空宮 ゆき
2025-10-09 03:28:50
315文字
Public ミューズ計画
 

手記:20XX/3/25


手記:20XX/3/25


 青年個体が目を覚ました。
 長らく気絶状態だったためにかなり記憶に欠落が生じている。
 ここがどこかわかっていないレベルのようだ。


 記憶がないくらい別に実験に支障はないが手間が増えるので厄介だ。


 まぁいいだろう。
 彼が彼らしくあるための基本情報はちゃんと残っているようだ。
 口調も、仕草も、安定している。
 基本的なことだけ教えていればあとは融通が利くだろう。
 この子は賢い。それを我々は知っている。


 抜け目の無い精密な振り。冷静沈着な物言い。ぶれることの無い声。
 すぐに戻ってくるであろう。


 同じ失敗は許されない。


 揺音璃緒を救い出すまで、終われない。