ぐるさん
2025-10-11 22:49:15
1566文字
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10.11ふみりかワンドロ【カメラ】

ふみりかワンドロライ(@ fmrk_1draw)さんの2025.10.11お題をお借りしました。

「理解、今日はこれ持って出かけようよ」

 ふみやさんは、突然オレンジ色のカメラを差し出してそう言った。

「一体どうしたんですか、これ?」
「今度のコラボで使うやつを借りてきた」
「コラボ……?」
「本当は理解のカメラも借りたかったんだけど、三脚付きは流石にゴツイから、依央利用の俺のカメラにしといたよ」
「え?なんて?」
「細かい事は良いからさ、今日はこれで、二人で写真を撮りに行こうよ」

 何だかんだでふみやさんに手を引かれ、渡されたオレンジ色のカメラを首から下げながら歩いていく。

 時折笛がカメラに当たって傷が付かないよう確認していると、不意にカメラのシャッター音が聞こえてくる。

 音の方向に事前を向けると、ふみやさんが空の写真を撮っていた。

「見て、理解」
「わぁっ……!綺麗ですね!」

 ふみやさんが撮った写真は、爽やかな秋の空を見事に切り取っていた。

「こんな感じでお互い写真を撮って、家に帰ったら見せ合おうよ」

 成程。ふみやさんはこの為にカメラを借りて、私を外に連れ出したのだ。

 相変わらず言葉が足りないのは否めないが、何とも魅力的な提案に、私はすぐに了承した。

 不思議なもので写真を撮る事を目的に歩き始めると、先程までは流し目程度に見ていた周囲の景色が、途端に色づき出す。

 澄んだ青い空、道端に咲く小さな花、徐々に紅葉が始まる木々……何を撮ろうか悩んでいると、一際目を引く被写体が現れた。

 カシャッ。

 気づけば、カメラのシャッターを押していた。撮影した写真を確認すると、そこにはカメラを構えたふみやさんが写っている。

 当の本人はレンズ越しに鳥を追っていて、私が勝手にその姿を写してしまった事には気がついていない様だ。

 ……これは、私だけの秘密にしておこう。何となく、強くそう思った。思っていた筈なのに——
 
◇◇
 
「へぇー、二人で写真撮ってきたんだ!何撮ってきたの?見せて見せて!」

 ふみやさんと家に帰ると、丁度同じタイミングで帰宅したテラさんに見つかり、そのままリビングに促され、何だかんだで全員が集まってしまった。

 これはまずい。先程の写真が見つかれば、間違いなく私は盗撮を疑われてしまう。

 しかしながら、気がついたらシャッターを押していて、偶然レンズの先にふみやさんが居たのであって、決してそうした意図があった訳では無い!

 確かに、あの真剣な眼差しは、ちょっと、まぁ、魅力的、だったかもしれないが、決して何かやましい気持ちがあった訳では無い!

 堂々としろ草薙理解!であれば問題は無——

「これ、ふみやさん?」
「ブハァッ!?」

 早速依央利さんに見つかったし、突然すぎて動揺してしまった。

「こ、これはその」
「セクシーなお写真ですね。流石理解さん」

 いつの間にか天彦さんも加わった。

「是非、このお写真を撮った時の事を……おや?」

 天彦さんがおもむろに顔を上げると同時に、オレンジ色のカメラがボールの様に飛んできた。

「コラァッ!!」

 床に落ちる前に慌てて掴むと、どこかボタンを押してしまったのか、保存されていた写真が写し出される。

「これ、私……?」

 依央利さん天彦さんと顔を見合わせながら保存されている写真を確認すると、色々な私の写真が写し出される。

 こんな写真が撮れるのは、そもそもこのカメラを持っていたのは——

「理解」
……ふみやさん」
「カメラ、返して」

 そこには、今まで見た事無い程真っ赤になったふみやさんと、その後ろで爆笑するテラさんと猿。そしてジッとふみやさんを見る大瀬君とオロオロする虎さん。

 私は、気づけばまた、カメラのシャッターを押していた。