2025-10-16 05:19:35
10255文字
Public Sigma
 

過去編 Side:S 02



Sigma Siegfriedは手持無沙汰に新聞に目を通しつつお酒を飲んでいる。
Phalaena Minorはのんびりと本を読んでいる。
Phalaena Minor : そういえばせんせい、手紙書くって言ってましたけど、あれから恋人さん?から手紙来てるんですか?
Sigma Siegfried : ん?今んとこ特に
Phalaena Minor : なんだ、来てたら面白そうだと思ったんですけど。流石にすぐに手紙を書くほど暇じゃなかったかぁ
Sigma Siegfried : ま、新しい男の方に忙しいんじゃねえかねェ……来ねえならその方がいいけどよ、返事も面倒だし
Phalaena Minor : ちゃんと返すんですか律儀ですね
Sigma Siegfried : ……生存確認に来られても面倒だろぃ
Phalaena Minor : あー。確かに。あの人なら「ダーリン!大丈夫!?」って押しかけてきても不思議じゃありません
Sigma Siegfried : そ。自衛っつうこった。頻度は考えるがなァ。
Phalaena Minor : 程々に返すのも大変そうですね。やりすぎても勘違いしそうですし
Sigma Siegfried : まあなァ……昔っからあいつのことはよくわかんねえや
Phalaena Minor : ラブラブな数か月はあったのに?
Sigma Siegfried : ……。相手を知ろうとすんのも愛情のひとつってこった。前後関係が逆。
Phalaena Minor : へぇ。じゃあ、知ろうと頑張ってみたけどよくわからないまま大変なことになって別れたと
Sigma Siegfried : ……そんなとこ
Sigma Siegfried : ……性根は悪ィ奴じゃねえんだけどな
Phalaena Minor : せんせい根は悪いやつじゃないからって庇ってたら善意に付け込まれたとか、そういう経験ありません?
Sigma Siegfried : ………
Sigma Siegfriedは少し目を逸らし、誤魔化すように酒を煽った。
Phalaena Minor : やだぁ、図星
Sigma Siegfried : ……別に俺も善人じゃねえし、嫌なもんは突っぱねるけどよ
Phalaena Minor : 恋人さんからも聞いた感じ、突っぱねるまでが長いからあそこまで心配されてそうな気がします
Sigma Siegfried : 今はそうでもねえよ。否定もしねえが近付きもしねえ。
Phalaena Minor : あら、じゃあこの130年間でいろいろと学んだんですね♡
Sigma Siegfried : 130年もありゃなァいつまでも同じ生き方続けてられるほど若くもねえし
Phalaena Minor : 昔と比べると随分と怠惰になったらしいですもんね、お互いびっくりしましたよ
Sigma Siegfried : ………。余計なこと喋りやがって……
Sigma Siegfriedはめんどくさそうにため息をついた。
Phalaena Minor : ふふ、わたしに知られて都合の悪いことでもありました?できるんだからもっと働けって言われるのが嫌だったとか
Sigma Siegfried : ……おいちゃんもうキャパ越えて動きたくねえのめんどくせえことはできねえことにしといたほうが平和だろぃ
Phalaena Minor : めんどくさいのでできないことにしておこう、と削った結果がこれと……
Sigma Siegfried : 長年かけていっちゃん楽で最適な塩梅覚えたんでさァ。
Phalaena Minor : ちょっと削りすぎだと思うんだけどなぁ。もうちょっとだけ頑張りません?
Sigma Siegfried : えぇ……やだ
Phalaena Minor : 怠惰……。落差が激しすぎます
Sigma Siegfried : 別にいいじゃねえか、困るこたねえし
Phalaena Minor : 高めのスイーツを食べようとしたら止められるのは困ってます……
Sigma Siegfried : 贅沢に慣れちまうとどんどん基準上がって安もんに満足できなくなっちまうぜぃ。
Phalaena Minor : おいしいものをたまにちょっとだけ食べるのが特別感あって良いんじゃないですかぁ
Sigma Siegfried : そうかぃ。小遣い貯めときなァ。
Phalaena Minor : お小遣いは非常用なんですぅ、使ったら減っちゃうじゃないですか
Sigma Siegfried : ……金は減るもんだろまた貯めりゃいいじゃねえか
Phalaena Minor : 使った後に計算してみたら桁が一つ減ってたとか辛いじゃないですか
Sigma Siegfried : そうかァ?そりゃ使ったもんにそれだけの価値を見出せなかったってこった。
Phalaena Minor : 買ったものに価値はあると思いますけどぉ。それはそれとして減っていくのは辛いっていうかぁ
Sigma Siegfried : 宝の持ち腐れって知ってっかァ?
