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zxzx1231
2025-10-26 01:06:16
961文字
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不可幸力
カブミス結婚合同誌の寄稿
「永遠の愛を誓いますか」
昔の自分であれば内心、鼻で笑っていた問いかけだろう。しかしまさかそれを西方から遠く離れた土地で、そして年齢も遥かに離れたトールマンの男と並んで聞くことになるとは。
悪魔が倒され、新しい欲求探しに奔走していた日々の中で小さく芽生えた感情が育ち切るのにそう時間は掛からなかったと思う。心を求めた相手から、同じように心を求められること。その喜びを教えてくれたのは他でもないこの男だった。
宮殿では器用に立ち振る舞うこの男は自分の前では良くその相好を崩す。
――
あれは確かプロポーズされた日のことだった。曇り一つない夜。この国できっと一番星が良く見える小高い丘の上のレストランでの食事を提案されて、何を言われるのか察しないことのほうが難しかった。デメリットのほうが多い関係だ。一緒になることは難しいだろうと、私が懸念を口にするのに、用意していたと言わんばかりに回答が打ち返される。婚姻を申し込むような甘怠い空気にはほど遠くなったな、と思っていれば、顔を赤くした彼に絞りだすように「あなたを独り占めしたい」と言われて思わず笑って、そしてそのまま承諾していた。(独り占めされてもいいと思ったのだから仕方ない)
そういえばあの後礼服を選びに行った後もおかしかった。衣装として着用するのであれば己はエルフの民族衣装だろうと思っていたが、体のラインがどうのこうのと言われてトールマンの国で一般的な衣装に落ち着いた。何やらいろいろと葛藤していたようなので後で一人で店を訪れ購入したが、今日の夜、彼の待つ寝床へ着ていく予定だ。喜んでくれるといい。
正直のところ、彼との結婚が正しいのかは今も判断がつかない。彼は私をいつか置いていくだろうし、その時私はまた欲求を失って屍のようになるのかもしれない。でも、それでもいいと思ってしまった自分がいる。彼が他の人間を愛す未来を選ぶのであれば、そちらのほうが嫌だった。彼が自分を独り占めしたいと思ったように自分も彼を自分だけのものにしたい。そして彼が喜ぶことを一つでもやってやりたい。欲求の果てにあるものが彼なのだと、私は気づいてしまったのである。この男のことを、私は愛していた。
こちらを見やる彼の瞳に頷いて私は牧師の問いに答える。
「はい、誓います」
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