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A4
2025-10-17 07:57:45
1150文字
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助手2号のお兄ちゃんのイトアキ
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妹の心境/ 助手2号のお兄ちゃんのイトアキ
妹視点の書き散らし
郊外のチャンピオンが花屋に行きたいというので付き添いでついていってみれば、贈る相手は自分の兄に、なのだという。
女の子を誘っておいてそれはないんじゃないのとにやにや揶揄うと、その表情は兄にそっくりだと言われた。
今まで、頼れる兄のことをそんな風に評した人間はいない。
なるほど、このチャンピオンは他の人間とは違うらしい。道理で、つかず離れず兄が時間を割いているわけだ。
できあがった鉢植えは以前に贈ってくれたものよりも慎ましやかで頑丈そうで枯れなさそうだった。
これが兄のイメージなのかと問うたら、チャンピオンはきょとんとした顔をしていた。
「華奢な花を贈ってもすぐにあんたにやってしまうだろう」
それもそうで、兄の行動をわかっているらしいのが、なんだか面白くなかった。
「ルミナモールで時間つぶすから、ライトさんは先にお店に行ってていいよ」
「そうか」
「ごゆっくり」
片目をつむって送り出す。
カフェに入ってエスプレッソを頼み、砂糖を三杯入れてかき回さずに飲み干した。
苦みにほんのり甘さのあるカフェインが喉を通り過ぎていく。
往来を歩く人々を、頬杖ついて店内から眺めてため息をついた。
きっとあの鉢植えは兄の部屋に居座るだろう。思い出したときに世話をするだろう。会うたびにあの鉢植えについて報告するだろう。
よかったという気持ちと自分の知らない時間が増えていくことに寂しさを覚える。
とっぷりと日が暮れてから店に戻ると、チャンピオンの姿はなかった。
「おかえり、かわいい妹よ。散財しまくったのかな」
「ただいま、お兄ちゃん。ぶらぶらしてただけだよ」
兄は鼻歌交じりに戸締まりをしていた。今日は機嫌がよい。来客があったためかと想像しながらバックヤードに入ると、紙などのハードコピーを収納しているラックの上に鉢植えが置かれていた。
「これ、どうしたの?」
「君が知らないはずないだろう」
「知ってるけど、ここに置くってこと?」
「僕に世話ができるわけがない。君もたまに霧吹きを吹くように」
「お兄ちゃんがもらったものでしょ」
「だからだよ」
兄は肩をすくめた。
自分の部屋には置きたくないらしいことを読み取って、なんだかじわじわと嬉しさがこみ上げてくる。兄の腕を取って肩に頭を乗せた。
「おやおや、今日は甘えただ」
「今日はラーメンでもいいよ」
「どうした心境の変化だろう。晩ご飯は君の好きなものでいいよ」
「じゃあ、デリバリー頼んでいい?」
「もちろん」
兄が微笑む。
その後も鉢植えはバックヤードに置かれ、すぐに枯れるかと思いきや、兄はこまめに手入れをしていた。
あのとき喜んだのが子どもっぽいやきもちだった自覚はあり、それからもチャンピオンに会うたびにもやもやしたものを抱えるのだった。
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