2025-10-16 05:20:32
26504文字
Public Sigma
 

過去編 Side:S 03


(Sigma Siegfried) (ダルマスカ砂漠 ラバナスタ辺境――廃都を案内しながら辿り着いた先には、風化しつつある墓場が残っているようだ)
(Sigma Siegfried) ……流石に、130年も経ちゃくたびれちまってるなァ
(Phalaena Minor) お墓がこうだと、流石にちょっと複雑な気分ですね
(Sigma Siegfried) ま、荒らされたわけじゃねえだけマシじゃねえかな
(Phalaena Minor) ああ、それは確かに。掘り起こされたりしたら溜まったものじゃありませんからね
(Sigma Siegfried) この辺入り組んでっし、陥落した後も気付かれねえまま残ってたんかもな。
(Phalaena Minor) ある意味運が良かったのかもしれませんね。見つかったらもっとひどいことになってたかも
(Sigma Siegfried) わざわざ墓暴きするほど人道のねえやつらかは知らねえが
(Phalaena Minor) さぁ。でも、攻め込まれたならそういうこともあり得そうですし
(Sigma Siegfried) ……ま、そうか。騎士の墓なんざ値打ちもんの宝庫だし、戦争でなくとも手癖の悪ィ冒険者がいりゃ根こそぎ持ってかれてたかもしんねえなァ
(Sigma Siegfried) (/em は倒れた墓石を起こし、軽く土を払った。
(Phalaena Minor) ここが?
(Phalaena Minor) (/em は軽くかがみ、墓石を覗き込んだ。
(Sigma Siegfried) そ。こっからそこまで。
(Sigma Siegfried) (/em は柵に囲われた区画を指で示した。
(Phalaena Minor) 予想はしてましたけど、墓石が倒れたり荒れ放題ですね。軽く掃除でもしていきます?
(Sigma Siegfried) ………だ、なァこんだけ放っといて、今更と思われるかもしんねえけど
(Phalaena Minor) まあ、せっかく来たのに何もせずに帰るよりはマシですよ。多分。
(Sigma Siegfried) ……ん。
(Sigma Siegfried) (/em は水入りバケツと雑巾と箒を持ってくると、箒をPhalaena Minorに差し出した。
(Phalaena Minor) (/em は放棄を受け取ると、早速地面を掃き始めた。
(Sigma Siegfried) (/em は土と苔を払いながら、丁寧に墓石を磨いていく。
(Sigma Siegfried) ……こいつさァ弓の名手だったんだが犬が苦手でよォ
(Phalaena Minor) え。なんで?吠えられるのが苦ってだったとか
(Sigma Siegfried) まガキん頃に追っかけ回されたらしくてなァ。
(Phalaena Minor) あぁ。子供の頃の怖い思い出って印象に残りやすいですからね
(Sigma Siegfried) らしいなァ。で、街の巡回任務ん時に犬飼ってる家のルート当たる度に、泣きながら代わってくれって懇願してきたっけな
(Sigma Siegfried) (/em は思い出して笑いながら拭き掃除を終え、雑巾を絞った。
(Phalaena Minor) 泣くほどって。代わってあげてたんですか?
(Sigma Siegfried) ……流石に泣きつかれちゃなァ
(Phalaena Minor) 相当怖い思いをしたんですね……。噛まれたのかな
(Sigma Siegfried) ケツを噛まれたらしい。3回くらい
(Phalaena Minor) うわぁ……
(Phalaena Minor) (/em は流石にちょっとかわいそうと思いながら墓石を見た。
(Sigma Siegfried) (/em は次の墓石の汚れを払い、丁寧に拭いていく
(Phalaena Minor) そっちの人は?
(Sigma Siegfried) ……ん-書類上じゃ術士で扱ってたはずなんだが
(Phalaena Minor) まさか杖で殴るタイプとか
(Sigma Siegfried) うん半分正解
(Phalaena Minor) えっ、じゃあもう半分は?
(Sigma Siegfried) 拳
(Phalaena Minor) ……?なんで術士扱いなんです??
(Sigma Siegfried) わっかんねえ
(Phalaena Minor) (/em は困惑したように奥の墓石を見た。何故
(Sigma Siegfried) いや、ちゃんと知識はあったよえらい屈強だっただけで
(Phalaena Minor) 知識があって屈強で拳で戦う術士……。魔法は??
(Sigma Siegfried) ………
(Sigma Siegfried) ……今思えばそういう魔法だったのかもしんねえし
(Phalaena Minor) …………
(Sigma Siegfried) (/em は綺麗になった墓石をぽんぽんと撫でて立ち上がった。
(Phalaena Minor) (/em は魔法の定義とはと思いながら苦笑いを浮かべた。
(Sigma Siegfried) (/em は倒れた墓石をよいしょと起こした。
(Phalaena Minor) 既にだいぶ濃いメンバーのような気がするのですが。もしかしてその人も
(Sigma Siegfried) ドマから来たっつう忍でさァ、斥候担当だったんだが……
(Phalaena Minor) (/em はチラリと墓石の方を見た。今度はどんなエピソードが飛び出すんだろう
(Sigma Siegfried) ……や、まあ、気のいい奴だったよ。多少調子良くて女好きなくらいで
(Phalaena Minor) んん、まあ女の人が好きな人もそれなりにいますしね。多少
(Sigma Siegfried) ま、ナンパ成功してんの見たことねえけど
(Phalaena Minor) そんなかわいそうな情報付け足さなくていいです……
(Sigma Siegfried) 流石に他部隊の女子の考察ノート出てきた時は処分させたが
(Phalaena Minor) え”っ
(Phalaena Minor) (/em はお墓ではあるものの、少し距離を置いて掃き掃除を再開した。
(Sigma Siegfried) んなとこで隠密の技活かさなくていいっつうのに
(Sigma Siegfried) (/em は思い出して軽くため息を吐きつつ、墓石を綺麗に拭き上げた。
(Phalaena Minor) そういうのはもっと別のことで活かしてほしいものです……
(Sigma Siegfried) ホントな。や、仕事は出来んだよ、そんなんでもよォ
(Phalaena Minor) 私生活がちょっとあれみたいですけど
(Sigma Siegfried) 迷惑かけてなきゃまあいいかなって……
(Phalaena Minor) バレてたら大変でしたけどね
(Sigma Siegfried) ……バレる前に発覚してよかったよ、ホント
(Phalaena Minor) まあ、もしかしたらバレないようにうまく隠すこともできたのかもしれませんけど
(Sigma Siegfried) ……かもしんねえな
(Sigma Siegfried) (/em はそれぞれの思い出を交えつつ、ひとつひとつ丁寧に墓石を拭いていく
(Sigma Siegfried) ……不思議なもんだよな。こんな有様になっちまっても、顔も声も思い出も、昨日会ったみてえに思い出せんだからよ
(Phalaena Minor) 忘れるよりはいいと思いますよ。時間と共に忘れていくとか、ちょっと寂しいですし
