ortensia
2025-10-14 11:16:48
4082文字
Public 傭リ
 

よーり他が別ゲーをやってえこーを稼ぐ話?わちゃわちゃ系でカプ要素薄い。

R.E.P.O.

 大きな荷台に乗せられたのは計六名。傭兵、占い師、庭師、祭司、リッパー、道化師。車は目的地に自動で向かっているようだった。
……移動サーカスに居た頃を思い出す。」
 道化師がぼそりと呟く。
「エマはこんな大きな乗り物に乗るのは初めてなの!」
 それを受けて庭師が返すが、それ以降の会話は、派手な音を立てて目的地に到着したことで、続かなかった。
「建物の壁に車ぶつかってますけど!これだからサーカスは!」
「サーカスはモノの例えだ!」
「行くぞ。」
 大きく揺れた車から目的地へ降り立ったリッパーと道化師が騒ぐのを、傭兵が嗜める。
「ここは……。」
 傭兵が見上げた建物は大きな洋館のようで、怪しげな三角屋根が幾つか見受けられる。塔に分かれて居るようだ。
 道化師は、すみに自分達が乗って来た車と同じものが横転しているのを見た。自分達はこうならないことを願う。
「スウィフトブルームアカデミーと言うらしいね。」
 立て看板を見付けた占い師が言う。
「お花の学校なの?」
……そうとは限らないんじゃないかなぁ。」
 庭師の言葉に占い師が疑問を呈す。
「学校ですか?どうせ象牙の塔みたいに碌でもないんでしょう。」
「学校か、初めて来たな。」
「エマも!」
 才能が早熟に花開く、かのような胡散臭い意味だろうとあたりを付けてリッパーがそう言うと、祭司と庭師が会話に続く。
「どうしてこっちを見るんですか。言ったでしょう、学校なんて碌でもないですよ。」
 どうやら通学経験の無い者ばかりのようだ。
「学校に金目のものが有るのか?」
 傭兵が言う。
「それは、入ってみれば分かる。」
 道化師が建物の扉を開ける。
 六名は荘園の持ち物であるここへ、貴重品の回収に来たのだ。管理の手を離れた場所から品物を持ち出し、高価なものであればその分換金出来る。
「アイテムを見付けたらこのコンテナに入れて行けば良いのか。」
 祭司が目線を向けた車の方向から、傭兵がコンテナを乗せた台車を進ませて来るところだった。
 コンテナの中に貴重品を入れ、予め聞かされていた規定額を最低限集め、その場から脱出する。それが今回のゲームだった。
 六名は建物の中へと入って行った。
「雰囲気はハロウィンの時期に限定で有った赤の教会に似ているね。」
 占い師が肩の梟を撫でながら言う。
 建物の中は、色とりどりの何かが入った三角フラスコ、三角帽子や、ローブを来た誰かの肖像画のタペストリーが壁に掛かっていたり、大きな本棚、脈絡無く大鍋が堂々と置かれていた。
「食い物か?」
「やめなさい!」
 ぐつぐつとあぶくを上げる鍋にふらふらと近付く傭兵をリッパーが嗜める。
 しかし鍋の中身の液体は怪しい緑色の輝きを放っており、とても食べられそうには見えない。
「ホウレンソウか?」
「絶対違うでしょう!ホウレンソウは発光しません!」
 未だ食い下がる傭兵と騒ぐリッパーを、祭司が押し退けて中を覗き込んだ。
「これは何かの儀式か!?」
 祭司は傭兵とは別の意味で食い付くように興味津々でそう言ったかと思えば、自らの身を鍋の中に投げた。
「は!?」
 道化師があんぐりと口を開けて悲鳴を上げるも、祭司の体は鍋にどぼんと落ちた。
 そして鍋から吐き出されるようにして発射された。
「飛んだ!?」
「中に玩具職人の発射台でも仕込まれてるのか!?」
 飛び立つ祭司の姿を目で追って見上げた占い師と道化師の開いた口が塞がらない。庭師とリッパーは逆に口元を手で押さえている。傭兵は黙って鍋から離れた。
 気を取り直して六名、否五名は散策もとい物色を再開した。
「あの、向こうにお化粧室があったんですけど。」
「ああ、そうなのか。」
「爆散しました。」
「え?」
 建物の中には壺やら時計やら置物やら開かない何かの箱やら、それなりに貴重品を収集出来た。陶器で出来た壺はコンテナに入れる前に傭兵とリッパーが割った。
「ご覧なさい!ピエロの人形ですよ!」
「コンテナはこっちじゃない!」
 途中リッパーが道化師を揶揄って作業がよく中断されたが、概ね順調だった。
「なんだこれ?」
 そんな中、傭兵が見付けたアイテムは、小瓶だった。中に薄紅色の液体が入っているように見える。
「リッパー……
「え?なんです?」
「リッパーおまえって、あの、……いいと思うよ。」
「は?」
 それを拾った傭兵の目がちかちかとし出した。
「ぎゃはははは!その傭兵が拾った瓶、惚れ薬って書いてあるぞ!」
「はぁっ!?」
 道化師が見付けて大笑い。
「あの、リッパー、おまえさ。」
「口説き文句も何も言えてないけどもう黙ってなさい!」
「それらしい語彙が無いにもかかわらず、効力が証明されちゃってるようだ……
「いつ戻るの……
 生暖かい目で傭兵を見遣る占い師と庭師はそれぞれ呆れたように呟いた。
「早くそんな瓶手放しなさい!」
……え?」
