fedge
2025-10-07 20:33:53
1628文字
Public Pixiv非掲載
 

#CapironWeek2025 DAY3 College Student + Office Wor

社会人🧊と大学生🦇の話。
※モブ女子がいます
※職業不詳のスラーインがいます

学外の人でも利用できる学食のテラスでオロルンはたぷたぷとスマホを弄っていた。風が心地よく頬を撫ぜる、秋晴れのいい天気だ。昼飯時は程々に混んでいるのだが時刻はもう午後二時を過ぎており、学生は講義やらバイトやらに赴いていて客はまばらである。
「ねぇ、あの人ってオロルンだよね」
今世でも付き合うことになった蝙蝠耳がぴくりと動き、少し高い声を拾う。聞き覚えのないその声の方向をちらっと見てみれば、本当に見覚えのない女の子たちがこちらを見ながらひそひそと話している。呼んだか?と話しかけに行ってもいいのだが、もしそういう意図ではなかった場合迷惑になってしまうなと、再び視線をスマホに戻す。ちょうどメッセージが来たのでスタンプを一つ送り返した。
「多分そうだよ、農学部の人だよね」
「あれ?確か親族が民俗学の権威じゃなかったかしら。彼もそっち系じゃないの?」
「え、この前生命科学の必修に居るのを見たよ」
聞こえてくる話はどれもハズレだった。農学部には仲のいいじいちゃん先生がいるから、その先生の個人菜園のお手伝いをしているだけだし、ばあちゃんの分野はまぁだいたいのことはわかるが専攻じゃない。生命科学の必修は面白そうだったから暇な時間にこっそり聞きに行っただけ。興味関心の赴くままに動いているが、一応の所属は哲学科だった。でもそこまで熱心なわけでもないから、何か他に見つかれば転籍しようとすら思っている。
「ってかやっぱイケメンだわ。目の保養」
「でもあれでしょ、話が独特でついていけないってウワサだよ」
「あーあれか、黙ってれば、ってやつ?それでもあんだけイケメンだったら多少は目ぇ瞑れる」
「わかる~」
「なんかぽやっとしたとこあるらしいし、案外ちょろいかもよ」
何やら好き勝手言っている。席が離れているから聞こえていないと思っているのだろう。まぁ僕は変わり者だからな、と流してまた届いたメッセージに「いつものとこ」と返す。
「でもあたしはもっと大人なオトコ!って感じの人がいいなぁ、ほらあの人みたいな……えっ」
「俳優かなんか?えぐいカッコいい、やばい」
きゃあきゃあと騒ぎ始めた女の子たちに何事かと顔を上げれば、待ち人がそこに居た。艶やかな黒髪を風に揺らすこの美丈夫こそが、オロルンの待ち人であり、恋人である。
「すまんな、予定が長引いてしまった」
「いや。僕も少し前に来たところだ、気にしなくていい」
代休消化で珍しく平日休みの彼が、大学の近くで用事を済ませるついでに昼を一緒に摂らないかという話になり、オロルンはスラーインの迎えを待っていたのだった。午後唯一入っていた講義が臨時休講になったので、ご飯を食べたらそのままどこかに出かけたっていい。スラーインは彼を見つけてやわらかく笑うオロルンの頭をくしゃりと撫でる。
「お前が前に行きたがっていた店があっただろう、そこにするか」
「それがいい、確かランチを十六時ごろまでやっていたはずだ」
席を立つオロルンがスラーインの横へ立つと、色めき立っていた女子たちの視線が一層強くなる。今にも話しかけてきそうな雰囲気をしていたが、彼女たちをスラーインが一瞥すると凍り付いたように静かになった。先ほどまでオロルンに対して遠巻きに好き勝手行っていた女子たちが固まるのを見て、オロルンはふと疑問をこぼす。
……君、もしかして聞いてたのか?」
「お前の想像に任せる」
駐車場に向けてカツカツと歩きだしたスラーインの横に、置いて行かれまいとオロルンが駆け足で寄り添った。先ほど言われたことなど気にもかけていないようで、嬉しそうにぴこぴこと耳が揺れている。
「ハンバーグが有名な店なんだ、チーズが乗っている奴がお勧めらしい」
「ほう。楽しみだな」

……大丈夫?」
エンジン音が去った後しばらくしても、騒いでいた女子のうちの一人がその場から動けずにいた。
「尊い……
……保健室つれてく?机で頭打ったのかも」