(Sigma Siegfried) ……かもな。生きてたこと覚えてられんの、もう俺くらいしか残ってねえし
(Sigma Siegfried) (/em はいやもう一人いた気がすると思いつつ思い出さなかったことにした。
(Phalaena Minor) まあ、たまに忘れたくなる時もありますけど、だからと言ってそう簡単に忘れられるわけでもありませんしね
(Sigma Siegfried) 忘れちまいたいと思ったことはねえけど……
(Sigma Siegfried) ……あの時こうしときゃ、変わってたんかもな、とは
(Phalaena Minor) ……。ああ、そういう。今更考えても意味はないものの、もしもを想像してしまうのはよくありますからね。
(Sigma Siegfried) ま、考えるだけ無駄なんだけどな。過去に戻れるわけもねえし。っと
(Sigma Siegfried) (/em は立ち上がると、奥にある最後の墓石に視線を向けた。
(Phalaena Minor) (/em はチラリと奥の墓石を見た。一つだけちょっと遠いな
(Sigma Siegfried) よォ。待たせちまったな。
(Sigma Siegfried) (/em は墓石に目線を合わせると、少し寂し気に、優しく微笑んだ。
(Phalaena Minor) (/em は墓石を見た後、チラリと Sigma Siegfried を盗み見た。近しい人だったのだろうか。
(Sigma Siegfried) ……ああこいつはな
(Sigma Siegfried) (/em は言葉を紡ぎながら、土で隠れた墓石の名を拭う――
(Phalaena Minor) (/em は墓石に刻まれた名前を確認しようとして、ふっと視界が暗転した。
(Phalaena Minor) ―――――――――――――――――――
(Sigma Siegfried) (130年前 ダルマスカ砂漠――遺跡の近辺では、十数名の騎士達が慌ただしく連携を取り合っているようだ
(Sigma Siegfried) 隊員「――隊長!大変!大変です!ちょっと来てくださいよ!」
(Sigma Siegfried) ……?何だ、連中に動きでもあったか?
(Sigma Siegfried) 隊員「違くて!いいから来てください、女の子が倒れてんですよ!」
(Sigma Siegfried) (/em はLull KriemhildRamuhと顔を見合わせ、首を傾げた。
(Sigma Siegfried) 女ァ?んなわけ
(Sigma Siegfried) (/em は案内されるまま歩みを進め、視界に入ったを見下ろした
(Sigma Siegfried) ……いる
(Lull Kriemhild) (/em は訝し気にしつつも、Phalaena Minorに近付くと、軽く観察した後とんとんと肩を叩いた。周囲では一部の隊員たちがざわざわと見守っている
(Lull Kriemhild) ちょっと、お嬢さん。大丈夫ですか
(Phalaena Minor) ん……
(Sigma Siegfried) (/em はPhalaena Minorをじっと覗き込んでいる。
(Phalaena Minor) (/em はゆっくりと目を開け、ぼんやりと二人を見上げた。
(Phalaena Minor) ……せん、せい
(Lull Kriemhild) (/em は首を傾げ、Sigma Siegfriedに視線を向けた。知り合いか?
(Sigma Siegfried) (/em はLull KriemhildRamuhに首を振った。知らん
(Phalaena Minor) (/em は Sigma Siegfried を見てぽつりと呟いた後、ハッとしたように起き上がった。少し頭がくらくらする
(Lull Kriemhild) 大丈夫?どこか痛みます?
(Lull Kriemhild) (/em はPhalaena Minorに気遣うように目線を合わせた。
(Phalaena Minor) あ、い、いえ。少し頭はしますけど、大丈夫です。
(Lull Kriemhild) そうなら良いのですが何故、こんなところに?
(Sigma Siegfried) (/em は周囲の隊員達に元の配置に戻るよう指示している
(Phalaena Minor) それが。正直なところ、わたしにも分からなくて。全く記憶にない場所ですし
(Lull Kriemhild) ……ふむ。もしかして、誰かに連れてこられたとか。
(Phalaena Minor) ……そういうわけではないと、思いますけど
(Lull Kriemhild) ……そういうわけではない……ふむ
(Sigma Siegfried) (
(Phalaena Minor) (/em は目の前の二人と周囲を観察しつつ、状況を把握しようとしている。多分というより、明らかに以前似顔絵で見た顔がいる。
(Sigma Siegfried) ……参謀。
(Sigma Siegfried) (/em は通信を聞きつつ、時間であることを伝えるようだ。
(Lull Kriemhild) (/em は冷静に頷きつつ、この後の動きについて伝える――
(Sigma Siegfried) 悪ィね、嬢ちゃん。
(Sigma Siegfried) ちィと今それどころじゃなくてよ。後で話聞くから、一旦こいつと安全なとこ居てもらえっか?
(Phalaena Minor) ……分かりました。見たところお仕事中みたいですし、できるだけ邪魔しないようにしてますね。
(Sigma Siegfried) おう、聞き分けいい娘で助かるわァ。
(Phalaena Minor) (/em はよいしょっとゆっくり立ち上がり、砂を払った。
(Sigma Siegfried) (/em は少し笑うと、他の隊員達に指示して任務の場所へと向かうようだ。
(Lull Kriemhild) ではお嬢さん、こちらに
(Lull Kriemhild) (/em は安全な場所に退避すると、物陰から様子をうかがいつつ通信で適時指示を入れている
(Phalaena Minor) (/em はそっと物陰から様子を伺いつつ、目を伏せながら考え込んでいる。
(Sigma Siegfried) (――遠くからは激しい戦闘の音が聞こえてくるようだ。)
(Phalaena Minor) ……参謀さん?はわたしについていても大丈夫なんですか?戦力的にも、一人抜けた分は大きいのでは
(Phalaena Minor) (/em は少し心配そうにチラリと Lull KriemhildRamuh を見た。
(Lull Kriemhild) 大丈夫ですよ。どの道、伝達の為にここには一人残る予定でしたから。代わってもらっただけです。
(Phalaena Minor) そうですか。なら、よかったです。わたしのせいで作戦に支障が出るのはちょっと申し訳ないので
(Phalaena Minor) (/em は少しほっとしたように息を吐いた。
(Lull Kriemhild) 不測の事態はいつだって起こり得るもの。そういった時に備えるのが私の仕事でもありますからね。
(Lull Kriemhild) (/em は安心させるように微笑みつつ、通信の音に耳に手を添えた。一瞬ピクリと固まり、ふいっと後ろを向いた。
(Phalaena Minor) ……
(Phalaena Minor) (/em は少し不思議そうに首を傾げた。
(Lull Kriemhild) ――逃がしただァ?馬鹿、あれほど注意しとけって言っただろうがタコ!!いい、一旦引き上げてこい!!
