三毛田
2025-10-10 22:12:28
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41 041. 戸惑いは小さな足枷

41日目
恋心という足枷

 己の行動が正しいと、確証を得られぬまま月日ばかりが過ぎていく。
 違和感も感じないほど、微かなノイズから始まったそれは、足枷のように俺を縛る。
 暗く冷たい空間で、物理的に繋がれていた頃のほうが、まだマシだと思えてしまうほどに。
 戸惑いから産まれた足枷は、俺を縛って。油断すると、身動きが取れなくなる。
「丹恒先生、膝枕して~」
「これ、穹! お前はまた!」
 ドカッと隣に座り、俺に抱き着きながら穹はそう言って。
 すると、パムが怒りで耳を浮かせながら俺たちの前に。
「お前、今日は何をしたんだ」
「まだ何もしてないってば!」
「花瓶を倒して、花を戻しただけで水を拭いておらんじゃろう!」
 思わずジトッとした目を向けてしまう。
「俺じゃないって言ってるじゃん!」
「じゃあ、誰じゃ!」
 パムは俺に協力を求めるかのように、見上げてくる。
 だが、俺の雲吟の術はそこまで万能じゃない。
 なので首を横に振ると、ガクリと肩を落として。
……片付け、俺も手伝うよ」
「そうか。頼んだぞ」
 ポテポテ歩く背中を見て何かを感じたのか、穹は手伝いを申し出て。
 彼だけでは心配なので、俺もついていく。
「俺も行こう。正直言うと、お前一人では心配だ」
「大丈夫! って言いたいけど、お願いします」
 そう言って頭を下げ、俺の手を取る。
 当たり前のように、俺の触れてきて。
 驚いて肩が跳ねた。でも、彼もパムも気づいていていない。
 それが嬉しくもあるが、寂しさもあって。
 一瞬だけ苦しさを感じたけれど、大丈夫だ。と、己に言い聞かせ。
 花瓶の水を入れ替え、花も活け直す。
「丹恒はセンスがいいな!」
「お前も悪くないと思うが」
「どちらもいいぞ」
 パムからお墨付きをもらったので、ほっとする。
「疑って悪かった。これはお詫びじゃ」
 差し出されたのは、ラッピングされたクッキー。
「ありがとう! 丹恒、一緒に食べよう」
「そうだな」
「飲み物は好きに持っていくとよい。オレはラウンジにいるからな」
「わかった」
 ポテポテとあるって行く背中を見送り、飲み物を用意する。
 穹には、スラーダを。自分用に、氷多めのカフェオレ。
「丹恒、ありがとう」
「どういたしまして」
「食べ終わったら、俺の部屋で膝枕してくれよ!」
「諦めてないのか……
 ちょっと呆れた声が出てしまった。が、仕方ないだろう。
「だってさぁ」
 拗ねたように、唇を曲げて。
「なんだ?」
「丹恒が、好きだから。一緒に居たいなって」
 カフェオレのカップを落とさなかった自分を、褒めたい。