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望月 鏡翠
2025-10-18 21:43:06
900文字
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日課
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#1874 一時の休息
#毎日最低800文字のSSを書く
地面を注意深く探していくと、抜けた羽が泥に埋まっているのを見つけた。周辺に、遺体は落ちていない。隠れているかもしれないと、藪も木の上も探し回ったが、雛の姿も痕跡もない。
それは、萬木にとって希望を持てる結果だった。やはり、雛は生き延びた。
雨で足跡も血の跡も流れていて、どこに逃げたのかはわからなかった。矢が届く範囲には限りがある。
しかし、怪我をしていたはずだ。一際小さい雛が、遠くへ逃げられるとは思えない。巣で暮らしていたのだから、安全な場所で守られながら生きることしか知らない。迷い出ることはあっても、遠くへ渡ってはいけないはずだ。
萬木は迷ったあと、先に近くの村に立ち寄って食料を補充してから改めて山に入ることにした。
焦ってはいけない。
山の中で雛を探して歩き回るのは、川床の砂から金を探り当てるようなものである。それを成すのが狩人という生業ではあるが、必要な道具と装備、そして根気と時間が必要だ。
改めて装備を整えなければ途中で力尽きて、より時間を無駄にする。炊き立ての米でも食べて力を取り戻してから、再び捜索を再開する。
街の人と言葉を交わして品物を買うくらいなら、顔を隠したままでも、怪我をしているだけだと言って、押し通すことができるだろう。
近くの村といっても、龍の姿を見かけずその存在を知らずにいられるくらいには離れている。
人の暮らしている場所に戻ってくると、気持ちが緩む。対照的に、村人は萬木が村にやってきたことに不安を抱いているらしかった。
当たり前だ。
単身で生きる狩人がやってくるということは、近くに妖怪がいるということなのだ。狩りが終わったあとだと告げると、彼らの態度は和らいだ。龍を知らなくとも薄青い鱗を見れば、素人目にも価値があるものだとわかる。
それを使って小さな鏡も手に入れた。この辺りの農村では鏡などまだかなり効果なものだったが、小刀の反射を覗き込むよりも、呪いがどうなったのかわかりやすい。
鱗は、幸い広がっていなかった。無理やり剥がしたのが悪かったのか、骸から剥がれたから影響が弱まったからなのかは、わからなかった。
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