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wawan78
2025-10-11 14:19:07
1103文字
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チーズいちまいぶん進め
マスターと主
名前
名前
悪いやつだからって洪水で溺れさせてはいけません。腐った街だからって隕石で潰してはいけません。死にたがってるからって死なせてはいけません。相手の許可無く体を作り変えてはいけません。
「えっ、そうなの」
……
その無理解が今の自分を作っていると思えば複雑な気持ちになる。
ピークも過ぎてそろそろ店じまい、片付けてる間に飲んでいろと渡したグラスをくるくる回しながら、
名前
はたくさんある目玉を見事に全部くりくりと見開いていた。
「悪いやつは、いないほうがいいでしょう」
「お前が悪いやつだと思うだけで、本当は良いやつかもしれねえだろ?」
「根拠は?」
「お前さんが誰かを『悪いやつ』だと思う根拠は?」
「人に迷惑かけたり
……
悲しませたり
……
」
「それじゃあお前さんも『悪いやつ』だろう」
「
……
いないほうがいい?」
「馬鹿言うな」
つまみに、と片付けの傍らチーズの盛り合わせを出すと、遠慮なく
名前
はがばりと一気に鷲掴みにして頬張った。つまみ、の意味がない。つまみ、の食い方じゃない。そこも教えないと駄目か。
目の前の不思議生物は、自分よりもずっとずっと長い時間を生きてきたはず。なのに、何も知らなかった。人々の近くで生きたいと願うくせに、その「人々」のことをひとつも知らず、間違えた、と嘆くのだ。
幼く弱い子供なら、それでいい。間違えて、他人とすれ違って、諍いになって、そうしてやって良いことと悪いことを学ぶ。しかしこの生き物はそうなると確実に相手が負ける。するとどうなるかといえば、学習の機会なく終わるだけだ。
いちまいずつ「つまめ」、と言い直して、再びチーズの盛り合わせを置く。今度は分かりやすいように、薄切りにした。言われた通りいちまいずつ「つまんで」いるのでよしとする。
「ほんとにお前さんはなんにも知らないんだな」
「誰も相手してくれなかったんだもの」
「そりゃあなあ」
こんな存在だ、親なんていないのだろう。奴らがどうやって生まれるのかは知らないが、こいつは確かにそうだと思う。聞けば、同族は話すら通じない連中も多いそうだ。自然災害に近い存在なのだし、こうして意思疎通ができている時点で異端なのかもしれない。
その異端のおかげで今の自分があるわけだが。
「でもまあ、様にはなってきたな。バーの常連、の真似事」
「どこに出しても恥ずかしくない?」
「つまみをちゃんと「つまむ」ようになったらな」
言ってるそばからせっかく褒めたのに、やっぱりチーズは一気に食べたいらしい。誰も見てないからいいけどなあと笑うしかなかった。
(まるで子育てしてるみたいだ)
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