Phalaena Minor : 集めるだけで心が満たされることだってあるんですよぅ
Sigma Siegfried : じゃあ仕方ねえな菓子は諦めるこった
Phalaena Minor : そんなぁ頭脳派は甘いものがないと死んじゃうのに
Sigma Siegfried : 飴でも舐めきゃいいだろぃ
Phalaena Minor : 休憩時間に紅茶と一緒に楽しみたいんですよぅ
Sigma Siegfried : 高いもんじゃなくていいじゃねえか
Phalaena Minor : その後のやる気が違います
Sigma Siegfried : 高ェもんのほうがパフォーマンス発揮できると
Phalaena Minor : そうそう、そんな感じです。作業効率が上がるので時間をお金で買えます♡
Sigma Siegfried : ……んじゃ程々でいいなァ。効率上げなきゃ回せねえほど忙しくもねえし
Phalaena Minor : え~、上げて行きましょうよぉだらだらやるより効率的に終わらせた方がその後いっぱい寝られますよぉ
Sigma Siegfried : 高ェもん食わなきゃ上がんねえなら、その分働かなきゃなんねえだろ。変わんねえよ。
Phalaena Minor : 満足感が違いますぅ、この差は大きいですよぉ
Sigma Siegfried : おめぇさんの私欲満たすために骨身を惜しまず働けるほどおいちゃん体力ねえの俺にメリットねえし
Phalaena Minor : せんせいはそもそも求めるものが少なすぎるんですよお酒も高いのが好きなわけでもありませんし……
Sigma Siegfried : いいだろぃ、別に。省エネでよ。
Phalaena Minor : やりにくーい。腰が重すぎます。欲のない人間は扱いにくすぎます
Sigma Siegfried : ……別に俺のこたァいいだろ、満足してんだからよ。必要経費は出してんだから足りねえなら自分で工夫しろぃ
Phalaena Minor : もう分かりましたよーだ。その必要経費にも多少思うところはありますけどぉ
Sigma Siegfried : 必要なもんは買ってやってんじゃねえかぃ。何が不満でい
Phalaena Minor : 不満なのはそこじゃありません。必要経費であろうと、せんせいはわたしに与えるくせに、わたしには何も求めてこない。それが一番不満で、理解し難いのです。
Sigma Siegfried : ?なんか与えたか
Phalaena Minor : ・・・・……
Phalaena Minorは「何言ってるんだこいつ」と言いたげな目で を見ている。
Sigma Siegfried : や世話してる奴の衣食住整えんのは最低限の責務じゃねえか?
Phalaena Minor : そもそも世話をすることに何のメリットもないって言ってるんですが……
Sigma Siegfried : ……
Sigma Siegfriedはきょとんとしている
Phalaena Minor : だって、メリットがなければそもそも拾う理由もないじゃないですか。ばかみたいな善人でもないでしょう。それとも、実は手の込んだ復讐のためだったりします?
Sigma Siegfried : ……理由。理由か言ったことなかったか
Phalaena Minor : ………。話した気になってたんですか?
Sigma Siegfried : え、うん
Phalaena Minor : ・・……
Phalaena Minorは再び「なんだこいつ」と言いたげな表情を浮かべた。
Sigma Siegfried : ……や、わかっててついてきてるもんだと
Phalaena Minor : 突然自分の目を抉り取って差し出してくる人間をその場で理解するとか、普通に無理なんですけど……
Sigma Siegfried : ……そんな風に思ってたの
Phalaena Minor : むしろどう思ってると思ってたんですか?
Sigma Siegfried : ……だって旅すんなら依り代必要じゃねえか
Phalaena Minor : だからと言って自分の体の一部を出会ったばかりの相手、しかも妖異に差し出す人間なんてそういません……
Sigma Siegfried : ……え、嫌だった?