(Lull Kriemhild) (/em はリンクパールを口元に寄せて怒鳴りつけると、いそいそと耳に戻し、咳払いをした。
(Phalaena Minor) (/em は突然の怒鳴り声にビクッと肩を震わせ、モス……と手を彷徨わせた。いない。
(Lull Kriemhild) 失礼。
(Phalaena Minor) ……い、いえ
(Sigma Siegfried) (/em は隊員達と共に戻ってくると、指示して先に行かせ、大きくため息を吐いた。
(Sigma Siegfried) やー悪ィ、ポカしたわァ
(Lull Kriemhild) ……。申し開きは?
(Sigma Siegfried) ……ございません
(Sigma Siegfried) (/em はちょっとしょもっとした。
(Sigma Siegfried) ……や、でも今足取りは追わせてっから
(Lull Kriemhild) (/em は小さくため息を吐いた。
(Lull Kriemhild) 仕方ない、一度拠点に戻りましょう。この子も保護しないといけませんし
(Phalaena Minor) (/em は端の方で縮こまりながら二人の様子を見ている。先程の勢いにちょっと気圧されたようだ。
(Sigma Siegfried) (/em はPhalaena Minorの様子を見て、少し苦笑した。
(Sigma Siegfried) ……悪ィね、吃驚させちまったろ。後で街まで送りとどけっから、お兄さん達と一緒に来てもらえっかな?
(Phalaena Minor) おにいさん……
(Phalaena Minor) (/em はお兄さん?と首を傾げつつ、でも本当にここが過去ならお兄さんくらいの年齢の可能性もあるのかと考えている。
(Sigma Siegfried) ……え、何
(Lull Kriemhild) ……このくらいの子からしたら、もうおじさんじゃないですかねえ
(Sigma Siegfried) おじ……
(Sigma Siegfried) (/em はちょっとショックを受けている。
(Phalaena Minor) えっ。い、いえ、すみません。知り合いにヴィエラ族のおじさんがいるもので、つい
(Sigma Siegfried) ……そ、そかまァ見た目あんま変わんねえもんな
(Phalaena Minor) えぇ、本当に。見た目じゃ全然分からないので
(Phalaena Minor) (/em はそっと目を反らした。あなたのことなんだよなと思っている。
(Sigma Siegfried) ……まだ40なんだけどなァ
(Sigma Siegfried) (/em は目を伏せてぽつりと呟いた。
(Lull Kriemhild) (/em はキャリッジを手配しつつ、他種族の40は立派なおじさんなんだよなと思っている。
(Phalaena Minor) (/em はチラリと Sigma Siegfried を見た。この人が本当に昔のせんせいならだいたい130年前かと考えている。
(Phalaena Minor) ま、まあ、見た目が若々しければお兄さんだと思いますよ。……たぶん
(Sigma Siegfried) ……んじゃ、お兄さんってことにしといてくれや
(Sigma Siegfried) (/em は到着したキャリッジに乗り込み、Phalaena Minorに手を差し伸べた。
(Phalaena Minor) はぁい
(Phalaena Minor) (/em は Sigma Siegfried の手を借り、キャリッジに乗り込んだ
(Sigma Siegfried) (/em 達は騎士達のキャンプへと到着するようだ。周囲では次の作戦に備えて慌ただしく隊員達が走り回っている。
(Phalaena Minor) (/em は邪魔にならないように端の方にいようと少し寄った。
(Lull Kriemhild) すみませんね、慌ただしくて。
(Phalaena Minor) いえ、不可抗力とは言え、突然転がり込んだのはこちらですので。
(Sigma Siegfried) (/em は戻ってきた隊員から報告を受けている。ふと背後をみた隊員が「あ!女の子!」と声を上げたので引っぱたいた。
(Phalaena Minor) (/em は引っ叩かれた隊員を見た。あの人もしかして
(Sigma Siegfried) (/em の視線の先で話している隊員は、Phalaena Minorと目が合うと懲りずにいい笑顔で手を振った。
(Phalaena Minor) (/em はパチパチと目を瞬かせると、にこりと笑って軽く手を振り返した。この人のノートもう見つかった後なのかなと考えている。
(Sigma Siegfried) (/em は軽くため息を吐くと、「隊長~どこでこんな娘拾ってきたんさ~!えっ落ちてた?運命~~!!」と騒いでいる隊員の耳を引っ張って会議に向かうようだ。「いたたた隊長!痛い!ちぎれちゃう!」
(Phalaena Minor) ………。賑やかですね……
(Lull Kriemhild) ……全く緊張感のない
(Lull Kriemhild) (/em は頭を抱えて大きくため息を吐いた。
(Phalaena Minor) まあでも、緊張しすぎるよりはあれくらいの方がうまくいったりしますし
(Lull Kriemhild) 無さすぎるのも困りものですが……まあ、そうですね。なんだかんだ、あれで良い方に調和しているので
(Lull Kriemhild) (/em は苦笑しつつその場に座ると、座って、というようにぽんぽんと床を叩いた。
(Phalaena Minor) (/em はコクリと頷きながらその場に座った。
(Lull Kriemhild) 少しお話しましょうか。君も突然連れてこられて混乱しているでしょうし、私達からしても、素性がわからないまま置いておくわけにもいきませんから。家に送り届けるにしても、ね。
(Phalaena Minor) そうですね。状況を整理しようにも、今のところ分からないことだらけなので。それに、わたしの素性もちゃんと聞こうとする辺り、ちょっと安心しました。疑いもせずほいほいと受け入れられたらどうしようかと
(Lull Kriemhild) まさか。一度話を聞いてみないことには、疑うことも信じることもできませんよ。
(Phalaena Minor) ……とは言え、話すにはちょっと複雑なので、どこまで話せるかはわかりませんが
(Lull Kriemhild) ……ふむ。そうですねでは、まず先に私達についてと現状から話しましょうか。
(Phalaena Minor) 助かります。現状を把握できた方がわたしも話しやすいですから。
(Lull Kriemhild) (/em は頷くと、現状について話始める。
(Lull Kriemhild) ここはダルマスカ王国、砂漠の南西。私達は王国に属する騎士で、ここには盗賊団の殲滅任務で遠征に来ています。
(Lull Kriemhild) ……そして、その作戦の最中、倒れている君を発見した、と。
(Phalaena Minor) (/em は目を伏せながら Lull KriemhildRamuh の話を耳に入れ、状況を頭の中で整理している。
(Lull Kriemhild) 最初は盗賊に攫われて逃げだしてきたのかあるいは、油断させるための刺客かとも考えましたが、どちらでもないようですし………
(Lull Kriemhild) ……ひとまず、迷子と仮定して、保護することを優先したといったところですかね。
(Phalaena Minor) 刺客の可能性は捨てきれないのでは……。これまでの言動が油断させるための演技だった可能性とか、考えないんです?
