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望月 鏡翠
2025-10-18 22:08:54
879文字
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再び山の中に入った萬木は、骸の場所を中心に雛の捜索を開始した。肉食の獣が生活した痕跡を探すのである。矢が刺さったままなら、それでも良いと思っていた。
途中で、骸も方に人の気配があり、上空を鳥が飛んでいた。
骸拾いが到着したのだ。
鏡で顔を確かめ、鱗を隠せていることを確認した。ここは狩場だ。まだ顔を隠していても不自然ではない。むしろ、堂々と顔を隠したまま、彼らと話すのなら今しかない。
治療に心得があるものが、手当を申し出たらどうするのかという懸念だけがあったが、彼らが仕事中の山の中でそこまで親切なわけはなく、何事もなくやり過ごすことができた。
薬草はいるかと勧められたので、怪我をしたという話に説得力を持たせるのと、今後のことも考えて、少し多めに買っておいた。
骸拾いから、食料をもらい素材をその場で金に変えてもらう。彼らはまだ萬木が止まっているとは思っていなかったようで、龍から剥がした素材の配分や、手間賃などといった話が早く進むことに驚きつつも、喜んでいるようだった。
雛に逃げられたのだ、と萬木は彼らに告げた。
だからまだしばらく狩りを続けるし、帰り道には注意を払ってくれ。何か見つけたら鳥を飛ばして知らせてくれ。
そう言って、彼らの元を離れた。
骸に屍肉を啄む獣が集まっていない不自然さに、彼らは気づかなかったらしい。萬木が獣避けをしたのかと思ったのかもしれないし、妖怪のことだから、普通の獣と同じに考えては仕方がないと割り切っていたのかもしれない。
彼らと出会い細々とした素材が換金できたのは、萬木にとっては幸いだった。移動が多い骸拾いは、長持ちするいい保存食をたくさん持ち歩いている。
もう狩人はもう引退するとすら思っていたが、矢羽に使う羽も結局は必要なものだった。
生態もわからぬ獣を相手に、ほとんど手掛かりなく山を歩き回っているようなものだったが、萬木はついに龍の手がかりを見つけた。
龍の翼は鷹に似た見た目をしているが、猛禽とも違った模様と質感をしている。
それが血とともに木陰に落ちていたのだ。
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