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haruon1018
2025-10-18 11:42:55
2302文字
Public
原藤
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最期に地獄で踊れたら(原藤)
893の原田さんと中学生(もうすぐ高校生)の藤堂さんが藤堂さん母(ねつ造)の葬儀場で逢う話
☆藤堂さん母ねつ造してます(男を追いかけるタイプ)藤堂さんが母に愛想尽かした設定
☆藤堂さんが母の恋人の前で無垢な少年を演じている設定(手は出されない)
☆原田さんがヤクザ、諸事情で芹沢さんが原田さんの上司になっている
☆続きはいつか……詳しくはTwitterの引用で√展開描いてます
平助にとって母の死は悲しいよりもついにという感情の方が先に来た。
元々小さいながらも商家の令嬢だった母が親に隠れて逢い引きし、その結果生まれたのが平助だ。
祝福など当然されず、祖父母は勿論父からも縁を切られた状態から始まった人生は波乱に満ち溢れていた。
せめて母がこれ以上堕ちないよう祖父母はアパートを一つ母に与え、そこで生計を立てるように云ったようだが、不運を背負い込み、幸せそうな家庭を妬ましく思う管理人がいるアパートにまともな住人が居着くはずもなく、広いアパートはいつしか人にはばかれる関係の木賃宿となった。
不思議なことにそういう住人が住み着くと母のヒステリックは幾らか収まり、持ち前の美貌を生かして男を連れ込んだ。
母が連れてくる男は決まって家庭を求めていたので、母は良き妻に、平助はどんな男にでも父と懐く無垢な少年でいなければならなかった。
膝に座れと云われれば座り、風呂に入ろうと誘われれば背中を流す。
幸い、年齢よりもあどけない容姿は男たちの不埒な指を躊躇わせたようで無傷であったが、このまま母が生き続けていればいつかは穢されたかもしれない。
「この度はご愁傷様です、」
葬儀の日、母に手を合わせに来たのはこの前卒業したばかりの中学の担任、アパートに愛人を住まわせている近所の顔利き、居酒屋の主くらいで閑散としている。
まだ十五の藤堂に葬式が仕切れないので、こういうときこそ行政に頼るべきだと顔利きが連れてきた福祉の担当が火葬場とお経を上げる僧侶を紹介してくれた。
「生前は母がお世話になりました、」
頭を下げる平助を痛々しいと思っているのか、担任は涙を流しているがそれよりも明日からの生活を考えるだけで一杯だった。
流石に十五歳にアパートの管理が出来るはずもないし、そもそも参列せずに遠くで旦那の帰りを待っている婦人からはこれで如何わしいアパートがなくなる、清々すると云われいるのを、寺の手洗い場を借りるときに耳にした。
「学校はどうするつもりだ」
「
……
まだ考えていません、」
四月になれば平助は当たり前のように高校生になるはずだった。
頭の出来は誰に似たのか悪くなかったので、学費の要らない特待生として通えるが、生活費までは保障されない。
アルバイトをすれば自分一人くらいは養えるがそうすれば学業が疎かになる。
そもそも年齢寄りも小柄な平助を雇う店があるのかそれが問題なのだが。
三月の中途半端な時期に葬式を上げたので、中学の制服を着るわけにも行かずさりとて持ち前の服では格好が付かないので上着以外は中学の制服、上着は何人か前の母の恋人が出掛けるときに一枚あると便利なジャケットがあったのでそれを羽織って、形だけの喪主を演じている。
「
……
そうか、
……
彼は誰だ」
その時だ、原田と出会ったのは。
丁寧に焼香を済ませた喪服姿の青年は平助の顔を見るなり、引き取るとだけ云うと車に乗り込ませようとした。
「ちょっと君、この子の何だね」
「あ~保護者、保証人、あとなんだっけ、妖しいヤツではないから大丈夫ッす」
いや十分妖しいだろ、誰だと声を出そうとすれば赤毛の男は喪服の中から手紙と書類を取りだした。
「ココに彼のお母様から預かった手紙と後色々と手続きをしたモノがあります」
「おいおい、あんちゃんいきなりなんだって、おい福祉課ちょっとこい、」
煙草を吸いに席を外していた顔利きと自分だけは最後まで座っていなければと形だけ手を合わせていた役人がこちらへ来た。
「
……
確かに書類上はこちらの方が彼を引き取る事で間違いないですが
……
」
それにしても若すぎる、藤堂が十五歳の割に小柄なので男とは身長差がだいぶあるが男の年齢はせいぜい二十代前半くらいだ。
「問題はない、ならコイツを引き取っても構いませんね、先々のことを話さないといけないので」
「
……
名前、」
名前も知らない男に着いていくほど子どもではないとぼそっと男に名を聞けば男は、
「原田、」
とだけ名乗った。
まだ何か言いたげな大人達を残して原田と平助は車に乗り込む。
「あの原田さんは、僕の何になってくれるんですか、僕
……
」
見るからにヤクザモノであれば自分が売られるという事が分かるが、原田は前髪が下りている分怖そうに見えるが、顔立ちはすっきりしているので堅気にも見える。
木賃宿の客には男を対象とするモノもいたし、母が亡くなる直前の男も平助にそれを求めようとした節があった。
もっともその行為は母が狂乱し、平助を殴ったことで男と一緒に立ち消えた。
「演技なら止めろ、うちの芹沢さん子どもにそういうのされるの嫌う」
芹沢というのが男のボスなのかと平助がぼんやりしていると、ふいに涙が頬を伝った。
「じゃあどうすればいいんだ、僕は、僕は
……
」
嫌われないように演じていたのに、それをしなくて良いと云われて嬉しいはずなのに怖くなる。
どうしていいか分からず泣いていると、原田が首を傾げる。
「思った通りにすればいいじゃないか、少なくともあの場にいたお前より今のお前の方が俺は話しやすい、」
だから泣けば良いと原田は車の窓を開けて湿った空気を外に出そうとした。
母が死んで最初に流した涙が自分のためとはつくづく親不孝な子どもだと平助は後から思った。
もっともこの後、原田というヤクザモノに囲まれ、母が得たかった自分だけを愛する男と添い遂げたのだから、彼女は地獄で平助を呪い続けているかもしれない。
恨み節なら地獄で原田と聞いてやろうと、平助は最期に笑ったのだった
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