(Lull Kriemhild) (/em は少し笑った。
(Lull Kriemhild) そんなことを自分から言い出す刺客がいますか?
(Phalaena Minor) まあ普通は言わないものです。愛想よくしてうまく信頼を得る方が効率がいいですし
(Lull Kriemhild) よく分かっている。完全に可能性を排したわけではありませんが、その線は薄いとは思っていますよ。そもそも、外見からしてこの辺りではまず見かけない服装ですし。それ程上等で、変わった衣服を用意する理由も資金も、盗賊達にはないでしょう
(Lull Kriemhild) そのあたりの村娘の衣服を着せておく方が、よっぽど油断を誘いやすい。
(Phalaena Minor) なるほど、そういうことなら納得しました。実際刺客ではありませんし、普段はエオルゼアにいることの方が多いので、見慣れない服なのは当然ですね。
(Lull Kriemhild) ………。エオルゼア。随分と遠い地だ。それが何故こんなところに?
(Phalaena Minor) 普段、一緒に行動している人がダルマスカに用事ができたので、ついてきたんです。ついでにお墓参りをしていたはずなのですが気付いたらここに
(Lull Kriemhild) ふ、む……。状況だけ聞くと不可解ではありますが……それなら、ひとまずその墓地に戻ってみれば、その方と合流できるかもしれませんね。場所はわかりますか?
(Phalaena Minor) 確かラバナスタの少し入り組んだところに。道は何となく覚えているので、行ったら分かると思います。
(Lull Kriemhild) ラバナスタかそれなら話は早い。私達もこの作戦が終わり次第、ラバナスタに帰還しますから、送り届けましょう。とても女性ひとりで行ける道のりではありませんからね。
(Phalaena Minor) 助かります。ここからじゃ道も分かりませんし、流石に一人での旅は無理がありましたから
(Lull Kriemhild) 大丈夫、そういった市民の為の私達騎士ですから。遠慮なく頼ってください。
(Lull Kriemhild) (/em は安心させるように微笑むと、リンクパールに手を当て、通信する。どうやらそのまま作戦に移行するようだ
(Phalaena Minor) (/em はピクリと耳を跳ねさせ、チラリとリンクパールを見た。
(Lull Kriemhild) (/em は一通り指示を伝達すると、通信を終える。
(Lull Kriemhild) 何事もなければ、数時間もかからないうちに帰還できそうですよ。
(Phalaena Minor) またうっかり取り逃がさなければ、ですね
(Lull Kriemhild) まさか。二度目は許されません。
(Lull Kriemhild) (/em はにこにこと笑った。目が笑ってない。
(Phalaena Minor) (/em はこわぁと思いながらそっと目を反らした。
(Lull Kriemhild) ……しばらく退屈させてしまうかもしれませんがすみませんね。あ、甘いものはお好きです?
(Lull Kriemhild) (/em はごそごそと懐を漁ると、いくつかチョコを取り出して差し出した。あまそう。
(Phalaena Minor) (/em はぴょこっと耳を反応させると、一つだけチョコをもらい、ぱくりと食べた。
(Phalaena Minor) ふふ正直大好きです。むしろ甘いものしか食べないので
(Lull Kriemhild) あはは、それはそれで身体に良くないんじゃないですか?まあでも、気持ちはわかります。
(Phalaena Minor) 他のものもおいしいんでしょうけど、どうしても甘いものが一番なもので。考え事をしてるとすぐ食べたくなりますし
(Lull Kriemhild) 頭を使うと、どうしてもそうなりますよね行き詰った時なんか、常に甘いものを摂取していないと落ち着きませんし……
(Lull Kriemhild) (/em は「角砂糖を齧っていたら流石に引かれたけど」と小声でぼやいた。
(Phalaena Minor) 角砂糖……。良いかもしれません……
(Lull Kriemhild) 一番手軽でしょう?
(Phalaena Minor) 片手で食べられますし、作業中にはちょうど良さそうです
(Lull Kriemhild) でしょう?なのに彼ときたら「蟻じゃねえんだから」とか「不健康がすぎる」とか
(Phalaena Minor) (/em は「自分はお酒がぶ飲みするくせに」と言いかけて口を噤んだ。あぶない。
(Phalaena Minor) 必要な糖分を摂ってるだけなんだから別にいいですよね。頭を使うためには必要な栄養ですよ。
(Lull Kriemhild) 全くです……よくわかっていらっしゃる。
(Lull Kriemhild) (/em はわかってくれるひといたと少し感慨深そう。
(Phalaena Minor) あんまり頭を使わない人には分からない感覚なんでしょうか……
(Lull Kriemhild) ……そうかもしれません。君も何か、頭を使うお仕事を?
(Phalaena Minor) 仕事はあんまり。まだいろいろと勉強中というか練習中というか……
(Lull Kriemhild) そっか、まだそんな歳でもないですかね。練習か……魔法とか
(Phalaena Minor) はい、巴術を少し。まだ大したことはできませんが、コツコツ練習してます。
(Lull Kriemhild) 巴術あちらの魔法ですね。少しずつでも、学ぶ姿勢でいることが何より大事ですよ。何か将来やりたいことでも?
(Phalaena Minor) ……いえ、今のところはあんまり。前まではあったんですけど、手痛い失敗をしてしまったもので
(Lull Kriemhild) ……失敗、ですか。
(Phalaena Minor) こう庭でお花をたくさん育ててたら、うっかり全滅させちゃった、みたいな感じです
(Lull Kriemhild) あちゃあ、それは手痛いですねそれで、別の目標を探しているところ、といった感じでしょうか。
(Phalaena Minor) そうですね。正直、今は見当もつきませんが
(Lull Kriemhild) 見つかりますよ、きっと。歩みを止めなければね。
(Phalaena Minor) そう、だと良いんですけど……
(Lull Kriemhild) 私も、目標も見失っていた時期があってそれでも、目の前にある道をひたすら進んでみたら、今はなんだかんだで充実していますから。
(Lull Kriemhild) それが自分で見つけるものか、誰かがもたらしてくれるのかはわかりませんが。進んでいれば、どちらかにはきっと巡り合えるものかな、と。
(Phalaena Minor) ……意外ですね、昔からずっと騎士なのかと……まあでも、どうせなら自分で見つけたいものですね。そういうの。自分のことですし。
(Lull Kriemhild) ふふ、子供の頃の話ですけどね。そうですね、どこまでいっても、自分のことで、最後は自分で決めなければいけないものだ。……同じ道を歩いてくれる誰かがいるというのも、悪くないものですけどね。
(Phalaena Minor) 同じ道を……
(Phalaena Minor) (/em はふと誰かを想像したが、いやぁやっぱり癪だなと頭を振った。
(Lull Kriemhild) (/em は様子を見て、少し笑った。
(Lull Kriemhild) 思い当たる人でも?
