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ひじり
2025-10-22 19:59:58
884文字
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大新 小説
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『新橋◯へ 愛を込めて』
大新。新橋ルート及び新橋の下の名前のネタバレを含みます。
日比谷。碇国ホテルのあるこの地に来るのは久方ぶりであった。台場静馬
―
今は浜静馬というが
―
との面談以来である。自分では決して足を運ばないような土地であるから、今回も依頼のためにやってきたのだった。依頼内容は人探し。人相書の得意な自分が駆り出されたのは必然だろう。
花が好きだという依頼人の息子は、とある花卉小売業者に就職が決まった後姿を消した。息子はどこの会社とは言わなかったらしく、探すにも足を悪くした依頼人では行ける範囲が限られ、探偵に頼ることにしたとのことだった。
「それで、このプリザーブドフラワーをお礼としていただいたと」
「はい」
新橋邸では、プリザーブドフラワーを挟んで向かい合う男たちがいた。大崎からの急な贈り物に喜ぶより先に、入手経路を不審がった新橋による尋問が行われているためである。
「これは大崎様に贈られたものでしょう。横流しされた物品で俺が喜ぶとでも?」
新橋は訝しげな表情のまま、ガラスドームを指差した。ガラスドームのなかでは一輪の赤い薔薇が輝いている。薔薇を引き立てるように添えられた花たちも、慎ましやかな美しさがあった。まるで自分たちが諍いの原因とは思っていないような澄まし姿である。
「確かに依頼人からいただいたものですが、好きなものを一つ選んで良いとのことだったので、自分は新橋さんに一番似合うものを選びました」
「そのようなこと、後からいくらでも脚色できます」
「証拠もあります」
そう。大崎は新橋に問い詰められることを予期していた。新橋は思いもよらぬところで被害妄想を発揮させるため、事前に示せる誠意はどんな些細なことでも実施するようにしていた。
「新橋さん。裏を見ていただけますか」
新橋は大事そうにガラスドームを持ち上げ、下から覗き込んだ。彼の相貌が驚嘆をみせたのを確認して言葉を続ける。
「名前を入れてもらったんです。自分が普段思っていることを伝えられるようにと」
「そ、それならばはやくおっしゃってください!ぁあと言葉にもしてください!」
「愛しています、新橋さん」
「
……
俺も愛しております、大崎様」
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