Katuki
2025-10-24 05:19:52
3315文字
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At one's last moment 解説

2025年11月16日のスパーク新刊、「At one's last moment」の解説文と言うか怪奇文章というかなんかそういうやつです。新刊を読んでいる前提で書いていますし、読まなくても全く問題のない文章です。

前回からの続きになりますが、アニキはとことんヒースに甘いので最後も全部ケツ持ちしてくれます。
ちゃんと話し合って出ていく線も考えたのですが、若さ故の衝動に突き動かされた感を出したかったのと、本編でも「何も言わずに出ていった」とマシュー(魔王ヒ)が言ってたのでこういう感じに。
まぁ魔王が言ってたことはどこまで信じればいいのかわからないんですが……。でもある程度囚人ヒと話が噛み合ってたのを見るに大体は真実だと思っていいのかなと考えてます。(それが鏡世界でも同じかどうかはまた別問題ですが、そこまで考えると何も書けなくなるので同じだと仮定して進めていきます) 
団員たちには不満も渦巻いてますが、それまでの信頼と揺らがない(ように見える)ムルソーに免じてみんな何も言いません。
そもそも都市(しかも裏路地)でいなくなった人間のことを考えてる暇もなさそう。
スペードの8は自己犠牲、孤高を意味するらしいので描きました。

ダンテはワイハヒを抽出したのでシーズン6人格をお試しで使おうとしてたという設定です。
因みに人格ストーリーを読む前に鏡回ろうとしてるので、ワイハヒとデドラムの関係とかワザリング・ハイツの面々とのあれそれもわかっていない無知ンテです。(明らかにワイハヒの精神が常時マイナスだったのと人格ストーリーを後から確認したのと6章の話を総合してこのパーティーが組まれることは二度となかったとかなんとか)
この「ダンテに呼ばれてるムルソー」という話は前回の本(At first sight)の最後にもリンクしてます。
あの時点でムルソーはワイハヒとの邂逅を済ませているので、うっすらと色々察してる。
反対にワイハヒは(自己設定)デッドラビッツ襲撃→一度目のワザリング・ハイツ襲撃が終わっている状態なので、既にムルソーを殺している状態で呼ばれてます。
なので眼の前に自分が殺した男が立っていてびっくり。
ムルソーは鏡世界の話を他の団員に一切してないので全部一人で抱え込んでます。
こういうところは前回に引き続き剣契頭目の要素に引っ張られてます。

死んでるウサギはリアルに描くと嫌な人もいると思って顔だけデフォルメしてます。
オオカミはウサギを狩るものですからね。
史実のデッドラビッツの名前は「ギャングの会合中に死んだウサギが部屋の中央に投げ込まれたことから由来し、戦闘シンボルは槍の先に死んだウサギだった」らしいので(英語版Wikipedeia情報)、その要素も取り入れてます。
自分自身字が綺麗な方ではないんですが、ヒースの汚文字は再現しすぎると読めなくなりそうでほどほどにしました。読めますよね?(不安)
(ウサギの下に敷いてあるのはかつてヒースが身に付けていたスカーフ)
最初は団員殺しをした上でムルソーとヒースを対峙させようかと思っていましたが、そこまでしてしまうとムルソーがヒースを赦すという流れに至るまでかなりかかってしまいそうでやめました。
一応その場合でもアニキであるムルソーはヒースのことを赦してくれると思ってるんですけどね……

このタイミングのヒースはムルソーが鏡世界に呼ばれていることを知らない(当然自分も呼ばれていない)ので、様相の変わった自分に気づいたムルソーに内心びっくりしてます。
鏡世界で会ってなくても多分アニキはわかってくれると思うよ(適当)。
ムルソーはヒースに期待していたし、ゆくゆくはボスの座を譲ってもいいと思っていたし、こんなところに収まる器ではないとも思っていたり。
出ていってしまったのは自分のせいでもあるのだろうと自己嫌悪ではないですけど、客観視して淡々と考えてそう。
戦闘シーンに関して言えば、ムルソーは自分から一切手を出していません(防戦一方)。
戦う気はあるけどヒースを害そうという気持ちは0。
↑これは全然意識せずにネームを切っていて、作画に入ってから気付きました。こういうことがあるから漫画を描くのは面白い。
自分から手は出さないけど、ヒースの性格を理解しているので手を出させるためにわざと煽ってます。悪いボスだ。
ヒースはなんやかや理由をつけてますが庇われてる団員に嫉妬してます(無自覚かも) オレに構え!
ヒースに戦い方を教えるムルソー、は絶対に入れたかったポイントなので回想レベルですが描けてよかったです。