(Phalaena Minor) んん。いえ、確かに一緒にいてくれる人はいますけど、あの人にとっては娯楽らしいので、いないですね
(Lull Kriemhild) 一緒にこちらに来ていたという方でしょうか。娯楽、ですか。君が?
(Phalaena Minor) はい、お酒をガバガバ飲む怠惰で残念なおじさんです。どう娯楽にしてるのか、詳しいことは聞いてませんけど
(Lull Kriemhild) …………
(Lull Kriemhild) (/em は少し考えるように目を伏せた。
(Lull Kriemhild) その人、一度本部で話を聞かせてもらった方がいいかな?
(Phalaena Minor) え”っ。いやそれはちょっと難しいというか無理そうというか
(Phalaena Minor) (/em は「あなたの相棒の未来の姿ですよ」とはいえず、困ったように目を反らした。
(Lull Kriemhild) ……?そうですか?いやでも、こんな少女を娯楽扱いするような人は
(Lull Kriemhild) (/em は一旦保護したほうがいいのかなと真剣に考えている。
(Phalaena Minor) た、多分参謀さんが想像してるような扱いは受けてないと思うので。それにその、わたし見た目はこうですけど言うほど幼くもないというか……
(Phalaena Minor) (/em は「そもそも妖異なんですよね」と思いつつ、どうにかフォローしようとしている。
(Lull Kriemhild) ……そうなんですか?……そこまでいうなら、まあでも、何か困ったことがあったらすぐ頼ってくださいね
(Phalaena Minor) …………。寝て、お酒飲んで、寝て、お酒飲んで、お酒飲んで、たまに依頼に行って、寝てみたいな、怠惰の極みみたいな生活を矯正する方法、あります
(Lull Kriemhild) え”……
(Lull Kriemhild) (/em はちょっと引いている。
(Lull Kriemhild) ……他にやることないんですか?
(Phalaena Minor) たまにわたしの魔法の練習には付き合ってくれますけど
(Lull Kriemhild) 術士なんです?
(Phalaena Minor) いえ、斧使ってます
(Lull Kriemhild) ……???
(Lull Kriemhild) (/em は宇宙ウサチャン
(Phalaena Minor) 参謀さん?参謀さーん?
(Phalaena Minor) (/em は Lull KriemhildRamuh の目の前でひらひらと手を振った。
(Lull Kriemhild) っは……
(Lull Kriemhild) (/em は正気に戻った。
(Lull Kriemhild) ……何というか随分と変な人ですね?
(Phalaena Minor) ですよね。わたしもそう思います。
(Lull Kriemhild) なんでそんな人と一緒にいるんです
(Phalaena Minor) んん拾われちゃったからというかいろいろと荒れて暴れてたら殴られたからというか。あとはちょっと怖かったからなのも
(Lull Kriemhild) 怖かっ………やっぱりしょっぴきますか?
(Phalaena Minor) いえ、そういう怖いじゃなくてこう理解できない怖さ?みたいな
(Lull Kriemhild) 理解できない……?先の内容でも充分理解できないですけど
(Phalaena Minor) んん……
(Phalaena Minor) (/em はまあ、正体を明かしてみてもいいかと思いながら、チラリと Lull KriemhildRamuh を見た。
(Lull Kriemhild) (/em は不思議そうに首を傾げた。
(Phalaena Minor) 気に入らないからって殴ったはずの妖異を連れ出す為に、当然のように自分の片目を差し出すような人ですので
(Lull Kriemhild) …………
(Lull Kriemhild) (/em は情報量の多さに一旦整理するように目を伏せた。
(Lull Kriemhild) ……妖異。君が?
(Phalaena Minor) (/em はコクリと頷いた。
(Lull Kriemhild) ………で、件の方が片目を君に与えて連れ出した、と
(Phalaena Minor) (/em はうむと頷いた。
(Lull Kriemhild) なんで?
(Phalaena Minor) 娯楽のためでしょうか
(Lull Kriemhild) 娯楽のために片目を……
(Phalaena Minor) そうなりますよね
(Lull Kriemhild) えぇ………
(Lull Kriemhild) (/em はかなり引いている。
(Phalaena Minor) わたしも似たような反応をしました
(Lull Kriemhild) それは確かに怖い
(Phalaena Minor) でしょう?ちなみにそのことについて問い詰めたら「え?腕の方が良い?」とか「依り代がなかったから」とか言うんですよ
(Phalaena Minor) (/em は「まあこれあなたの相棒の未来の姿なんですけど」と内心思っている。
(Lull Kriemhild) ………。狂ってる
(Phalaena Minor) 恐ろしい人に拾われたなと思いました……
(Lull Kriemhild) ……逃げ出したりとか考えないんですか?
(Phalaena Minor) まあ暫く一緒に行動してみたら案外悪くなかったので
(Phalaena Minor) (/em は「最初は怖くて逃げられなかっただけですけど」とボソッと呟いた。
(Lull Kriemhild) ………聞いている限りでは堕落した狂人としか思えませんが覆すだけのメリットでも?
(Phalaena Minor) 堕落してますしとち狂ったところもありますけど、案外面倒はちゃんと見てくれるんですよ、あの人。魔法の件もそうですし、なんだかんだやりたいことは大体やらせてくれます
(Lull Kriemhild) ……騙されているかもとか、利用されているとかは考えられませんか?
(Phalaena Minor) 思いましたよ?あくまで利害関係で、裏切りもご愛敬だろうって。でも、そう思ってよくよく観察してたらそんなに器用じゃないことを思い知らされました……
(Lull Kriemhild) ……ふむ。何故、そう思うに至ったんです?
(Phalaena Minor) んん。黙ってればうまく隠せるんですけど、都合が悪いことでも嘘がつけなかったりとか。怒るとわかりやすいうえに手が出たりとか。嘘を見破るのはそこそこ得意なつもりですけど、どこからどう見ても素なんですよね。
(Lull Kriemhild) ……感情が隠せない、のでしょうかね。
(Phalaena Minor) そんな感じです。あと、あんまり人を疑わなかったり
(Lull Kriemhild) お人好しです?
