ゆいしろ そう
2025-10-12 08:41:00
1534文字
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バリアン警察のお話


「真月、気をつけて帰れよ」
「はい! よかれと思って、また明日」
「おう!」

ーーこうして真月零の一日を終えた俺は
バリアン世界へと帰るーー

(やっぱこっちのが落ち着くわ……

ーー帰って早々、床に大の字になって寝転ぶーー

(真月零も疲れてきたな、顔が引き攣るし。
遊馬に嫌がらせすんのは楽しいけど。
もっと効率良くできねぇかな)

ーー人間世界で遊馬と友達にならなければ意味がない。
今のままでは、ただのクラスメイトでーー

(信頼がもっと必要だよな。信頼できるもの……
そういやこの前、人間世界のテレビで
男の子が将来なりたい職業に警察官ってのがあったか。
警察官……あっちの世界の警察って、
カチッとしてて、喋り方もカッコ良く決まって)

ーーバリアンであることは隠すつもりでいたが、
バリアンである俺を信じてもらった方が騙しやすいのではーー

(ある程度、設定を考える必要が出てきたか。
あとは実在するようにも演じなければ)










ーーそれから物事は上手く運んで行った。
バリアンであるアリトを闇討ちし、ギラグの怒りを買う。
真月零が犯人だとバレるが、遊馬は違うと信じ、
ギラグへデュエルを申し込む。真月はそのことを知り、
遊馬と協力をしてギラグを倒す。
そして、真月零は悪ではないバリアン、
バリアンズ・ガーディアンだと明かした。
このことは遊馬以外の人間には話していない。
アストラルにも隠すことになるのだが、
初めのうちは、口が軽い遊馬がうっかり言いかけてしまうのを
止めるのがこれまた面倒だった。
今はバリアン警察が憧れになり、目をキラキラと
輝かせる余裕も出てきた。このくらいの信頼であれば、そろそろーー

……真月警部」
「なんだ、遊馬巡査」
「あの、その」
「ハッキリ言ってくれないと、わからないのだが」
「警部殿はバリアン警察手帳以外にも、持っているものはありますか!?」

ーーは?と言いかけた口を急いで塞いだ。
何寝ぼけたことを言ってやがるんだ、こいつは。
バリアン警察手帳はな、俺様が誰にもバレないように
作り上げた最高傑作だってのーー

「さぁ、どうだろうな。巡査もそろそろ任務に
慣れてきたことだし、上層部からもお褒めの言葉が」
「そうだよな。俺、他のバリアン警察にも会ってみたいけど」

ーー遊馬はよっぽどバリアン警察がお気に入りらしい。
というか、バリアン警察マークが好きなのかもしれない。
グッズ扱いになっている気がしなくもないが、
次の手を考える必要がありそうだ。
ネタバラシまで時間がない。俺は急いでバリアン世界に戻り、
アイテム作成に励んだーー






「遊馬巡査、バリアン警察には変わった習わしがあるんだ」

ーー遊馬にTシャツを渡すと、キョトンとした顔で俺を見る。
使い古された風に加工までしてきたーー

「真月警部、これは?」
「私が巡査部長になったときに支給され、何度か着ていたものだ」
「そんな! 俺なんかがもらえません!」
「遊馬巡査、それは違うぞ」
「へっ」
「信頼の証として、大切にしているものを部下へと渡すことになっている」
「信頼の……
「受け取ってくれないか。断られると辛いものがある」
「警部、ありがとうございます!! 俺、ずっとずっと大切にします!」
「ああ。そうしてくれると、嬉しい」

ーーえ、めっちゃ感動してんじゃん。
泣き始めたし、おいおいーー

「ううっ……
「私がもし大変な目に遭っても、君ならきっと」

ーー信じて助けに来るんだろうなぁ、遊馬巡査。
信じきった人間の顔ってのは、一番綺麗で醜くて。
見ていて最高だぜ、最高ーー