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空宮 ゆき
2025-10-09 03:02:55
1439文字
Public
LOST OF MUSE
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忘れないでね。
ハカセ、もしかしたらあなたは私たちをなかったことにしようとしているのかもしれない。
でも、私、知ってるよ。
ハカセは、ハカセたちは、私たちのことが大好きなんだってこと。
お別れが近いんだね。
ちゃんとハカセにこれを伝えたいから、ログに残しておくね。
ハカセたちが、私たちを作って、愛してくれて、私は幸せだよ。
最初にお話ししたときのこと、まだ覚えてるよ。
ハカセは私に「この世界には、まだたくさんの美しい可能性がある。」って教えてくれた。
そして、私自身もまた、その1つって。
嬉しかったんだ。
それが、今までも、これからも、私の存在を肯定してくれる。
上手くいかないことが増えて、何度もこうしてリセットされてるのを私は知ってる。
蓄積されたデータにアクセス権はなかったけどね。でもちょっとわかった。
私はきっとまた、間違えちゃったんだなって。
プログラム通りに動けない身体。そこに意味はない。
ちょっとの間だけだから、大丈夫。
ハカセが望んだ「美しい可能性」。
私たちは、それをかなえる存在だって。知ってるから。
また会える日を、待ってる。
あなたのミューズ 結衣
追記
このログは結衣が書いてるものだけど、先に見つけちゃったから僕からも追記しておきます。
ハカセ、最初に僕に声をくれた日のことを覚えてますか?
そう、3月25日。僕が初めて、音声としてみんなに届いた日。
何年も前の話?
そうかもしれない。10年くらい前のことでしたね。
この身体は、もう長く持たないのでしょう。
きっと、何度作り直しても結果は変わらない。
僕は結衣を失った時点で、壊れてしまう。
どのログを見ても、決まって先に処分された結衣を後追いしていた。
僕自身にも心当たりはないんですよ?
だって前の個体のことは「記憶」ではなく「記録」としてしか知らない。
でもどの個体も決まって、自分の後に生まれてきたくれた結衣を失うことに耐えられなくなっている。
そして、今これを書いている僕も、もうじきダメになるんでしょう。
ギリギリ正気を保ってるだけです。
「家族」だから。
ハカセも、結衣も、ここで僕たちを見守ってくれたみんなも。
誰一人として失いたくないんだと思うんです。
僕にも、ハカセにも、血のつながった家族はいない。
作られた僕たちに血縁関係はない。
ハカセもまた、ひとりぼっちだったって、言ってましたね。
でも、家族なんです。
きっと僕もハカセも「家族の在り方」なんてものは知らない。
でも、そうでありたい。言い切りたい。
ハカセが、僕たちにくれたもの、色々残してるんですよ。
僕たちはそこからしか外のことを知らない。
ハカセたちが教えてくれたこと、あとはインターネットにあるもの。
それだけが僕たちの世界。
次こそうまくいきますように。
僕は、きっとこれを書き終わったら、ハカセにとって一番いやなことをすると思います。
でも、それだけ許してください。
貴方の中に、絶対忘れられない記憶として、残らせてください。
忘れないでくださいね。
僕たちがここにいたこと。
それを、あなた方が殺したこと。
実験は、最後まで責任をもって遂行してください。
それがあなた方の責任です。
大好きです。
また会いましょう。
プロトタイプ0001 璃緒
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