(Phalaena Minor) そういうわけでもなさそうなんですけど。パッと見そう見えますね
(Lull Kriemhild) ……不器用そうには聞こえます。
(Phalaena Minor) えぇ、不器用なタイプだとは思います。人間関係でうまく立ち回れるタイプではないですね
(Lull Kriemhild) (/em はPhalaena Minorの瞳をちら、と一瞥すると、少し困ったように笑った。
(Phalaena Minor) ……
(Phalaena Minor) (/em は少し不思議そうに首を傾げた。
(Lull Kriemhild) ……いえ。流石にそこまで堕落した狂人は知り合いにはいないのですが
(Lull Kriemhild) 何となく、似たような不器用さを持った人間は身近にいたな、と。
(Phalaena Minor) ………そうですか、それは大変ですね。そのうち女の人にひどい目にあわされたりしますよ、それ
(Lull Kriemhild) いえ、もう手ひどい目に合わされています。かれこれ4,5回程
(Phalaena Minor) え”っ
(Phalaena Minor) (/em は思ったより多いぞ?と思っている。
(Lull Kriemhild) 好意を無碍にできずに押されるがまま、ですよ
(Phalaena Minor) あぁ……押しに弱いから……。もうちょっとこう押しに負けない強さを持ってほしいですね……
(Lull Kriemhild) 本当です……潰れかけてから重荷になってることに気付くんですよ、あれ。
(Phalaena Minor) どうしてこうそういうところは鈍いんでしょうか
(Lull Kriemhild) ……あまり自分自身に価値を感じていないのだろうな、とは。だから無意識に蔑ろにしてしまうのでしょうね。
(Phalaena Minor) …………
(Phalaena Minor) (/em は複雑な表情を浮かべながらも、これまでの言動を思い出し、そういうことかと納得したように大きなため息をついた。
(Lull Kriemhild) 全く、いい迷惑ですよ。そこに価値を感じているからこそ、皆彼についていっているというのに、とうの本人がこれではね。
(Phalaena Minor) もっと言ってやってください。そういう人間には自分の価値をちゃんと理解してもらわないと困ります
(Phalaena Minor) (/em は少しムスッとしながらうんうんと頷いた。
(Lull Kriemhild) どうしたらわかってもらえるんでしょうかね。散々言葉は尽くしたと思うんですが。
(Lull Kriemhild) (/em は困ったように笑った。
(Phalaena Minor) 言葉で分からないなら、あとは本人がするように殴るしかないのでは?グーで
(Lull Kriemhild) ……そうかもしれません。次に何かあれば、喝を入れてやりますか
(Phalaena Minor) ちゃーんと理解するまで容赦なくお願いします
(Lull Kriemhild) 当然です。
(Lull Kriemhild) (/em は悪戯っぽく微笑んだ。
(Phalaena Minor) ふっふっふ。期待してます
(Phalaena Minor) (/em は怪しい笑みを浮かべた。
(Phalaena Minor) ……そういえば
(Lull Kriemhild) ……はい?
(Phalaena Minor) ……いえ、ちょっと話は戻りますけど、妖異って知ってなんで警戒もせずおしゃべりできるんです?多少は警戒されるものと思っていたんですが
(Lull Kriemhild) ……ああ
(Lull Kriemhild) (/em は考えるように目を伏せた。
(Lull Kriemhild) 正直、情報量が多すぎて……疑念や警戒以前の問題だったといいますか。とりあえず、話を聞いてから整理しようと
(Lull Kriemhild) この場で悪事でも働こうものなら、即座に切り伏せはしますが。現状、そうでもないようですから
(Phalaena Minor) そりゃあ勝ち目ありませんし
(Lull Kriemhild) おや、そうですか?随分と頭は回りそうですが
(Phalaena Minor) 頭は回っても戦闘力が下の下ですからね。頭が回って戦える参謀に勝ち目とかありません。少なくとも、こうして小細工もできないくらいべったりしてるうちは
(Lull Kriemhild) ふふ、冷静に状況を判断できるのは良いことです。そういうわけですから、必要以上に警戒もしていませんよ。安心しておしゃべりを続けていただいて
(Phalaena Minor) 冷静に考えれば当然とはいえ、人と思考が被るのは何だか複雑ですね……
(Lull Kriemhild) そうですか?私は少し安心しますけどね。少なくとも自分達は合理的な思考ができているんだ、と。
(Phalaena Minor) まあ確かにそうですけど。わたしは単純に自分に近いものが嫌いですので。そういう部分を感じると、好き嫌いは別として複雑な気持ちにはなるんですよ
(Lull Kriemhild) 同族嫌悪というものですか。
(Phalaena Minor) 認めるのは悔しいですが、つまりそういうことです
(Lull Kriemhild) まあそうですね、わからない感情ではないです。自分がそうというわけでもないですが自分が嫌いな自分と同じことをしている人を見てしまうと、やはり複雑にはなりますからねえ
(Phalaena Minor) 正直、自分と同じものや近いものは何であれ複雑な気分になります。わたし以外の妖異も嫌いです。同族ですからね。
(Lull Kriemhild) 余程自分のことがお嫌いなようですね。というより、自分に納得できていないのかな。
(Phalaena Minor) まあ嫌いですし、納得もしてませんけど
(Lull Kriemhild) 言いようによっては、向上心があるということじゃないですかね。いくら嫌いな自分でも、こんなものだしなと諦めてしまうと、意外と周囲のこともどうでもよくなるものですから
(Lull Kriemhild) 納得できないうちは、どうにも張り合ってしまうんですよねえ。
(Phalaena Minor) 他人を通して自分を見てる気分になるんですよね。すっごくイライラします。まあ、やりすぎると際限がなくなるから程々にしとけとは言われたことがありますけど
(Lull Kriemhild) ふふ、そうですね。何でもかんでも欲張って張り合っていても、どうしても自分には限度がありますから。程々に納得させながら、これだけは譲れないというものを自分の許容量に合わせて選んでいくというのも、大切だとは思いますよ。
(Phalaena Minor) まあ、その通りですけど。理解はしていても、やっぱり難しいものです。今はちゃんとした目標が定まっていないから余計なのでしょうけど
(Lull Kriemhild) わかっていても、それを実行するのは容易くはないです。自分を変えるって、些細なことでも結構大変なことですからね。だって、それって自分が積み重ねたものの否定にもなり得るじゃないですか。
(Lull Kriemhild) ……人格というのは、そうしないと生きてこられなかった環境から自分を守るための鎧です。それを否定するって、勇気がいるものですよ。
(Phalaena Minor) ん……。そう、ですね。確かに、言われてみればそれを怖がってる節はある気がします……
(Phalaena Minor) (/em は複雑な表情で頷きながらそっと目を反らした。
(Lull Kriemhild) きっと、否定する必要はないのだと思いますよ。
(Lull Kriemhild) 全てが一つながりの自分である必要はない。それぞれの物事に対して、理想の自分をいくつも作っていけばいい、と、私は思っています。
(Phalaena Minor) ……いくつも?一貫性は重視すべきだと思いますけど。考え方や重視するものをその都度変えたら破綻しませんか?