 リッパーが傭兵に体当たりして瓶がコンテナに放り込まれると、傭兵はふらふらとその場に蹲った。その目はまだちかちかとしていた。周囲は、役立たずはこのまま休ませてやることにした。解放されたリッパーがぜえぜえと肩で息をすると、また貴重品を探す作業に戻った。
 建物の中の扉を開けて新しい部屋に入り、戸棚の扉と言う扉も開け、どんどん物色して行く。
 部屋の移動と一緒にコンテナも移動させ、作業は進んでいた。
 しかしそこに、どこからか小さな黄色い鳥が近寄って来た。
「アヒルかな?どうしたの、迷子?」
 占い師が愛らしい小鳥にそっと屈んで手を伸ばす。周りもなんだなんだと見ていると、突然にそれは起こった。
「え!?」
 占い師の手が鳥に触れた瞬間、鳥の嘴がトラバサミのように大きく開き、その中には無数の歯が並んでいた。けたたましい鳴き声を上げながらはばたき飛び上がった小鳥が、占い師に齧り付いた。
 占い師はぱったりと倒れた。
 小鳥は気が済んだかのように何処か奥へと帰って行った。
 皆が静まり返る中、道化師が占い師を担ぎ上げ、コンテナの中に入れた。
「これだけで済むの?」
「やめてください!」
 庭師が疑問視した言葉に、被せるようにリッパーが叫ぶ。
 そこへ何かの期待に応えるように、建物の奥から白い影が現れた。
 ベランダのカーテンが風で揺らいだと言われればそうかもしれないが、こんな部屋の中央でそんなものが移動しながら翻るのも可笑しい。
 リッパーはそれを見たまま動くことが出来なかった。吸い寄せられた視線が張り付いたように剥がせない。頭では警鐘が鳴り響いていっぱいになっているのに、左手の指一本も動かせなかった。
 白いものから無数の腕が伸びてリッパーに迫った。それでもリッパーは自分自身を動かせないままだ。
「リッパーさん!」
 庭師の叫びが聞こえた気がするが、リッパーは自分のことなのにどうするも出来なかった。
 しかし手が迫る前に、突然自分の体が横凪に飛んだ。
「立て!」
 傭兵だった。先程とは逆で、傭兵がリッパーに体当たりし、敵からの攻撃を回避させた。
 白い敵の攻撃はコンテナにぶつかり、コンテナは横転してしまった。白い敵はその一度の攻撃を済ますと、そのまままた元の場所に引いて行くようだった。
 庭師はほっと息を大きくついた。
 道化師はコンテナを起こして元に戻したが、換金アイテムは全て駄目になってしまっていた。
 仕方がない、また貴重品集めを一からやり直さなければ。
「ああ、ここにいたのか。」
 一同が気を取り直そうという時、何処からかよく知った声が聞こえた。
「無事で良かったの!」
 現れたのは吹っ飛んでどうなったか分からなかった祭司だった。
「あの時急に視界が高くなったかと思ったら、気付けば屋根裏のようなところにいて、これを見付けたんだが、回収するアイテムって、こういうのだろうか?」
 そう言う祭司の手には、大きな宝石のようなものがあった。
 それをコンテナに入れると、それ一つで規定額を超過する程の価値があった。
 一同は大喜び。もうこんなところさっさと脱出しようとしたその時。
「そうそう、みんなのところに戻って来る時に、小さな生き物達が一緒に着いて来たんだ。」
 一同は喜びを止めた。祭司の後ろからは、小さな黄色い鳥の大群が。
 こうして、換金も脱出もすることなく、全員倒れた。
 待機室からマップに移動する時のような浮遊感と暗転から意識が戻った一同は、自分達がいる場を確かめる。その場には最初に鳥に噛まれた占い師もしっかりと立っていた。
 そこはもうスウィフトブルームアカデミーではなかった。
「処分アリーナ……?」
 占い師が頭上でぼろぼろになった文言に気が付く。
「最後まで立っていた敗者を決めろ、だと?」
 床に大きく書かれた文字を読み上げる道化師。
「全員負けたから、その中で負け犬王の決定戦しろってことですね!」
 自暴自棄のように訳知り顔でリッパーが叫んだ。床の外側に壁のない真っ暗な空間にこだまする。
……負け犬の王?それで良いさ、おれが勝ってやる。」
 ゆらりと立ち上がったのは傭兵だった。
「ちょ、ちょっと早まる……なーッ!」
 そんな傭兵から思わず後退っていた道化師がさっそく義足を蹴られ、吹っ飛ばされて落ちて行く。
「落ち着いてよ!それが良いって占いでも出てるよ、おあーっ!」
 問答無用で占い師も襟首を掴まれて投げ捨てられた。
「普通にマルチ対戦してたのに突然別ゲーのお伽話戦させられるみたいなこんな、のーっ!」
 庭師がひょいと持ち上げられて落とされる。
「また飛ばされるのは流石に御免だ。」
 祭司は自ら床に扉の鍵を使ってワープホールを開け、落ちて行った。
「こんなことで勝っても、どうせ全員負けですから!アーッ!」
 リッパーは長細い槍投げのように放物線を描いて落とされた。
「おれが敗者の中の勝者だ!」
 負けは負けである。


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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。