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かのまる
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伊剣ワンドロワンライ「トロトロ」
セイバーは女の子。
全年齢ですが、キスシーン多めです。
セイバーと伊織は近所の大きい神社のお祭りに遊びに来ていた。
あらかた屋台の食べ物を食べ尽くし、伊織の小銭入れがすっかり軽くなると、セイバーはやっと満足したらしい。
「ふう、小休憩だ。私がとっておきの穴場に案内してやろう」
髪を団子にまとめ朝顔の浴衣を着たセイバーが、伊織のシャツの裾を引っ張った。耳元の赤いイヤリングが揺れて、いいアクセントになっている。
なるほど、セイバーの教えてくれた穴場は、境内からは死角になっていて、祭りの喧騒も比較的遠くに聞こえる。
「なあなあ、イオリ。ちょーっとだけ目を閉じててくれ。絶対に開けてはダメだからな」
「解った。やれやれ、おまえは何でも急だな」
文句を言いながらも、伊織はしっかり目を閉じて手で顔を覆った。
その間に、セイバーは巾着から口紅を取り出し、キャップを外した。そのなめらかな桃色の先端を、唇に何度か滑らせる。
「イオリ、目を開けていいぞ」
伊織が瞼を開くと、セイバーの唇が緩やかに弧を描く。
艶やかな粘膜を思わせるピンク色がぽってりと肉感的な唇を彩り、伊織は目が離せなくなった。
「セイバー
……
」
「ほら見て、まるで熟れた桃の果実に見えてくるだろう?」
セイバーが伊織の唇に触れんばかりを顔を近付ける。
口紅の香料なのか、本当に桃の香りが漂った。
「ち、近いぞ」
「この口紅はな、魔術がかかっている。この口紅を見た者はキスをしたくて仕方なくなるのだ」
コケティッシュに、ちょんと口元を指差した。
丸い瞳もまるで、遠くの屋台の灯りを反射してべっこう飴のようにとろりと溶けている。
「
……
ッ! セイバー」
伊織はとろりとまるで今にも溶けてしまいそうな唇に思わず口付けた。触れた面からじゅわりと熱が広がり、感じたことのないほど柔らかい物体が自分の唇に当たる。
「ぁっ
……
」
どちらの声だったか、鼻にかかった声が上がった。
伊織が少しだけ顔を離すと、飴色の瞳と目が合う。
りんご飴のように頬は真っ赤に染まっているが、その瞳はまだ足りないと訴えている。
反射的にまた弾力のある桃色の唇に口付ける。
本能に任せ、角度を変えて、何度も甘い果汁を味わった。
セイバーが伊織の後頭部の癖毛に指を絡めてきた。
ちょん、と舌先で口唇の
間
あわい
を突かれる。鈍感な伊織もこの先の行為を予想し、ほんの少し口を開いた。薄くて小さい舌が遠慮がちに伊織の舌を撫でた。
ぴちゃ、ぴちゃと小さな水音がダイレクトに伊織の鼓膜を刺激する。セイバーの下駄がカランと音を立てて歩み寄ると、伊織のTシャツに薄い浴衣が押しつけられる。腹の辺りにわずかな膨らみが当たった、気がした。
これ以上は抑えが効かなくなると、伊織は急いで顔を離しす。
「
……
っふ、う。ふふっ」
すっかり口紅が落ちて、ぽってりと紅く充血した唇に手をやる。
「どうだ。私の唇は桃みたいにとろとろで甘かったか?」
「ああ、喰らい尽くしてしまいたくなるほどにはな」
セイバーは首をかしげ、蠱惑的にうっとりと微笑む。
その背には色とりどりに輝く大輪の花。暫くしてドンっと音が鳴った。
花火が上がっていたことに気が付かないほど、口付けに夢中になっていたのだ。伊織も顔にじわじわと血が集まる。
「さすがに私の気持ちも伝わったかな?」
「ここまで情熱的に迫られたらどんな鈍い奴でも解るぞ」
伊織は細く柔らかい手を強く握り締める。
「俺もセイバーのことが好きだ。先に言わせてしまったな が。
……
おまえの唇にもう少し触れても構わないか?」
「もうすぐここにも人が来てしまう。それまできみが好きなだけ奪えばいい。この唇はきみだけのものなんだから」
もう魔法の口紅は必要ない。しっとりと汗で顔に張り付いた黒髪をよける。腰を屈めて上気した頬をを目に焼き付ける。そして魔法の解けた柔い唇を奪った。
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