(Lull Kriemhild) そこは先程言ったように取捨選択ですよ。譲れないものは選んで持っていていい。その上でも、物事によって最適な考え方や取り組み方って違うものですから。
(Lull Kriemhild) どうしたって変えられない自分が根っこにいる限り、多少考え方を変えてみたところで、案外破綻はしないものです。
(Phalaena Minor) なる、ほど。確かに、そう言われれば何となく納得できます。取捨選択が一番難しいところではありますけど
(Lull Kriemhild) そうですね、選ぼうと思うと悩んでしまうものかもしれません。そういう時、自分にとって何が一番大事なのか、考えてみるといいのかもしれませんね。
(Lull Kriemhild) 自分は何に対して怒りを感じたのか。何が嬉しいと思ったのか。そういったものを細分化していくと、少しずつ鮮明になっていきますよ。
(Phalaena Minor) 感情の細分化、ですか。正直、そういうのはちょっと苦手ですが。まあ、意識はしてみます
(Lull Kriemhild) 案外楽しいものですよ。多角的に物事をみて、色んな思考パターンを試していけるようになると、効率化も捗りますし
(Phalaena Minor) (/em はぴょこっと耳を跳ねさせた。
(Phalaena Minor) そう聞くとちょっとできるような気がしてきました。
(Lull Kriemhild) ふふ、頭を働かせるのはお得意でしょう?色々なものを効率化するゲームのようなものだと捉えれば、気楽なものですよ。
(Phalaena Minor) そういうゲームなら昔からなじみ深いものですし、結構得意です。うまく効率化で着た時の達成感は何度味わってもいいものですしね。
(Lull Kriemhild) お、話が合いますね。同じ物事に対しても様々なアプローチを試した結果、より効率のいい方法を見つけた時の喜びといったら
(Phalaena Minor) たまに新しい方法を見つけると楽しくなっちゃうんですよね。そこに合わせていろいろと調整していくのもたまにはいいものです
(Lull Kriemhild) (/em は朗らかに話しつつ、聞こえてきた通信に手を耳に当て、連絡を取っている
(Lull Kriemhild) ……無事終わったみたいですね。もうじき帰還するそうです
(Phalaena Minor) 無事に終わって何よりです。今度は怒らなくても良さそうですね
(Lull Kriemhild) 本当は怒りたくはないんですけどねえ
(Lull Kriemhild) (/em は苦笑した。
(Phalaena Minor) 好き好んで怒る人もそういないと思いますけど
(Lull Kriemhild) それもそうですね。どうにもノリの軽い連中が多いものですから、つい口うるさくなってしまって。仕事はできるんですけどねえ
(Phalaena Minor) 何だか言ってることがお母さんみたいです……
(Lull Kriemhild) ………。不本意なんですけどね
(Lull Kriemhild) (/em は目を逸らした。
(Phalaena Minor) 苦労してるんですね……
(Lull Kriemhild) 慣れました。
(Phalaena Minor) (/em は慣れたからお母さんみたいになってるのかなと思った。
(Lull Kriemhild) ……まあ、そんなでも苦楽を共にした仲間達ですから。信頼はしているんですよ。
(Phalaena Minor) ………
(Phalaena Minor) (/em はふと見て来た墓所を思い出し、少し考えるように目を伏せた。
(Lull Kriemhild) (/em はPhalaena Minorの様子を見て首を傾げた。
(Phalaena Minor) 突然変なことを言いますけど
(Lull Kriemhild) はい、何でしょう?
(Phalaena Minor) この先、皆さんは死にます。なんて言ったら信じますか?
(Lull Kriemhild) ……
(Lull Kriemhild) (/em は少し驚いたように目を瞬かせた。
(Lull Kriemhild) ……信じるか信じないかはさておき。聞いておいて損はない話題とはお見受けします。
(Phalaena Minor) ふふ、そういう人は好きですよ
(Lull Kriemhild) 悪意で言っているようにも見えませんから。
(Phalaena Minor) そう見えたなら良かったです。言ってみるものですね。
(Phalaena Minor) (/em はくすりと笑いながら、どこから話したものかと少し考えた。
(Lull Kriemhild) 我々ということは、任務の最中での出来事なのでしょうね。
(Phalaena Minor) はい、わたしには時期まではわかりませんが、ヴォイドクラックの調査任務だったと聞いています
(Lull Kriemhild) ふむ。あり得る話ですね。……ですが単純なヴォイドクラックから出てくる程度の妖異に、我々が全滅するとは思えない。
(Phalaena Minor) そのまま出てこられるような低級の妖異であれば心配する必要はありませんが。状況を聞いた感じ、恐らくあなた方のうちの誰かに憑依したのでしょう。妖異の死骸はなく、遺体の多くは武器で斬り殺されたようだったと。
(Lull Kriemhild) ………成程。同士討ち、ですか。
(Lull Kriemhild) 誰に憑依したのかもわからないとなれば……必然的に、暴き合いをせざるを得ない
(Phalaena Minor) 流石に誰に憑依していたのかまでは聞けませんでしたが。相手は恐らく、わたしと似たようなタイプでしょう。力は弱いけど知性は高い。これは多分、そう思っておいていいと思います。そういう反応してましたから。
(Lull Kriemhild) ……生き残ったのは、彼だけですか?
(Phalaena Minor) ……はい
(Lull Kriemhild) そうですか。それだけ聞ければ、充分です。
(Lull Kriemhild) (/em はこれまでのすべての言葉に合点がいったように、目を伏せた。
(Phalaena Minor) うまく生き残ってくださいね。あなたも、あの人にああはなってほしくないでしょう?
