モノクロ
2025-10-11 21:41:30
7995文字
Public
 

【10/12-14 さわマル展示】それに名前をつけるなら

ウルデプ共通台詞創作企画に参加させていただいてます。
「くたばりやがれ」「好きなくせに」「体で払ってもらう」「俺のヒーロー」を使いました。

映画後、自分の世話を焼いてくれるウェイドに対してどこか居心地が悪いローガン。
自分ばかりがもらうは割に合わないとウェイドになにか返そうとするがとある言葉をきっかけにすれ違ってしまう。
自分にとってウェイドはどんな存在なのかと考えるローガンの小話です。

 ウェイドが世話焼きだと気付いたのはアイツとアルが住んでいる家に居候を始めてすぐだった。

「わーお、この服ローガンにぴったり。アンタのために作ったって言われても納得しちゃうくらいしっくりきてる。これは絶対買いだな」
「この味どう? 俺の好みに寄せちゃったんだけどローガン的にはセーフ? ほら、せっかく料理を作るなら美味しいって言って欲しいじゃん。だからアンタの好みを教えてよ」
「おはようローガン、可愛いお耳ができてるけどそれって天然物? んふふっ、その反応は天然ってことね。ごめんごめん、急に笑って悪かったって。だからそんなに睨まないでよ。後でブラッシングしてあげるから先に顔洗っといで」
「ここは俺がよく使ってるスーパーマーケット。常連しか知らないけど実は水曜日の朝一は卵が安い、だからこの日は戦場になるんだ。人生の大先輩なマダムたちの鬼気迫る表情を見たらさすがのローガンも……ってアンタからしたらみんなお嬢ちゃんか。まぁ、なにが言いたいかというとまだ慣れないうちは水曜日の朝一にここへは来ない方がいいってこと」
 
 アイツはいろんなことを俺に与えて、そして教えてくれた。それが悪いことだとは言わないがどうにも割に合わない気がして居心地が悪い。馴染みのない場所に来て困ることがあるのは確かだがそれを全部ウェイドが補おうとするのはやり過ぎだ。だからそれをウェイドに伝えようと思った。俺だってなにか返したい、と。
「ウェイド」
「どったのお腹すいた? ランチにはまだ早いけど散歩がてら近くのカフェに行く?」
「腹が減ったわけじゃない」
「なら――
「俺はお前にもらい過ぎてる」
 ウェイドの目を見てそう告げた。
 そうだ、俺はウェイドにもらい過ぎている。服だって最低限でいいし、食事だって俺の好みに合わす必要もない、それに荷物持ちもいつだってやる。金は……TVAからの依頼をこなせば工面できる。
「服なんぞ、俺のために買わなくていい」
「いーや絶対いるね、家にある俺のTシャツをべろんべろんにしたのは誰だっけ?」
……俺だ」
「大正解! サイズって大事だよね」
「でもあれは買い過ぎだ。それに食事だって俺に気を使う必要はない」
「そんなつもりはないけど……
 ウェイドの返事にぐっと眉間へ皺が寄る。コイツはいつもそうだ、俺のことばかり気にかけて自分自身をすぐに蔑ろにする。
「それにローガンは俺のヒーローなんだからさ、なんていうの? 推し活ってやつ?」
……俺はそんな大層なもんじゃない」
 思わず奥歯を噛みしめる。ウェイドはよく俺に向かって"俺のヒーロー"だなんだと言ってくるがそれはただの刷り込みだ。たまたま運よくウェイドの世界を救えたのが俺だっただけで、もしかしたら別にもっと都合のいいウルヴァリンがいたかもしれない。ワーストと呼ばれた俺なんかよりも役に立つウルヴァリンが――
「ローガン?」
 ウェイドの呼びかけにハッと意識をそちらに向ける。
……なんでもない。俺が言いたいのはお前になにかを返したいってことだ」
「俺の好きでやってることだから気にしなくてもいいのに」
 じっと無言のままウェイドを見つめると観念したように肩をすくめた。
「わかったわかった、譲る気はないってことね。えー別にいまさら金だなんだって言うつもりはないし、もし請求すんならTVAに言う。あたりまえだろ? アンタはこのアースのアンカーなんだからここでの生活費はあっちが用意するのが筋だろ。ってことは金以外ってことだ。アンタが金を払いたいってんなら別だけどそういう意味じゃないんだよな? じゃあどうすっかなぁ……。あっならさ、アンタのそのホットでゴージャスな体で払ってもらうのってあり?」
「は……?」
 ウェイドの言葉に一瞬過去の記憶がチラついた。
 男も女も関係なく薄ら笑いながらこちらに手を伸ばしてきた物好きな人間たち。けして身体に触れさせることはなかったが、あけすけに性の捌け口として見られることに嫌悪感を抱いたし、疲れ切っていた。まさかウェイドも奴らと同じように俺をただの愛玩具として扱うのか――
「痛いことは絶対にしない、それは約束する。それにアンタを傷付けるつもりもない」
 黙り込んだ俺になにかを感じたのか緊張をした面持ちでこちらを伺うウェイドの表情からは奴らと同じ匂いはしないが抱いてしまった疑惑を拭うことはそう簡単じゃない。――だが俺から話を始めた手前、後には引けなかった。
…………わかった」
「え、いいの? なんかすっごい間があったけど」
「気にするな」
 ウェイドが俺を使いたいなら、それを望むというのならば構わない、と思うくらいには感謝しているし役に立ちたかった。
……そっか、じゃあお返しはそれで。今からでも大丈夫?」
「あぁ、構わない」
「ありがと」
 いつもなら安心できるウェイドの笑顔が今は薄ら寒く感じた。


