ぶんどき
2025-10-08 17:14:19
1455文字
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エンドロールは、もう。

Skebリクエストありがとうございました!
週末の甘いひとときの話。

 涼しい風が窓から入り込んでくる。この頃、日もだいぶ短くなり、まだ十六時だというのにあたりは薄暗くなり始めていた。あれだけ暑かった夏も気づけば終わりを告げていたということだ。
 そんな今日は週末。一週間分の癒やしを求めに彼が家に来ることになっていた。華邑七生──恋人である彼の来訪を、夕飯の準備をしながら待っていた。
 十九時過ぎ、彼は予定通り訪ねてきた。玄関で軽く挨拶を交わし、靴を脱いでリビングまでやって来る。この一連の流れももう慣れたものだ。
「外、寒くなかった?」
「ううん、平気~。涼しくてちょうどよかったかも」
「そっか。晩ご飯できてるよ」
 鍋の肉じゃがを温め直し、二人分のご飯をよそう。盛り付けたサラダを食卓に並べる。その間に彼がコップに麦茶を注いでくれた。
 夕飯の肉じゃがを彼は美味しいと言って食べてくれた。今度作り方教えて、とも。最初こそ料理ができなかった彼だが、教える度に上手くなり今では一人で台所に立つのも任せられるほどだ。彼の作る肉じゃがもきっと美味しいのだろう。これから寒くなる季節だし、今度は一緒に作るのもいいかもしれない。
 そんなことを考えながら、食器の片付けを終える。食後はそのままリビングで寛いでいることが多い。そういえば。彼が気になっていると言っていた映画の配信が昨日から始まったことを思い出す。それを一緒に観るのもいいだろう。
「ななみくん。そういえば前に言ってた映画、昨日から配信始まったみたいだけど観る?」
「え、そうなの? 観る~!」
 目を輝かせた彼と並んでソファに座る。リモコンを操作して映画を流し始めた。
 ダイナミックで格好良い映像が売りの海外のアクション映画。ハラハラとした駆け引きやロマンスもありつつ、アクションだけではなくストーリーもそこそこ面白い。全体的にも良い映画だったのではないだろうか。
 エンドロールが流れている中、隣の彼に視線を向ければ彼もこちらを見た。目と目が合う。そっと手を伸ばし、その太腿をするりと撫でた。
「海外の映画って、脈絡もなくベッドシーンが挟まったりするよね」
……ななみくんも、意識しちゃった?」
 彼はへにゃりと顔をゆるめ、目を泳がせていた。わかりやすくて可愛い。
「あ、ぅ、えっと~……
「僕はななみくんにキスしたくなっちゃった」
 顔を寄せ、彼の顎をくい、と持ち上げる。
……俺も」
 そう言って彼はきゅっと目を閉じた。いじらしい。そのままくちびるを重ね合わせる。触れるだけの口づけを何度も、角度を変えて味わう。くちびるの隙間から覗く彼の舌を舌先でつつく。そのまま誘われるように彼の口内へと滑り込ませる。空いた手を彼の服の中に差し込む。舌を吸いながら、服の中をゆっくりと優しくまさぐれば、彼の腰がぴくりと跳ねた。
 くちびるを離せば、ぽうっとした顔でこちらを見る彼と目が合う。その顔は、まだ物足りない、と言っているようだった。目を細めて見つめ返す。
「キスだけじゃ足りないんだ?」
 つい、意地の悪い言い方をしたくなる。
……うん」
 彼のこういう素直さは嫌いじゃない。むしろ好ましいとすら思う。
 もう一度キスをしながらゆっくりソファに押し倒す。

 ふとテレビに目を向けると、エンドロールはもう、とっくに終わっていた。
 いつの間にか配信の開始画面にまで戻っていた。
 しかし夜はまだ長い。恋人と過ごす甘やかな週末は特にそう感じる。
 
 リモコンを手に取って、そっとテレビの電源を落とした。