kanaco
2025-10-14 20:47:18
2083文字
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【三少信(4少仲良し)】信一くんを癒そう!

4少が仲良くしているだけの小話。不機嫌な信一が癒しを求めて「かつあげ」をおこなうおはなし。

定例となっている賭け麻雀。約束の時間は19:00。

先に集まった洛軍、四仔、十二が部屋でのんびりと寛いでいると、15分ほど遅刻して信一がやってきた。

しかし、信一の様子がどうもおかしい。

ドアを乱暴に開けるといかにも「怒ってます」といった風にふくれっ面を見せた。挨拶も無しにツカツカとソファまで早歩きをし、家具が飛び上がりそうなほどの勢いでドカリと座る。それから腕を組んで「むふーっ」と目くじらを立てた。

いつもの通り陽気かつご機嫌に登場すると思っていた洛軍たちは目をパチクリさせると「はてさて?」と顔を向き合わせた。

「どぉしたよ。ずいぶんとご機嫌ナナメじゃねぇか」

信一の機嫌などは意に介さぬ十二が軽い調子で声をかけた。四仔と洛軍はジッと静観して様子を伺う。

「今日はもぅ散々!トラブルばっかり起きやがる」

信一が不機嫌そうに口を尖らせ「聞いてくれよ」と息巻く。アレヤコレやと今日起きたことを並び立てれば、内容の大変さや面倒臭さに「うへぇ」と三者が三様の顔をした。

すると、しばらくは同情するように顔を青ざめさせていた十二が、急に明るくニッと笑って言った。

「しゃぁねーなぁ。可哀想な信一くんのために、坊ちゃんが頬っぺたを貸してやろう」

頬っぺた?

なんだって?と四仔と洛軍が頭に『?』を飛ばしているうちに、十二がソファへ向かいそのまま信一の右隣にポスン!と座った。

それから、おもむろに自分の左頬を不満に膨れた右頬にギューッとくっつけた。十二の頬と信一の頬が密着したまま押しつぶされ”ぺったんこ”になる。2人は「んー」と気持ち良さげに喉を鳴らす。

「何だそれは...」
四仔が胡散臭げな目で聞いた。

「俺の頬っぺてばモッチリ肌のツヤツヤで気持ちぃから、くっつけると心落ち着くと信一に評判」

「ピンポイントだな?」
洛軍が感心したように聞く。

「ワンちゃんネコちゃんより十二少の頬っぺたってね。子供の頃から疲れたりイライラしたらこうするわけ」

幼なじみが無遠慮にギュウギュウと顔や体をくっつけていると、不満そうだった信一の口が少しずつ緩やかにほどけていく。

「うむ、くるしゅうない」
「殿か、お前は」
満足気な顔で言う信一に四仔が呆れた声を出す。

「次!」

信一が高らかに言い放ったので、洛軍がワタッとした。

素直な洛軍は眉を八の字にして(どうしよう...)という顔をしたが、すぐに「あ!」と閃きをみせる。

「信一、前に俺の頭を撫でると心が落ち着くって言ったことあるよな、触るか?」
「素晴らしい」

信一は称賛の言葉と共に、自分の足元に来いと指をさした。洛軍がソファに座った信一の股下、床へと胡坐をかけば、信一が嬉々として坊主頭をナデナデした。尖っていた目が次第に朗らかになっていく。

「癒されるぅ~、洛軍のほんわか感も相まってセラピーすっごい」
「それは良かった」

洛軍が優しい声で返事をした。頬をつけて抱き着いたままニヤニヤと笑う十二と、大人しく頭を預けてニコニコと笑う洛軍を伴って「最後は」と信一が目をギラギラと輝かせターゲティングする。

「は?しないぞ」

目の前の光景にドン引きする四仔が心底嫌そうな顔をした。

「しろよ、お前の何かを俺に寄こせっ」
信一が再び目を吊り上げる。

「どうしてお前のご機嫌取りをしなければならない」
「自分のご機嫌を自分でとれるのはいいことだろ~」
「だったら自分一人でどうにかしろ」
「俺の癒しは俺のもの。つまりお前も俺のものっ」
「暴君!かつあげか!」
「そりゃ俺は黒社会だからなっ」
「開き直るな!」

憤る四仔の前で、薄ら笑いの信一が堂々と踏ん反りかえる。

「第一、一体何を
四仔が汗をかきながら呟けば、信一が決まってるだろうと言った。

「大胸筋
「は?」
「その鍛えた大胸筋を揉ませやがれ」
「嫌だが!?」
「じゃぁ、揉まないけど触らせてっ」
「ダメだが!?」
「はぁ!?出し惜しみすんな!お前何のために鍛えているんだよ!」
「お前のためでは絶対にないな!?」

ギギギと信一と四仔が睨み合う。その隣では「友の大胸筋をかつあげする黒社会!」と十二が腹を抱えて笑い、洛軍が「微笑ましいなぁ」とゆったり笑みをこぼす。四仔からすればこの3人が時折に揃って「四仔ってば大人げない」みたいな目をするのも釈然としないどころではない。

(こいつら絶対に面白がってる

第一、もう機嫌直ってるじゃないか。

「仆街!」
「仕方ねえなぁ、じゃぁ二の腕で我慢してやるから早くこっちへ来いよ。フニフニさせろ」

1人仲間外れは寂しいじゃん、と信一が参ったような顔をして言った。

(なんで俺が妥協されたみたいになってるんだ)と思いながら四仔が渋々と信一の左側に座れば


「隙ありィィィイ!!!」

ハンターのように目を光らせた信一が、ケラケラコロコロと笑う十二と洛軍ごと大胸筋へと襲い掛かってきて、世にも珍しい四仔の悲鳴が城砦に響き渡った。