 ウェイドの案内で辿り着いた先は寂れたモーテルでも、ネオンにまみれたホテルでもなかった。
「ここは……?」
「予想と違ってた?」
 隣にいるはずのウェイドの声が酷く遠くに聞こえて慌ててそちらに身体を向けると今にも泣きだしそうな顔をしたウェイドと目が合った。
「ここは俺の持ってるケイブのひとつなんだけど結構街から離れてるだろ。物資を買い込むには不便だけど一人になりたい時とかちょっと面倒ごとから隠れる時には重宝してたんだ。だけど最近はめっきり使ってなくってさ。だからもしよければローガンにここを譲ろうかなって……でも最近使ってないって言った通り片付けのかの字もできてないわけよ。そんな時にちょうどよくアンタからなにか返したいって提案があったから一緒に大掃除でもしようかなって、ね」
 いやに粘っこい汗がどっと体中から吹き出す。
「"アンタのそのホットでゴージャスな体で払ってもらうのってあり?" ――こっちの言い方も悪かったけどさ、俺がローガンにえっちなお願いをするとでも思ってた? ……ははっ、図星って顔だ。アンタって結構表情が豊かだよね。そっか、俺ってローガンにそういうことするヤツって思われてたんだ。まっ、普段の発言があれだもんなぁ、しかたないかも。だからさ、そんな顔しないでよピーナッツ。アンタはなんにも悪くない。俺がちょっと調子に乗っちゃっただけ。大丈夫」
 馬鹿野郎、俺の心配なんぞする前に自分の顔を鏡で見てみろ。そんな辛そうな面してなにが「調子に乗っちゃっただけ」、だ。――いや、馬鹿野郎は俺だ。過去の言葉に捕らわれて少しでもウェイドを疑った俺が悪い。
「これからはさ、ちゃんとするよ」
……どういうことだ」
 ガンガンと頭の中で警告音が鳴り響く。ウェイドはなにを言おうとしているんだ。お前のせいじゃないと叫び声を上げたいのに喉が張り付いて乾いた呼吸音しか口から出てこない。あぁ、クソったれ! クソほど役にも立たない声帯なんぞ切り裂いてしまいたい。
「俺さ」
 やめろ、やめてくれ。なにも言うな、俺が悪いんだ。お前はなにも悪くない。
「前みたいにお仕事始めようと思ってんだよね、TVAじゃない方の。そっちのお仕事はちょーっと荒事が多いから控えてたんだけどそろそろ大丈夫かなって」
 息を吸い損ねてヒュッと喉が鳴る。
「ローガンもそろそろ一人で挑戦してみてもいいんじゃない? お買い物とか、散歩とか、ランチに行ってみるとかさ。いい機会だと思わない?」
 ウェイドの言葉ひとつひとつがまるで死刑宣告のようだった。浅く、早くなっていく自分の呼吸音が煩くてしょうがない。
……もうお前と一緒に暮らせないのか」
 やっとの思いで出した声はか細く、惨めに震えていた。
「住むとこの心配してる? 心配性なクズリちゃんめ。安心しな、アンタがもう必要ないと思うまであの家にいたらいい。俺は別に構わないしアルだってなんだかんだ言ってくるだろうけどそこまで気にしちゃいない。年寄りはなんにでもいちゃもんを付けてくる生き物だろ? ……あーっと、あんたも相当な超高齢者だった。今の発言は取り消すよ、なんにでもいちゃもんを付けるのはアルの性格ってことにしといて」
 不自然に明るく振舞うウェイドに心臓がだんだんと冷えていく。
……俺はまだお前と一緒に暮らせるのか」
「そういうことになるんじゃない?」
……わかった、ならいい」
「理解ある同居人で俺ちゃん嬉しい♡ んじゃそゆことで明日からお仕事に行ってくんね。実はもう依頼受けちゃってて……
 無理やり笑顔を貼り付けながらこちらを真っすぐ見つめるウェイドに俺はなにも言い返せずただ頷くことしかできなかった。


