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🐼🎋
2025-10-12 15:19:13
3431文字
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村荒
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後日引っ越し蕎麦二人前貰った話
9/13 村荒WEBオンリー「鋼の意志で徹底的に♡」でネップリしました無配よりWEB再録です
*水上視点の村荒(鋼くん不在)
*みんぐに同居(同棲)している相手がいますが、相手はぼかしています。お好きな相手でどうぞ。
*今後発行する本に再録する場合、こちらは消える可能性があります
夕方の、人が増え始める時間帯のラウンジ。
人目の付きにくい隅の席。空いていることが多いので、何かと座ることが多い席でもある。今日もひっそりと空いていたので、水上はそこに腰を落ち着けた。
今日はもう帰るだけで、大学進学を機に同居を始めた同居人待ちである。同居人とは家賃光熱費等諸経費全折半という約束で一緒に住み始めたが、一人暮らしに比べたら経済的負担がかなり軽くなり、家事に関しても共同部以外は個々で、共同部は当番制でと決めたらやはり負担が軽くなった。付き合いも長くなってお互い遠慮するような間柄でもないから、一緒にいて苦も無い。同居生活は順調だった。ちなみに言うことでもないと思ったので、同居を始めたのは誰にも言っていないから、ボーダー内でも知っているのは総務スタッフくらいだろう。もしかしたら上層部くらいは把握しているかもしれない。
同居人は予定があると言っていたので、後ほどここで合流の予定である。端末を取り出して、同居人に居場所を連絡した。
さて、夕飯はどうしようか。帰り道で食って帰るか、はたまたスーパー寄って家で作って食べるか。冷蔵庫の食材は何があったか。そういえばシャンプーと洗濯洗剤が切れかけていた。二人で帰るなら重いものも持って帰りやすいから、ドラッグストアにも寄って帰るか。他に足りなさそうなのはなかったか。
家の在庫を思い出しながら、足りなさそうなのを端末にメモしていく。あれやこれやと端末に向かっていたら、目の前の席にどかりと誰かが座った。
何も言わずに座るのは、同級生以上。教育が行き届いているので、後輩は座る前に大体声を掛けてくる。声を掛けてこない後輩と言えば、同隊の南沢くらいだが、南沢は座った直後から話が止まらないので、目の前の人物には当てはまらない。
年上に関しても、粗方声を掛けてくれる。声をかけなさそうといえば、太刀川とかが思い浮かぶが、この時間は個人ランク戦に行っているだろう。となると、やはり同級生か。そう思いながら端末にメモを打っていくが、目の前の人物はやはり声を掛けてこない。そういう人物は、こちらが顔を上げるまで何も言わないだろう。荒船、犬飼、王子あたりだろうか。
ゆっくりと視線を上げれば、黒に水色と白のラインの入った隊服、そして黒に水色の鍔の帽子が目に入る。思った通り、荒船だった。荒船も、手に持った端末に視線を落としている。
「邪魔してるぞ」
視線を感じたのか、荒船がこちらに視線だけ向けて声を掛けてくる。もう座っているから、邪魔してる、か。いやいいんやけど。
荒船なら特に邪魔してくることは無いだろう。荒船の視線ももう手元の端末に向いている。周りを見渡せば、賑やかで空いている席も無さそうだった。空いてないから、気心知れた自分のところに座りに来たというところか。もしかしたら、荒船も待ち合わせかもしれない。
視線を端末に戻す。さて、他に何か買っておくべきものは無かっただろうか。トイレットペーパーはストックあっただろうか。
あっても困るものでもないか、とトイレットペーパーの文字をメモしているところで、目の前から「水上」と呼ばれる。珍しい。本当に自分に用があったのか。顔を上げれば、荒船がこちらを見ていた。
「どないしたん」
「いや、ちょっと聞きたいことがあるだけだ」
荒船が聞きたいこと。これは本当に珍しい。大学の事なら自分より親しい村上や穂刈が、中距離トリガーの事を聞きたいなら、銃手なら犬飼がいるし、射手でも蔵内がいる。何より地頭が良い荒船が勉強で自分のところに来ることはほぼ無い。となると、戦術のことだろうか。
あれこれ考えを巡らせるが、どれもしっくりとこない。これ以上考えても仕方ないかと、荒船の言葉を待つことにする。
荒船は手に持っていた端末にまた視線を落とす。そして、何か悩んでいるように口を開いた。
「同棲する家決めた時って、何を基準にして決めた?」
「
……
は?」
何の話だ? 予想していた聞きたいことから外れた質問が飛んできた。ほんまに何の話をしているんや?
