もちこ
2025-10-24 20:10:50
718文字
Public
 

大切なのだと泣きながら。

龍+以

優しい歌がいいです、できるだけ優しい歌。

焦土となったこの土地に今にも息絶えそうな少女が1人。

立ち上がる力もなく、ざらりと小石の混じる地面に額を擦り付けている。


ただそれを、たぶん、自分は、、、







「いつの話だったっけな。」
「覚えがないろう。」
「うーん、」

困ったなぁと笑う。思い出せなのだからしょうがない。その様子に年下の幼なじみはいつものことかと関心を失くし、たばこに火をつけた。

「いつの事か思い出せないし、その後どうしたかも思い出せないんだ。」
「おん。」
「聞いてないでしょう?」
「聞いちょる。」

こちらを見ることも無く少し疲れたような伏せ目でたばこをふかしている。

「....知るか。わしにそんなこと。」
「ひどいなぁ」

自分が断片的に思い出したいつかの記録を拙く言葉にした。それをぶっきらぼうな返事でたばこの煙をくゆらせながら流している。


「わしに聞いてなんになる。なんにもならんろう。エミヤあたりに聞け。」
「それはなんというか」

これはわざとデリカシーのない言葉を選んだなと苦笑する。

「まあ断片的にしか思い出せないけど、以蔵さんならどうした?」
「わしか?」
「以蔵さんなりの答えでいいよ。」

面倒だなぁという顔をした後ひとつため息をつく。
たばこがじりじりと焼け、灰になりぼろりとくずれていくのを見つめたまま。


「背中を、さする、んやろうか。わしは。」
「うん」
「さすって、歌を歌うんやろうか。」
「うん」

「おまんのお勤めはわしは知らんが、たぶん、」
「うん」

「そうしてやったらえいち、思う。」



自分の母はそうしてくれたのだとひとつ零して。