 まだ太陽も登りきらない早朝にも関わらず玄関のドアの閉まる音がした。
……今日も、か」
 遠ざかっていく気配に虚しさを感じつつベッドの上でゆっくりと目を開けた。ここ最近ウェイドは家を空けることが多い。どうにか会話をしようと話しかけても「俺ちゃん人気者だから」だの「今が稼ぎ時なの」だのベラベラとまくし立ててかわされてばかりだ。
「ウェイド」
 俺はお前と話がしたい。それすらも伝えることのできない自分に嫌気が差す。このままウェイドと疎遠になってしまうのか、そう考えるだけで胸が痛んだ。
「クソったれ」
 ベッドの下に隠していた度数の高い酒を取り出して目の前で揺らす。こいつに頼る日がまた来るなんてな、と鼻で笑って一気に飲み干した。

 人ひとりがやっと通れる程度の狭くて薄暗い路地裏、そこに散らばる腐敗した食い物、空の酒瓶、割れたガラス、血の付いた石ころ。
「くたばりやがれ……ッ」
「お前がいなくなればよかったんだ!」
 耳を塞いでも聞こえてくる憎しみと嫌悪にまみれた群衆の声。
「助けて、ローガン」
 目をつぶっても浮かんでくる死んだ仲間たちの血の気の引いた青白い顔。
 ――ああ、これは夢か。ここは俺の墓場だ。俺はこの場所でヒーローであることを捨てた。ウルヴァリンと呼ばれていた男はここで死んだんだ。残ったのは酒に溺れる腑抜けたクソ野郎だけだ。生物としての死を望みながらどう足掻いたって己の能力がそれを拒絶する。ふさがる傷、癒えていく火傷、段々とはっきりしていく視界。なんだって試した、そのどれかが俺の命を終わらせてくれることを願って。だが俺は死ねなかった、死に損なった。
……とんだ笑い話だ」
 死にたいと足掻いていたのに俺は仲間の忘れ形見である黄色のスーツを手放せなかった。それだけはどうしても捨てることができなかった。己の死を望む男が、だ。俺は結局、意地汚く生きていくしかなかった。どれだけ周りの人間に蔑まれても、厄介者扱いされても、己の罪から逃げることは出来なかった。あの日、あの酒場にいたのだってただの自暴自棄だ。どうあがいても死ねない俺が意識を飛ばすには酒が手っ取り早かっただけだ。
 死んだ仲間以外で久しく俺の名前を呼んだ男がいた。そいつは真っ赤な全身タイツのスーツを着込んでいて飲んだくれていた俺に助けを求めてきた。"自分の世界を救ってくれ"、と。ワーストと呼ばれた俺に、だ。ウェイドは俺がそう呼ばれていたのを知らなかったようだがそんなのお構いなしに鬱陶しく絡んできた。
 ――そして最後には俺がヒーローだと言い切りやがった。ウェイド、お前だけがあの場で俺を見てくれた。俺の力が必要だと言ってくれた。それがどれだけたまらなかったか理解できないだろう。世界から、ましてや死からも拒絶された男なんだぞ、俺は。
 タイムリッパーを止めるために死んだっていいと思った。ワーストな俺にまた光を見せてくれたウェイドのために、アイツが救いたい世界のためならこの身が木っ端みじんに消えてもいいと思えた。なのにお前ときたら……俺がどれだけ焦ったことか、あんなことはもう二度と経験したくない。馬鹿みたいなことしやがって。
 おかしな話だがウェイドに名前を呼ばれると安心する。この名すら捨てたいと思っていた俺が、だ。馬鹿みたいにうるさくて、お節介焼きで、自己中心的かと思えば誰よりも周りを気にしている怖がりな男。俺の名前をまるで宝物のように呼んでくれた男。
 ――ははっ、こんな感情いつぶりだ。
「ウェイド、俺はお前のことが好きだ」
 そうか、ワーストな俺でもまだ誰かを愛することができたのか。あぁ、ウェイドに会いたい。
 きっと起きたら周りは空の酒瓶で溢れているはずだ。まずはそれを片付けよう、それが終わったらシャワーを浴びてアイツが選んだ服を着る。ウェイドの好みはどんなだったか……まぁ、かたっ苦しいのは苦手だがしょうがない。
「待ってろよ、ウェイド」
 早く目が覚めてくれと願うのはこれが初めてだった。


