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望月 鏡翠
2025-10-22 22:50:19
906文字
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#1881 再会
#毎日最低800文字のSSを書く
雛は頭から地面に落ちた。
踏ん張ったときに爪がひたいと髪の毛を裂いたが、幸い侘助はそれに頓着するような体の作りをしていなかった。
この弱々しい生き物は、翼を使うことも受け身を取ることもなく地面に落ちたが、大丈夫なのかという、そちらの方が気にかかることだった。
怪我はないようだったが、やはり、その生存能力が危ぶまれた。
雛というものはそうして周りの関心を引くものなのかもしれない。
逃げ出すかと思ったが、雛は侘助の袖の中に逃げ込むことを決めたようだ。角が引っかかるので布を引っ張って入れてやらねばならなかった。
そうして袖を体の後ろに隠すと、矢の刺さった足を気にしながら地面に腰を下ろした。
やはりこうなった。
人の方は、幸い言葉は通じるが、話が全く通じない。
雛の方は友好的だが、言葉が通じない。
彼らの間に立ち、喧嘩をしないように説得するというのは非常に困難な予感がした。
射られたあとで、もしや彼は恨みなどではなく、狩りの獲物として、自分たちを狙っていたのではないかという可能性に思い至った。
声かけてきたし、半化けだ言われた。普通人は、獲物に話しかけない。だから、一応は人格を認めてくれているのだと信じて疑わなかった、だが、もし問答無用で殺しに来たら残念なことになる、
無益な殺生は気が進まない。
旅人はこの土地を行き過ぎるだけのもの。ただの異物であり、闖入者だ。その立場で、土地のものに取り返しのつかない変容を与えてしまうのは、如何なものか。
しかし、そんな思いとは別に状況は変化していってしまうものだ。
なるようになる。
多少のことでは死なない侘助は、ともかく一人と一匹の間に立って話してみることにした。
「会うのは、二度目だな」
気さくに見えるように片手をあげる。
男は一歩退いた。
警戒を感じる動きだ。
冷静に見えるから気づかなんだが、もしかすると彼はひどく怯えているのかもしれない。
「できうることなら、穏便にこの国を去りたいと思っている。だがお前が、会うたびこのようにするから、困っているんだ」
漢は眉間に皺を寄せて、考えているようだった。
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