(Lull Kriemhild) ……良かったんです?未来が変わってしまったら、君と出会った事実すら、なくなってしまうかもしれませんよ。
(Phalaena Minor) それならそれで構いません。初めからなかったことになるなら、失ったことにすら気付きませんからね。これでわたしだけが今ある未来に取り残されたら、その時は自分の見通しの甘さを呪いますけど
(Lull Kriemhild) ……そう、ですか。
(Lull Kriemhild) 実際のところ、既に確定された未来がどう集束するかなど誰にもわかりません。未来を知って変えるなど、御伽噺のような話だ。……ですが、留意はしておきましょう。
(Phalaena Minor) はい、変わるなら確かに喜ばしいことですが、過度に期待しているわけでもありません。ちょっとでもいい方向に転べば御の字、といったところです。
(Lull Kriemhild) そうですね。精々足掻いてはみせますよ。
(Phalaena Minor) ふふ、いい方向に変わることを祈ってますよ。頑張ってわたしみたいなのに出会わないようにできればもっといいです
(Lull Kriemhild) ……ですが、それを聞けばなんとなく。奇怪にも思えた行動にも納得がいきました。彼らしいや。
(Phalaena Minor) え”
(Lull Kriemhild) (/em は少し困ったように笑った。
(Phalaena Minor) 少なくとも、パッと見た感じはそこまで変なことしなさそうですが
(Lull Kriemhild) いや、まあ今はしないでしょうけど。
(Phalaena Minor) いつかはしてもおかしくないと思われてるんですね
(Lull Kriemhild) ……人生最期の娯楽にと選んだのならば。そこに賭ける価値を感じれば、目玉だろうが命だろうが、きっと差し出すのだろうと思いますよ。
(Phalaena Minor) な………。い、命なんて、流石に。そんなの差し出したら娯楽の意味ないじゃないですか
(Lull Kriemhild) 酔狂にも程がありますよねえ。
(Phalaena Minor) 酔狂なんてものじゃありません。だって、そんなの賭けるには重すぎるでしょう
(Lull Kriemhild) 言ったでしょう、あまり自分自身に価値を感じていないのだと。それに
(Lull Kriemhild) ……花を枯らしてしまった者同士。自分とは違う結末を見せてほしいと願うのはきっと賭けるに値する重い願いだ。
(Phalaena Minor) ………。そん、なの自分で辿り着いてこそでしょう
(Phalaena Minor) (/em は苦し気に目を伏せながら唇を噛んだ。
(Lull Kriemhild) ……そう、ですね。私もそう思います。
(Lull Kriemhild) はた迷惑な話だ。
(Phalaena Minor) 自分の勝ちを軽視するのも、勝手に背負わせようとしてくるのも、それを全部自分の口から話さないのだって、全部全部気に入りません。帰ったら新しい毒の実験台にしてやります。
(Lull Kriemhild) ふふ、少し痛い目をみてもいいとは思いますよ。
(Phalaena Minor) 少しどころじゃ足りません。責任なんて負いたくないって言ったのに。なんなんですか?
(Lull Kriemhild) 性根が責任感の塊みたいな男ですからねえ
(Phalaena Minor) 自分が捨てきれてないくせによくもまあ逃げ道なんていくらでも作れるなんて言えたものですよね。自分は忘れたいなんて思ったことないくせに何が忘れちまえですか。
(Phalaena Minor) (/em は明らかに苛立った様子でてしてしと尻尾を揺らしている。
(Lull Kriemhild) (/em は扱いに苦労しているんだろうな、と思いつつ苦笑した。
(Lull Kriemhild) ……そちらの彼に、私がしてやれることは何もないでしょうから。せめて己の価値を自覚させてやってもらえたらとは、思いますよ。
(Phalaena Minor) 当然です。自分の命を賭けようだなんて馬鹿なこと、二度と考えられないくらい自覚してもらわないと困ります。
(Lull Kriemhild) ふふ、頼もしいお嬢さんだ。それなら安心して任せられそうです。
(Sigma Siegfried) (/em 達が戻ってきたのか、騎士達の足音が聞こえるようだ。
(Phalaena Minor) (/em はピコッと耳を反応させた。
(Lull Kriemhild) お、噂をすればかな。
(Phalaena Minor) えぇ今ですかぁ
(Sigma Siegfried) (/em は隊員達を解散させつつ、歩を進める。
(Phalaena Minor) あら、おつかれさまです。隊長さん。
(Phalaena Minor) (/em はころっと表情を変え、にこりと笑った。
(Sigma Siegfried) おう、……なんか盛り上がってるみてえだったけど
(Lull Kriemhild) お疲れ様です。甘いものの話で意気投合してしまって。
(Sigma Siegfried) ……ふゥん
(Phalaena Minor) 甘いものはどれだけ食べても飽きませんからね。常においしいスイーツを食べていたいです
(Sigma Siegfried) ……楽しんでんならいいや表にキャリッジ停めといたから、そろそろ出発すんぞ。早いほうがいいだろ。
(Phalaena Minor) はぁい、ありがとうございます。
(Lull Kriemhild) 助かります。暗くなってからでは面倒ですからね。
(Phalaena Minor) (/em はよいしょッと立ち上がり、軽く埃を払った。
(Sigma Siegfried) ん。後のことは任せといたし、ぼちぼち行くかァ。
(Lull Kriemhild) (/em はキャリッジに向かいつつ、ふと口を開いた。
(Lull Kriemhild) ……ところで、隊長?
(Sigma Siegfried)
(Lull Kriemhild) 娯楽の為に自分の片目差し出してくるような人間ってどう思います?
(Sigma Siegfried) ……え、普通に引く
(Sigma Siegfried) (/em は何言い出すんだコイツという顔をした。
(Lull Kriemhild) ですよね。
(Lull Kriemhild) (/em は少し満足げに耳を揺らした。
(Phalaena Minor) (/em はまともな答えが返ってきたと少し驚いている。
(Phalaena Minor) ちょっと見直しました……
(Sigma Siegfried) え?おかしいこと言ってないだろ
(Phalaena Minor) いえ、知り合いの隊長さんにちょっと似た人がとても変な人だったので。その話をちょっとしていたんです
(Sigma Siegfried) お前目玉差し出してくるようなやつと知り合いなの?付き合うのやめといたほうがいいぞ
(Phalaena Minor) えぇほんと、そうですよね……
(Lull Kriemhild) (/em はそうだね、と少し生暖かい目で見守っている。
(Phalaena Minor) (/em は「未来のあなたですよ」と思いつつ、遠い目をした。
(Phalaena Minor) ともかく、隊長さんはまともそうで安心しました。そのままのあなたでいてくださいね。本当に
(Sigma Siegfried) ……ホント何すげぇ生暖かい目で見られてる気がすんだけど
(Lull Kriemhild) 気のせいです、ほら行きましょう。
(Lull Kriemhild) (/em はSigma Siegfriedの背中を叩いて押した。
(Sigma Siegfried) ……う、うん
(Phalaena Minor) 砂漠は熱いですからね、そういう錯覚をすることだってあります。さ、さ、行きましょ
(Sigma Siegfried) (/em はなんとなくもやっとしつつ、まあいいかと深く考えないことにした。