「だから言っただろっ、これで本当に大丈夫なのかって!」
「申し訳ありません……ッ!!」
 やっほー、俺ちゃんはウェイド・ウィルソン、また名をデッドプール。そして馬鹿デカ声で謝ってんのがクソったれTVAの下っ端君。
 鳴り響く銃声、飛び散る銃弾、皆は察してくれてると思うけどここは敵陣のど真ん中♡ なんでこんなことになってんのかは説明が面倒だから詳しい事情は割愛するけど簡単に言うとTVAの上層部がやらかしやがった。大事な大事な事前準備ってやつを怠ったわけ。なーんで突入するってわかってる場所の下調べをちゃんとしないかなぁ、こんな初歩的なことを端折るなんて信じらんない。前戯に手を抜くタイプだろ、絶対。
「デッドプールさんっ!」
「なんだよ煩いな……って、おいおいマジかよ」
 下っ端君が指差す先にはご立派なマシンガンがひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ……はぁ、数えるのやんなっちゃう。
「ねぇ、下っ端君。ここにある武器はせいぜいハンドガンとショットガンくらいだって言ってたの誰だっけ」
「誠に申し訳ありません……ッ!!!」
「あーらら、元気なお返事ですこと。これからはもっとマシな上司の下につきな」
 今の手持ちはハンドガン二丁と手榴弾が数個、背中に刀はあるけど下っ端君を守りながらマシンガンのある所まで行くのはちょっと厳しい。あーあ、ほんとやんなっちゃう。きっとローガンならどれだけ撃たれようともそんなのもろともせずに突っ走っていくんだろう。俺のヒーローはいつだってカッコいいんだ。まぁ、そんなヒーローを失望させたのは俺なんだけど。ローガンが抱えてるもんをちゃんと理解できてなかった俺が悪い。いつだってそうだ、幸せな時間を俺が壊しちまうんだ。
……ここにローガンがいたらなぁ、なーんてね」
「ウェイド……ッ! どこにいる!」
「ヤッバ、恋しすぎて幻聴が」
「ウェイド!」
「んぶっ」
 ものすごい力で見覚えのある黄色が俺の身体を包み込んだ。
……ローガン?」
 なんでここに? 俺、アンタに仕事の話なんか……最近は顔を合わせないように避けてたのに。なのになんでそんな必死に俺を抱きしめてんの。なんでそんな泣きそうな顔してんの。――俺のこと、嫌いなんじゃないの。
「悪かったウェイド。俺はお前を疑った、それは事実だ」
 ローガンの言葉にドクリと心臓が跳ねる。
「だがそれはウェイドのせいじゃなくてお前のことをきちんと見えていなかった俺のせいだ」
 違う、違うんだよローガン。アンタが謝ることじゃない。俺がアンタの弱いとこにずかずかと土足で入り込んじまったから――
「お前のおかげで俺は変わった。酒に溺れることも、死にたいと思うこともなくなった。なぁ、俺を見てくれウェイド。お前のことを嫌ってるような面をしてるか?」
…………して、ない」
 恐る恐る覗き込んだローガンの顔はいつになく晴れやかで穏やかなものだった。胸につっかえていた息をゆっくりと吐き出す。よかった、俺はまだ嫌われていなかったらしい。
「そうだ、お前が俺を変えたんだ。――その責任を取ってくれるか?」
……今なんて言った?」
 なんかさっきまでと空気変わってない? 穏やかでしおらしいクズリちゃんはどこへ行っちゃったの? なんでそんなにおめめがギラついてんの?