Phalaena Minor : 嫌っていうか、怖かったですね。理解できなくて
Sigma Siegfried : ……えぇなんか悪ィ
Phalaena Minor : 結果的には良かったですけど。そういうことなので、わたしはせんせいの思惑とか、全く知りません。知れば知るほど理解できないっていうか
Sigma Siegfried : んん別に大した理由じゃねえけど
Phalaena Minorは「大した理由じゃないのに迷わず目抉ったのか」とちょっと引いている。
Sigma Siegfried : ただの暇つぶしだし
Phalaena Minor : …………
Sigma Siegfried : 暇つぶしに付き合わせてる身としちゃァ、必要な分は世話くらいするしなァ
Phalaena Minor : ………わ、割に合わないでしょ
Sigma Siegfried : ……え、どのへんが
Phalaena Minor : 目を抉ったり世話をしたり目を抉る辺りが。
Phalaena Minorは大事なことなので二回言った。
Sigma Siegfried : ……だって依り代
Sigma Siegfried : ……何ならよかった?腕?
Phalaena Minor : ばかですか?
Sigma Siegfried : 目ん玉が気に入らねえっつう話じゃねえの?
Phalaena Minor : 違います。やっぱりばかですね?
Sigma Siegfried : じゃあ何だよ
Phalaena Minor : 暇つぶしのために自分の一部を差し出すとかせんせいの損失が大きすぎるって言ってるんですよ。依り代なんて探せばいくらでもあるんですから
Sigma Siegfried : ……損失。
Sigma Siegfriedはいうほど損失かなあと言いたげに首をかしげている。
Phalaena Minor : 10ギルの品に1万ギルを払うようなものだと思いますけど
Sigma Siegfried : ……別に腕じゃちィと困るが、片目なかろうがそこまで変わんねえし余生の暇つぶしに支払うにゃ対等な価値じゃねえかな
Phalaena Minor : 別のもので代用しようとか思わなかったんですか……。自分の一部を差し出すって、最終手段だと思うんですけど
Sigma Siegfried : んまァ、その場にちょうど良さそうなもんなかったから
Phalaena Minor : 一旦戻って探すとかできましたよね???
Sigma Siegfried : その方がめんどくさくねえ
Phalaena Minor : せんせい自分の目の価値低く見積もりすぎじゃありません?
Sigma Siegfried : 流石に両目はやれねえよ?
Phalaena Minor : え、いらないです
Sigma Siegfried : 大して不便もねえしいいじゃねえかぃ。
Phalaena Minor : …………。もうちょっと自分の身体大事にした方が良いですよ
Sigma Siegfried : してるしてる、不便ねえ程度に生きてらァ。
Phalaena Minor : 大事の基準が低すぎる……。もういいです。せんせいがちょっと変ってことは分かりました
Sigma Siegfried : そうかぃ。納得できたかァ?
Phalaena Minor : ……いえ、もう一つ。
Sigma Siegfried : ん?
Phalaena Minor : ……せんせいは、妖異を殺したいほど憎んでいないんですか。
Sigma Siegfried : ………
Sigma Siegfriedはぴくりと一瞬反応を示した。
Sigma Siegfried : ……、どこまで聞いた?
Phalaena Minor : ……ヴォイドクラックの調査に行って、せんせいしか帰ってこなかったと。それと、遺体のほとんどが武器で斬り殺されたようだったということは聞きました。
Sigma Siegfried : ………ッチあいつ余計なことまで……
Sigma Siegfriedは深いため息を吐いた。
Phalaena Minor : ………。わたしと似たような妖異だったのではないですか。
Sigma Siegfried : ………
Sigma Siegfriedは少し目を逸らしつつ頭を掻いた。
Phalaena Minor : ……だから分からないと言ったのです。だって、恨むのは当然のはずなのに、あなたはそういう素振りを見せなかった。それどころか依り代を与えて連れ歩くなんて
Sigma Siegfried : ……そう、かァ……ったく、墓まで持ってくつもりだったのによ
Sigma Siegfriedは至極めんどくさそうに眉間に手を当てた。
Phalaena Minor : ……殺す理由はあったはずです。だって、わたしはきっとその妖異と同じだった。だからわざわざ飛び込んできたんでしょう?
Sigma Siegfried : ………思い出さなかったと言やァ嘘になるかもな
Phalaena Minor : だったら、なんで。どこに生かす理由が?