キャシーのことがあって世界の全てにムカついてるヒースは、あの頃と何ら変わらない態度で接してくるアニキ面した男に怒り心頭。
そんな怒りをちゃんとぶつけて、その怒りと同等程度の恨みをしっかりぶつけられて、やり合った末にムルソーを殺したかったのに赦されてしまったヒース。
何なら無様に自分の前に跪いたり命乞いするムルソーが見たかった。
自分が生殺与奪を握ってるという優越感に浸りたかった。
なのに全部赦されちゃったから気持ちの持って行き場所がない。
このムルソーが他者を赦すという構図はそのままキリスト的なアレです。
原典のムルソーは作者であるカミュによって「われわれに値する唯一のキリスト」(1958年に発表された「『異邦人』アメリカ大学版への序文」)と言われているので、そこを拾った形です。(10章でとてもそういう話が見たいと思っているオタク)
これはイメソンではないんですが、ポルノグラフィティのハートの「手を広げて十字架を真似た 愛していたのは本当だから」という一節が好きなのでそこをイメージしてたりしてなかったり。

「ワイハヒが何をしようと味方で有り続けるアニキ」はなんかリンバスで二次創作始めた当初からずっと描いてるネタです。
このネタがあったから生まれた前後編と言っても良いかもしれません。
最後に関してはかなりギリギリまで「愛してる」とお互い言わせるか悩んだんですが、結果的に言わせちゃいました。
ムルソーに愛してると言わせる違和感がこの期に及んでもすごい笑。
でも前編では意図的に全ての台詞を「好き」に留めて「愛」を語らせなかったので、その分後編では言わせちゃってもいいかなと。
ありきたりなLOVEとLIKEの違いというわけでもないんですが、ムルソーがデッドラビッツに転がり込んできたヒースを受け入れてこういった最期を迎えるのは「愛」以外の何物でもないだろうと自分で考えた結果です。
あと囚人とかその他人格と違ってデッドラビッツ人格は愛を知っててもおかしくなさそうな環境そうなので……
ヒースも勿論キャシーを愛してますが、同じように自分がムルソーを好きな気持ちとか、言う機会を逃してしまった告白とか全て自覚した上で言ってくれるんじゃないかなって……言ってくれ(願望)。

ムルソーが待ちの姿勢ではなく自分からヒースに気持ちを伝えていたからと言って、キャシーを失ったヒースの何かが変わったわけではないけど、もしかしたらこんな道を歩まずに済んだかもしれない……とお互い何処かで思っていたらいいですね。
生きてる時は素直になれなかったヒースが物言わなくなった相手にようやく素直になる話でした。
因みに最後のページの1枚絵はページ埋めのために描いたらアホみたいに時間がかかりました。



作業中のイメソン一覧置いておきます。(敬称略)
よければ皆様の2人のイメソンも教えて下さい(懇願)。


「鮫」(天野月子)
今回の話の全体を通してのイメソンです。ヒ視点。

「蝶」
「ステロイド」
「ゼロの調律」
「月」
「ウタカタ」(以上、天野月子)
「Faint」
「One More Light」
「Don't Stay」
「Somewhere I Belong」
「Papercut」
「Easier to Run」
「Numb」
「Leave Out All The Rest」
「Lost」
「Friendly Fire」(以上、Linkin Park)
「禁じられた遊び」(東京事変)
「under the moon」(Do As Infinity)



ここまでお読みくださりありがとうございました!