「俺を変えた責任を取ってくれ、できれば体で」
「なんか要求増えてない!?」
「うるせぇ、とっとと体で払え」
「人の話はちゃんと聞けって教わらなかったのかよ!」
「お前に言われたくない」
「F☓☓k! 正論すぎてなんも言い返せない! …………因みにその"体で払う"ってどんな内容か先に確認してもいい?」
「後悔しないか?」
……そんなに不穏な感じなの?」
「さあな」
「さあなってアンタの言ったことだろうが!」
「あのう……今喧嘩してる場合じゃ」
 おっと、ローガンのぶっとい腕の中から逃れるに必死で下っ端君のことをすっかり忘れてた。ごめんって下っ端君、今からこのクズリちゃんに解決してもらうから許してよ。
「はぁ……アイツらをぶっ潰せばいいんだな。ここで大人しく待ってなお嬢ちゃん」
「理解の早いダーリンですこと、俺ちゃんのことが大好きなんだから♡」
「ハッ、その言葉忘れるなよ」
 ニヤリと不敵に笑うローガンに首をかしげる。
「とっとと片付けるぞ、ウェイド。これが終わったら俺はお前に告白するから覚悟しておけ」
…………え?」
 ローガンは爆弾発言と俺を――あぁ、また忘れてた、下っ端君も残して敵陣へと突っ込んで行った。
「わぁ……人間ってあんなにぶっ飛ぶんだな」
「現実逃避しないでくださいよ、デッドプールさん」
「するだろ、現実逃避。ローガンが今なに言ったから下っ端君も聞いてただろ!?」
「あっ、ウルヴァリンさん終わったみたいですよ」
「うっそ、早すぎんだろ!? ……心の準備がまだできてないんだけど」
「私は後処理に回るので失礼します」
「下っ端君!? 置いてかないで――
「ウェイド、よそ見をするな」
 いつの間に戻ってきたのかローガンが俺の隣に立っていた。
「俺はお前が好きだ、ウェイド」
「急にぶっこんでくるんじゃねぇよ! 心の準備ができてないって言ったじゃん!」
「ははっ、顔が真っ赤なのも可愛いくていいな」
「~~ッ! 俺のことが好きなくせに生意気だぞっ、からかうとか最低な行為だからな!」
「わかった、わかった」
「わかってない! あっ、ちょっと笑うなってば!」
「好きだ、ウェイド」
 そんな決め顔したって俺は騙されないぞ。アンタの唇の端が震えてんのこっちは見破ってんだからな。
「ウェイド」
 だからそんな決め顔したって……
「好きだ」
……その顔ずるい」
 お前好みの顔でよかったよ、なんて言って笑うローガンを睨み付ける。ほんとその顔に感謝しろよな!

「アンタの言った"体って払う"って俺にでもできること?」
 そう頬を染めながら潤んだ瞳でこちらを見つめるウェイドにゴクリと喉が鳴る。……俺を煽るなアホンダラ。
「あぁ、そうだ」
「そっか……。よし! アンタを変えた責任ってやつを取ってやろうじゃん。煮るなり焼くなり好きに――
「俺の隣にいてくれ」
……へ?」
「一生、な」
「えっ、一生!? 隣!?」
「これからよろしく頼む」
「よろしく頼む!? え、マジで? うっそだぁ……。これ夢でしょ、夢だよな、んむっ……んぇ?」
「はぁ……嘘じゃないし夢でもないぞ。……あ?」
 ――どうやらごちゃごちゃと言い出した番を黙らせるにはキスが効果的らしい。やっぱりお前は可愛いやつだよ、ウェイド。