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syanpon
2025-10-16 22:17:58
2514文字
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あなたの手のひらの上ってことな
現パロ
オトスバ
――
キスは好きだ。
「ナツキさん」
一人暮らしをしている男のリビング、名前を呼ばれて頬を撫でられるくすぐったさに肩をすくめれば年上の恋人がくすりと笑う気配がする。気配はするけれども名を呼ばれた時点で期待と羞恥で目を瞑ってしまっているから実際のところはわからない。ふに、と恋人の柔らかい唇が音もなく押し当てられる。
はじめの頃は硬く目を閉じるのと一緒に顔全部に力が入ってしまって「唇固くなってますよ」と指でなぞられて笑われたものだ。そこから不意打ちのキスを何度かお見舞いされてあの頃よりかは力は抜けていると思う。
二、三度ほど唇の形を確かめ合うように押し当てられたあとチュッと音を立ててキスをされた。
そのまま頬、瞼、額、鼻先へと順番にキスが降ってくる。この順番はオットーの気まぐれだ。耳から始められた時はびっくりして彼を突き飛ばしてしまったのは互いに苦い思い出で、それ以来耳からのキスは今のところ、ない。
「ふふ、低い鼻」
「おい」
揶揄うような声音に対し睨みつけるために目を開いたのがいけなかった。視界いっぱいに広がるのは薄墨色ととろりと溶けてスバルを映す、青。
「ぅ、あ」
「
……
ナツキさん、僕の顔好きですよねえ」
頬に添えられていた手の親指だけが器用に動いてスバルの頬を愛おしげになぞり、反対の指先はスバルの唇を開けさせるようにすりすりと唇を往復される。
「オットーが、好き」
声を出すためには口を開けなければならない。思い通りになっているようでなんだか癪で、でも伝えたくて。
それでもやっぱりどうにか一矢報いたくて恋人の指を口内に迎え入れて甘噛みしてやる。
「あんまり可愛いことしないで」
「んん
……
ん!?」
招き入れた指がスバルの口内を我が物顔で動き始める。じゅぷりと唾液に塗れた指を出し入れされ口蓋をくすぐられるとどうにも体の力が抜けてしまう。応戦するように動かしていた舌も押さえ込まれ、弄ばれる。
口許が緩んで唾液が垂れることにはちゅうとオットーの指に甘えるように吸い付くだけになってしまっていた。
「んむ、ん、ぁむ
……
」
「ふふ、赤ちゃんみたいになってますよ。僕の指美味しいですか?」
ゆっくりと口の中からオットーの指が引き抜かれていく。無意識にそれを追いかけて舌を出せば笑われて頭を撫でられた。ごつごつとした見かけよりも男らしい指が埋められていた口の中がどうにも寂しくてオットーの胸元を握りしめ、誘うように口をぱかりと開ける。
くすくすと笑われてオットーが自身の髪の毛を耳にかけて顔を寄せてくる。顔に髪の毛がかかるのは気が散るだろうと時々思い出したようにするその動作がスバルは好きだ。でもふわふわの柔らかい癖毛が頬をくすぐってくる感触も本当は好きだったりする。言わないけれど。
伏せられた青と口の中からちらりと覗く舌の赤さが目に毒でぎゅっと目を閉じて、でも口は薄く開いたままで迎え入れる。
キスは、好きだ。
オットーの舌がスバルの唇を割り開いて縮こまっていた舌先を遊ぶようにちょんちょんとつついてくる。それにそろそろとつつき返せばスバルより幾分長い舌が蛇のように巻き付いて絡んで啜られる。
「ん、んぁ」
「ほら、息して。そう、上手
……
」
一呼吸分だけ唇をほんの少しだけ離されてまたすぐに塞がれる。指でくすぐられるだけでどうしようもなくなってしまう口蓋を舌先でべろりと舐め上げられると酸欠と与えられる快楽でオットーに力無くしがみつきながらズルズルとソファに体を預けていく。
息継ぎと一緒に下唇を悪戯にはまれて溢れた唾液を指先で戻され飲み下すことを強制される。
いつのまにかオットーの腕が顔の横に立てられていてソファと挟まれる形で囚われている。もつれて痺れてきた舌を必死に絡ませながらスバルはドキドキと一つの可能性に思いを馳せる。
キスは好きだ。
抱きしめられるのも頭を撫でられるのも、恋人とするふれあいは全て好きだ。
でも18歳青少年、“その先”にだっていたく興味がある。
(ソファで一人暮らしの恋人の家でこの状態
……
ついにか!?)
そう思っているとぱ、と唇を離された。顔で陰っていた視界に室内灯の灯りが眩しくてパチパチと瞬きをすれば困ったような顔をした恋人がスバルの顔を覗き込む。
「どうかしましたか?」
「へ」
「なんか急に上の空」
「え、あ、えっと」
ついに今からエッチなことをするのかと思っていました、なんて口が裂けても言えない。目を泳がせて口をぱくぱくさせているとスバルの上にのしかかったままのオットーが呆れたように眉を寄せる。
「シないのかって
……
しませんけど」
「ガッデム!? 全部聞こえてた!?」
「僕は大人であんたはまだ学生の身ですし
……
」
「でも俺18だし! 好奇心を燻らせるのと我慢は体に良くないし!」
オットーはスバルの減らず口に何か考える素振りを見せたあと、スバルをぎゅうと体重をかけたまま抱きしめてくる。全部包まれているような圧迫感のあるハグは大好きだけどそれまでの会話とのつながりが見えなくて目を白黒させていると、うなじを撫でるようにするりと手のひらが入り込んでまた深く口付けられた。
「んー
……
」
「ん!? ん、ちゅ
……
んん
……
♡」
時々される酷い方。
息継ぎもさせてくれないやつ。
数十分だったから数秒だったのか、ぐでんぐでんに蕩けたスバルを見下ろしてオットーはニコリとほほ笑む。耳にかけた髪の毛が落ちるのも気にせずに唾液を拭う仕草がひどく目に毒だ。
「我慢って体に良くないって言いますけど」
そう言って今度は可愛くリップ音を立てて頬にキスを落とされる。
「ナツキさん、我慢した方が食べごろになるかなって」
「ひぇ
……
」
蠱惑的に微笑む男に降参だとスバルは両手をホールドアップする。
顔を引き寄せられて再開される口付けにスバルはもう一度目を閉じた。
***
「ん? それ卒業までの言い訳か?」
「
……
ナツキさん、はいちゅー」
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