Sigma Siegfried : ………。別に、元々妖異を恨んじゃいねえよ。ムカつきはするが、人が獣狩って食うような本能を恨むのは不毛だし、種族単位恨んだとこでキリがねえ。そいつを殺した時点で報復は済んでんだ。
Phalaena Minor : ………だから、気に入らない時は殴って、それ以上の八つ当たりはしないって、そういうこと?それで本当に納得できたの
Sigma Siegfried : ……納得、なァ別に、生かしても殺しても納得はしてねえだろうよ。報復したって納得できなかったもんが、八つ当たりで解決するもんかよ。
Sigma Siegfried : 納得できねえのは妖異に対してじゃねえ。他でもない俺自身に対してでしかねえんだ。
Phalaena Minor : ………それ、は……
Phalaena Minorは身に覚えがあるのか、そっと目を反らし、押し黙った。
Sigma Siegfried : ………。あの墓。おめぇさんの仲間のもんだろ。
Phalaena Minor : ……なんで、知ってるんですか
Sigma Siegfried : や、なんとなく察した。羽虫がなんで連れてったのかとか、色々考えっとな。
Phalaena Minor : ……余計なことを。何のために隠したと思ってるんですか
Sigma Siegfried : ハ、これでお相子だなァ。
Sigma Siegfried : 大事じゃねえもんに墓なんか作らねえ。ひとつふたつなら恋人とか家族とか数を考えたら、仲間しかねえ。俺にとっちゃァな。
Phalaena Minor : 仲間なんて言うほどのものじゃありません。ただ、勝手に入ってきたから、ルールを守る限り、何も奪わないでいただけです。お墓だって、住人だったならそういうのがあった方がそれらしいと思っただけで
Sigma Siegfried : ……。でもおめぇさん、そいつらの代わりに怒って、代わりに奪ってやろうとしたんだろ。どうでもいい奴らにんなこたしねえよ。
Phalaena Minor : ………それは。だって、不公平だし、理不尽だったから
Sigma Siegfried : 仲間じゃねえならどうでもいいじゃねえか。その辺の虫けらにでも同じことするんか?
Phalaena Minor : ……しないですけど
Sigma Siegfried : 別に大事なら大事でいいじゃねえか。取るに足らねえなんて言っちゃそいつらが報われねえだろ。
Phalaena Minor : んん……まあそれもそう、ですね
Sigma Siegfried : だろ。ま、逸れたな。そういうわけだからよ、……なんつか、仲間失って独りになっちまった奴の考えるこたァ、なんとなくわかっちまうんだ。
Phalaena Minor : ……気に入らないけど同情した
Sigma Siegfried : 同情っつか共感かな。……ほんとは死んじまいてえんだろうな、って。
Phalaena Minor : ……分かってたくせに生かしたんですか
Sigma Siegfried : おう、乗せられんのは癪だかんなァ。知ってっか?生きんのって死ぬよりよっぽど辛ェんだぜ。
Sigma Siegfried : ……、そう考えっと、ちったァ憂さ晴らししてえ気もあったのかもなァ。
Sigma Siegfriedはからからと笑った。
Phalaena Minor : たちわる……。あの時モスを大人しくさせておけば……
Sigma Siegfried : ……感情ってのはままならねえもんだな。好きも嫌いも責任も諦観も、いくつも矛盾したまま抱えなきゃなんねえ。
Sigma Siegfried : 死んじまいてえと思いながら、このまま死んじまうのは癪だと思う自分もいるわけだ。
Phalaena Minor : ほんと、何より一番厄介なものです。曖昧だし分からないし、そのくせ抑えられないお邪魔虫のくせに、そもそも感情がなければ責任も目的も何もないとか、ちょっとどうかしてます。
Sigma Siegfried : ……ま、生まれもっちまったもんはしょうがねえ、上手く折り合いつけてくしかねえや。上手く使えりゃ便利なんだろうよ。
Phalaena Minor : せめて邪魔にならない程度にはうまく使いこなしたいものです……
Sigma Siegfried : ……っつうわけだ、おめぇさんは俺にとっちゃ娯楽みてえなもんってこった。与えられてっと思うなら、その分生き足掻いて生き様に納得してみせてくれや。
Sigma Siegfried : ……それでももし、死ぬことでしか納得できそうにねえっつんなら、死に場所くらい一緒に探してやるよ。
Phalaena Minor : ……まあ、そういうことなら見るくらい勝手にしたらいいですけど?生き方も死に方も自分で決めますので、別に一緒に探してくれなくたって結構です。と言うか、そこまで世話されるとか癪です。
Sigma Siegfried : クク、そうかぃ。んじゃま、好きにすりゃいいや。必要なもんは揃えてやるが、縛るつもりもねえ。俺のことだって都合よく利用すりゃいいさ。
Phalaena Minor : 良いんですか?そんなこと言って。カスカスのしわしわになるまで利用し尽くしますよ
Sigma Siegfried : おう、やってみろぃ。俺も俺で好きにするし、めんどくせえこたァ動かねえだろうけどなァ。
Phalaena Minor : じゃあ遠慮なく。あとで文句言わないでくださいね。
Sigma Siegfried : 言わねえよ。ムカついたら拳骨いれるだけでい。
Phalaena Minor : 暴力は良くないと思います
Sigma Siegfried : 悪ィね、口より先に手が出ちまうもんで
Phalaena Minor : これだからパワータイプは。頭脳派はか弱いのに
Sigma Siegfried : 文武両道って知ってっかァ?
