たかさき
2025-10-26 01:35:30
1798文字
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ふたごのはなし

FF7/ヴィンクラ(途中)

注意:二人のピエタ(https://privatter.me/page/67153300dce57)の続きで、
   ↑の話もこの話もクラがこどもを産んでます。

 パパの手はとても大きくて、いつも黒い手袋をつけている。
 ごつごつとしたその手で、ぼくの頭を優しく撫でてくれる。
 パパはとても強い力を持っているけど、頭を撫でたり髪の毛を梳いてくれるときは、まるで薄いガラスのコップを持ち上げるときみたいにそっと触れてくるから、こそばゆくて何だかもぞもぞする。
 開けた窓から風が吹いている。
 ふわりと持ち上がったカーテンが頬に触れようとするのを、パパの手がそっと払ってくれる。
 前にパパが真面目な顔をして、この子にはカーテンさえ触れさせたくない、と言ったことがあった。そのときママは呆れたように笑ってたし、ぼくは足の裏がむずむずするような気持ちになったことを思い出す。
 つい足をばたばたしたくなって、ぐっと我慢する。 
 パパの膝の上で気持ち良くお昼寝をしていたんだけど、実はとっくに目が覚めていた。それでも目を開けてしまうのは勿体なくて、寝たふりをずっと続けてぼくの何倍もあるパパの体に寄り掛かっている。
 膝からはみ出した足がぶらぶらと揺れるくらいには体がいつの間にか大きくなっていて、それでもパパの膝の上で背中を撫でてもらいながらお昼寝するのが好きだからパパにせがむと、ママがまだ赤ちゃんなのかって笑う。
 パパは静かに笑って、長い手を伸ばして抱き上げてくれる。
 パパのこと好きって伝えると、顔にたくさんキスしてくれる。
 でもパパが一番好きなのはぼくじゃなく、ママなんだってこともよく知ってる。
 だからぼくはいつまでも、パパの膝の上でお昼寝したいってせがむのをやめることができない。


――K、まだ寝てるのか。もう夕方だぞ」
「ああ、よく寝ている」
 ママの、ちょっと怒ったような声。
 パパが唇に指を当てて(見なくたって分かる)、息だけで喋るのにママはやっぱり不服そうだ。ぼくが寝たふりをしているだけということに気付いているからだ。というか、パパはあまりそういうことに気付かない。それとも気付かないふりをしてくれてるのかも。パパの考えていることは、実はあんまりよく分からない。
「よく眠れたか」
「ん……
 頭の上で、服の擦れ合う音。ママがパパの肩に頭を乗せて、普段ぼくたちの前では出さないような声で返事をしている。多分、パパは両手でママを抱きしめたいんだろうけど、ぼくを抱えるのに両手を使っているから仕方なく顔を寄せるだけにしている。時々訪ねてくるリーブというおじさんは、そういうパパとママを見るといつも仲がおよろしいですわねえ、とぼくたちを見てにっこり笑うけど、その笑顔はちょっと怖い。
 ママはまだ眠たそうな声をしていた。ママとパパの寝室でママは一人でお昼寝をしていたんだけど、きっと一人ではうまく寝られなくて起きてしまったんだと思う。
「Vは? ちゃんと寝た?」
 やっぱり。Vのことが心配だったんだ。
「暴れてはいない。まだ機嫌は悪いようだが」
 Vは、ぼくの弟。
 でもVはぼくのことを弟って言う。
 双子なんだからどっちも同じだって言われるけど、弟と兄じゃ全然違う。だからぼくは弟じゃないって言うんだけど、Vは自分が兄だって言い張るし、ぼくはその言い合いに時々負ける。
 Vは今、そこのベッドに一人でごろんと寝転がっている。
 頭に枕を被って、時折すん、と鼻をすすり上げる音がする。
 ママと一緒に寝られなかったから、不貞腐れているんだ。
……クラウド」
 パパがママのことをママと呼ばずに名前で呼ぶとき、ぼくは少しどきどきする。ぼくたちの前では、パパはママのことを名前で呼ばないから。
「ん、だめ……Kが起きる……
 ママの焦ったような声を聞いてどうしようかと思ったけど、珍しくパパがママの言うことを聞いたみたいだった。
 ぼくたちが寝てるときはパパはいつもこうなのに、ママも今更何を焦ってるんだろうとも思う。
 ぐるうう、とVの不満げな唸り声が聞こえた。枕を被ったままだから声が変になっちゃって、怒ってるんだか泣いてるんだかよく分からない声だ。
 ぱたぱたと、ママが歩いて行く音。
 そばに寝転んで、V、と優しく名前を呼んでいる。
 Vの名前を呼ぶときのママの声は、いつも優しい。
 ふん、とパパの溜息が聞こえる。
 パパはVに対してまだ少し怒ってるのかもしれない。

 前にこんなことがあった。