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望月 鏡翠
2025-10-24 23:59:05
921文字
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日課
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#1883 呪いの因果
#毎日最低800文字のSSを書く
男はようやく武器を納めた。
そして、砂漠の民がよくしているような、顔を覆う布をとった。
侘助はそれを警戒を解いたことを動作で示してくれたのだと解釈したため、何か見せたいことがあるのだと気がつくには時間がかかった。
人の外見を覚えるのも見分けるのも苦手だった。異種族の些細な違いというのはわからないものだ。
蝶の翅の模様や獣の体型、毛皮の色、そう言ったものは他種族から見ればみな些細な違いだ。
今の姿だって、侘助からすればよく化けられているのだ。
頭に角があるといっても、耳の形が違うといっても、足に人よりも多く毛が生えているといっても、そんなものは些細なことではないか。手の指の数まであっているし、服だってちゃんと着ている。今まで通り過ぎた国でも、人として扱われていた。
だから目の前にいる男に、森の中で半化けと言われたときは、内心で少なからず傷ついていたものだ。
「俺の、呪いを解け」
首を傾げる侘助に、男は頬をさした。
「龍がかけた呪いだ! 鱗が生えてくる。お前の鱗だ。一体俺をどうするつもりなんだ」
言われてみると、少し鮮やかになっているだろうか。たいした違いには見えないが、彼にとっては重要ごとなのだろう。
「それが、この子の掛けた呪いだと?」
この自分の身を守ることすらできない雛にそんな器用なことができるだろうか。
「他に何がいる」
「そういうことができるのは、もっと長じて力をつけた龍ではないか。大人の方に話は聞いたのか?」
侘助の問いに、男は口を噤んで目を泳がせた。
親の場所を知らないのかと思ったが、いかに鈍いといえどもすぐに気がついた。
「ああ、殺したのか」
雛が怪我をして山中に倒れていて、男が龍に呪われたと信じている。因果関係を考えれば明らかだ。呪われるようなことしておいて、その結果に怯えている。自分で成したことの因果が、恐ろしくなったのだ。
「呪いを掛けた相手を殺して、解けなければその呪いは一生解けないと言われている。だから、試す」
男は唸るようにいう。
「そんなことわからないだろう」
もしかしたらのために、命を奪わせることはできない。
交渉は決裂の気配を見せていた。
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