうどいい。漂泊者、誰が勝ちか判定してくれ」
「え?」
哥舒臨は手牌をパタンと倒し、皆に表が見えるようにした。それにならい、カカロと忌炎も牌を倒す。仇遠は手牌がピラミッド状なので倒せなかった。
「ほら、早くしろ」
哥舒臨に急かされ、漂泊者はもう一度4人の手牌を見た。
・・・・・・。
誰1人として、まともに麻雀をしていない。この中から勝者を選ばなければならないのか?俺が?どうして?
「・・・アブ、アブ。起きてくれ」
困り果てた漂泊者はアブを呼んだ。こうなったら、アブに勝者を決めてもらおう。
「ん〜?どうしたんだ?」
右手から出てきたアブは、こてんと首を傾げる。
「麻雀の勝者を決めてほしい」
「麻雀?我はよく知らないけど・・・決めていいのか?」
「ああ」
漂泊者が頷くと、アブはふよふよと4人の周囲を飛び始めた。顎に手を当てて、何か考えているようだ。アブは一体どんな基準で勝者を選ぶんだろう?
「・・・む!なんか甘い匂いがするぞ!」
アブはすいっと飛んで行き、カカロのポーチをくんくんと嗅いだ。カカロはポーチの蓋を開け、中から小さな包みを取り出す。
「クッキーだ。食べるか?」
「食べる!」
アブはカカロから貰った包みを開けると、さっそく食べ始めた。犬型のクッキーはいい焼き色をしており、見た目にも美味しそうだ。
「うま〜い!クッキーくれたから、麻雀はコイツの勝ち!」
至極単純な理由で判定が下り、麻雀はカカロの勝ちになってしまった。こんな決め方で、哥舒臨は納得するだろうか?
漂泊者は少し心配したが、当の哥舒臨はあっさりと頷く。
「カカロの勝ちか。まあ仕方あるまい」
「楽しかったですね」
「良い気晴らしとなった」
敗者となってしまった3人だが、案外あっけらかんとしている。おそらく、本気で戦っていなかったから特段悔しくもないのだろう。
勝者となったカカロは、アブの頭を撫でつつ「ありがとう」と微笑んでいる。
・・・結局なんだかよく分からなかったが、まあ、仲が良さそうで何よりだ。