三毛田
2025-10-23 21:17:41
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54 054. もっと知りたいきみのこと

54日目
何を知りたいのだろうか

『お前のこと、もっと知りたいんだ』
 物語のヒロインがその言葉を投げかけられたのならば、相手との恋へと踏み出す言葉になるのだろう。
 ただ、俺はヒロインではないし、まだまだ彼のことを信用しているとは言い難い。
 人見知りを発動しているというには、少々弱く。だからといって、三月のように軽々しく積極的に接したいわけでもない状態。
 列車に乗ったのならば、護衛対象ではある。ものの、彼がよくわからない。
「丹恒。一緒にご飯食べないか?」
 ノックがあったので許可を出すと、ひょこっと扉を開けた顔を覗かせ。
 穹の言葉に時計を見ると、平均的な食事の時間だった。
「いや、俺は」
「ちゃんと食べないと駄目だって、パムが言ってたぞ。ほら、行こう」
 手を差し出されたので、渋々彼についていく。
「ちぇっ」
 差し出された手をるスルーしたら、不満そうにしていた。
 言われるがまま、提供されるがまま食事を終え、資料室へ戻ろうとすると。
「丹恒、まだデザートがあるぞ」
「今日は甘くないやつじゃ!」
 パムがニコニコと俺を見上げてくるので、ため息を一つついてから席に座り直す。
「ん。デザートって甘いものばかりかと思ってたけど、こういうのもあるんだな!」
 隣では、穹が目を輝かせながらデザートを口に運んでいて。
 確かに、甘くないデザートというのは珍しい。
 以外にも俺の口に合う。
「また今度、これを頼む」
「わかった。丹恒、カフェオレのお代わりはどうする?」
「もらおう」
「ピッチャーにいっぱいでいいか?」
「ああ。それと、作業に集中したいから、夕飯は資料室の前のテーブルセットに置いておいてくれ」
「わかった」
 俺とパムの会話を、穹はジトッとした目で見つめており。
「なんだ」
「不満なだけ」
「何故?」
 理由がわからず首を傾げていると、パムも同じように首を傾げて。
「お前のこと、知りたいって言ったのに。俺との時間は、全然とってくれないじゃん」
「必要か?」
「必要だよ! 折角仲間になったのに、お前の事だけ全然わからない、知らないことばっかなんだよ!」
 なのは色々教えてくれたのに!!
 叫んで、拳を自分の膝に叩きつけ。
 あれは痛いな。と思っていると、確かに痛かったのだろう。
「くぅ……
 と、呻く。
……数日待て。今の作業を終えたら、時間を作れる」
「ほ、本当!? あいたっ」
 今度は、立ち上がった時にテーブルに膝をぶつけたようでまたソファーに逆戻り。
「落ち着きがないの」
 パムが呆れた表情で、膝をさすっていた。