三毛田
2025-10-14 15:38:51
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45 045. 何でもないフリして横に座って

45日目
君への恋を募らせる

 好き。
 その感情を一度自覚してしまえば、もう戻れない。
 何でもないと、気持ちを表に出すことなく隣に座り、いつものように寄りかかる。
 俺の部屋に来て、当たり前に読書をするようになった丹恒。
 趣味ではなく習慣のようなものだと言っていたが、もうほとんど趣味だろう。
 彼に勧められたものは、なるべく目を通すようにしている。学習の為のものであれば、時折解説してくれるから。
 知識が増えると、世の中の見方が変わる。
 それが意外と楽しいと告げれば、
『お前の努力の結果だ。誇ればいい』
 という返事。
 なんて男前なんだ! ますます惚れそうになった。
 その頃はまだ、〝仲間〟としての好きだったのに。
 今は、邪な感情抜きに彼を見ることはできくなってしまった。
「どうしたんだ」
 俺の視線に気づき、丹恒はこちらを向いて。そっと俺の太ももに手を乗せてくる。
 知っているか? これ、無自覚でやってるんだぜ。
「丹恒がリラックス出来てるみたいで、よかったなって。少し休憩するか?」
「ああ。目を休める必要がある」
 本を閉じ、太ももから離した指先で目頭を押さえて。
「ついでにお菓子も食べよう!」
 二人でダイニングテーブルまで移動し、パムが入れておいてくれたデザートやスナック菓子を食べる。
「丹恒」
「なんだ」
「氷いっぱいで、水っぽくならない?」
「少し濃い目にしているから、ちょうど良くなる」
「ふうん。苦すぎて、俺は飲めない」
「好きなものを飲み食いすればいい」
 これは今、甘やかされているということでいいのだろうか。
 出会った頃よりも、向けられる声や接するときの態度が軟化しているのは気づいている。
 なのほど分け隔てなく、明るい。というわけではないが、彼なりの好意を示されていると。
 それに気づいたときは、とても嬉しかった。
「丹恒」
「今度はどうした」
「今日は一緒に寝ないか?」
「急にどうしたんだ」
「なのから借りた漫画に、友達と同じ布団で寝て、少し夜更かしするっていうシチュエーションがあったからさ。友達とはいえ、流石になのとはマズイだろ? 丹恒が嫌じゃないなら、やりたいなって」
 夜更かししてゲームをするとか、パジャマパーティーとか。やりたいことが実はたくさんある。
「たまには、いいかもしれないな」
「本当?!」
「ああ」
「実は、色違いのパジャマ買ってあるんだ! それを着て、寝よう。な?」
「わかったから、顔が近い」
「ご、ごめん」
 嬉しくて、ついつい顔を近づけてしまった。
 でも、後悔はしていない。