Phalaena Minor : 器用貧乏の間違いでは?
Sigma Siegfried : 物は言いようだろぃ。
Phalaena Minor : 時と場合に寄りますから
Sigma Siegfried : できねえよりできることに価値があるもんだ。完璧じゃなくてもなァ。
Phalaena Minor : まだ極める余地があるのならそちらを優先的に伸ばすべきと思いますけど。程度によるんでしょうか。
Sigma Siegfried : 確かに特化したもんはそれだけで強えが、どんなものにも弱点はあるもんでさ。そん時他に手札がねえんじゃしょうがねえ。なら、弱くても選択肢設けとくのが賢いたァ思うぜ。頭脳派ってんなら余計、使えるもん組み合わせて使った方が戦略は広がんだろ。
Sigma Siegfried : ……それに、手札増やすっつうのは、特化したもんをより強固にする守りにもなる。
Phalaena Minor : 中途半端にあれこれ手を出すとどれも使い物にならなそう、とは思いますが。手札を増やすことを考えれば、確かにそれも必要だというのも理解できます。とは言え身体を動かすのはちょっとなぁ・・・
Sigma Siegfried : ま、やって合わなきゃ選択肢から外しゃいい。合わねえって知るだけでもそりゃ一歩だ。ノウハウ知っとくだけでも活かす幅は広がるもんでさ。
Sigma Siegfried : 真に極まったものはひとつから為るもんじゃねえよ。いくつもの手札を揃えて自分の強みを創り上げることこそ極めるってもんだ。
Phalaena Minor : まあ、それが本当に役に立つものであれば手札の一つとして加えるのもいいでしょう。あれこれ考えずにやって、どれも合わなかったらちょっと割に合わない気がしますから。とりあえずは、相性がいいことが分かっている魔法からですね。
Sigma Siegfried : ん、だな。俺ァ魔法こそ使えねえが、魔法使いの扱い方なら心得があらァ。指揮する隊にゃ魔法使いだっていたかんなァ。
Sigma Siegfried : 動き方くらいなら鍛えてやらァな。
Phalaena Minor : ん。じゃあ、そういう実戦に必要な動きはせんせいに聞くことにします。あとは魔法がある程度扱えるようになった後のために、次に手を付けるものにも目星をつけておいて……
Phalaena Minorは頭の中で計画を立てながら、直近でやることを整理している。
Sigma Siegfriedは様子を見て少し楽しそうに微笑んだ。
Phalaena Minorはしばらく考えた後、何か思い立ったように席を立った。
Sigma Siegfried : ん。
Phalaena Minor : ちょっと調べたいことができたので、外に出てきますね
Sigma Siegfried : お、そうかぃ。気ィつけて行って来いよォ。
Phalaena Minor : はい、いろいろまとまったら帰ってきますね
Sigma Siegfried : おう。あんま遅くなんねえようになァ。
Phalaena Minor : はぁい、分かってます。
Sigma Siegfried : ん。行ってこい。
Sigma Siegfriedは少し笑ってひらひらと手を振った。
Phalaena Minorはひらひらっと軽く手を振ると、足早に部屋を出て行った。