「やっぱり部屋は分けた方がいいか? ってもシアタールームも作りたいんだよな。でも3LDKは流石に部屋数多い気がするし、となると俺の部屋にシアタールーム作るか、リビングをテレビじゃなくてプロジェクターにするか
……
」
「ちょちょちょ」
「風呂トイレ別はマストだろ。キッチンはやっぱ広い方がいいよな。コンロもガスがいいのかIHがいいのか
……
ガスもプロパンと都市ガスがあるけどどう違うんだ?」
「ちょ、待って頼むから待って」
止まらず話し続ける荒船にストップをかける。待て待て、ほんまに何の話をしているのや。
話を止められた荒船は、不思議そうに水上を見ている。何でお前が不思議そうな顔しとんねん。俺の方が意味不明なんやけど。
「何の話?」
そう聞けば、荒船は「ガスは都市ガスとプロパンどっちがいいって話か?」と首を傾げる。そうやない。
「ガスは都市ガスのがええ。その前や」
「シアタールームが欲しいって話か?」
そうやない。確かに一緒に住むならプライベートな空間もあった方がいい。部屋数は好きにせぇ。てかシアタールーム作る気満々やないか。
「それよりも前、最初や最初」
そう言えば、荒船はあぁ、と思い当たったかのように頷いた。
「家決める時、何を基準にした? ってやつか」
「いや、抜けてる。肝心の部分が」
肝心の部分? と呟きながら荒船が思案する。
「あぁ、同棲か」
どうせい、思わず口に出してしまう。同棲、同棲やなくて同居や同居。
「同棲って、なんやねん」
「ん?」
「聞くやつ間違えてへんか」
確かに一緒に住んでいるけれど、同棲ではない。同居である。ここを間違えてはいけない。
荒船はぱちりと瞬きをすると、「間違ってないけど」と首を傾げる。そもそも、同居しているって知らないはずなのに、間違っていないとはどういうことなのか。
お前に聞いてる、と言う荒船に、なんでやねん、と思わず声が出てしまう。
「なんでって、お前同棲してるだろ?」
「
……
は?」
「こういうのは経験者に聞くのが一番だろ」
荒船に目線を向ければ、荒船は当たり前のように言い放つ。だからお前に聞いてる、と言われるが、水上の思考は、何故、がぐるぐると回っていた。
何故、同居していると知っているのだ。二人で暮らし始めた、というのは誰にも言っていない。ということは、気付いたのか。思わず頭を抱えてしまう。
「
……
いつ、気付いたんや」
「結構前だな。半年前くらいか?」
本当に結構前である。そんなに態度に出していたつもりではない。一体どこで気が付いたのか。
「他にも気付いてるヤツいるぞ」
それはそうだろう。どちらかと言えば、荒船は同年代の中では他人に対して疎い方である。その荒船が気付いているくらいだ。敏い奴らが気付かないはずがないだろう。
「犬飼と王子は気付いてるし、その内話題に出してくるぞ。穂刈と当真とカゲとゾエも気付いてそうだが、まあ自分からは言わなさそうだな。会長と鋼は気付いてないかもな」
「
……
何で気付くん」
「それだけ、お前の事見てるって事だろ」
そこはお互い様だろ。荒船はそう言いながら端末に視線を落とすと、ふ、と表情を緩めた。見た事のないあまい顔。
そうだ。お互い様だ。荒船と村上は付き合っていて、それを二人から報告がある前に気付いた。それは他の同年代も同じだった。気が付いたのは、それだけ二人を見ていたからだろう。
これは裏を返せば、見守ってくれていた、ということだろうか。報告を待ってくれていたのかもしれない。いや同居に報告なんているのだろうか。
見守っていたけれど、荒船は村上との同棲を考えていて、物件を選んでいる時に、気になったことを参考に聞きたくなった、というところか。
「ってか、同棲すんねや」
「おう、鋼とな」
「それって、同居と違うんか」
「同棲だよ」
鋼がそう言うからな、という荒船の顔は、見た事が無いくらいあまく、見ているこっちが擽ったい。荒船は、村上の前だとそういう表情も見せるのか、とむず痒くなってきた。
「
……
とりあえず、防音には気ぃ付けときや」
オススメは鉄筋コンクリートの物件、と言えば、おう、と荒船はいそいそと端末にメモをし始めた。
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