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三毛田
2025-10-06 21:58:50
1073文字
Public
1000字5
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37 037. 諦めようと何度も
37日目
頑張ったけれど
諦めようと、捨ててしまおうと。何度も思ったし、実行に移した。
けれど、その度に彼が笑いかけるから。
優柔不断で臆病な俺は、恋心を捨てきれず、彼への思いを諦めきれず。
気づけば、ズルズルとここまで来てしまった。
「たーんこ! 今日も俺の部屋に来てよ。なあ、いいだろ?」
俺の肩に顎を乗せ、己の提案が断られることはないだろうと、自信に目を輝かせながら提案してくる。
「はあ。今日は何をしたいんだ?」
「やったー! パムがさ、新作の試食をしてくれって頼んできたんだ。何種類があるから、俺とお前で食べよう」
と、耳元で。
「三月は、呼ばなくていいのか?」
くすぐったくて、嬉しくて。だけど、同時に胸が痛くて苦しくなり。
誤魔化すように、三月の名前を出す。
「なののために作るんだって」
「それなら尚更」
「本人にはまだ内緒。新しい洋服のお礼のためなんだけど、なのが食べて好評だったら新しくメニューに加えるんだってさ。その前に、俺たちに食べて欲しいんだって」
「なるほど」
そういえば、パーティー車両のパムの衣装スペースに服が増えていたなと思い出す。
「これ! 名前は忘れた!」
「お前
……
」
「でも、揚げ菓子だって言ってたのは覚えてる。こっちは、普通のおやつのチュロスってやつ」
搾り型でも使ったのか、独特の形をした棒状のものが皿に乗っていて。
砂糖がまぶされているが、香料の匂いもしており。
「シナモンか?」
「そう言ってた! いただきます! ん~! おいひい」
手でちぎり、一口で頬張り。口の周りを砂糖まみれにして、咀嚼。
「いただきます。確かに、シナモンだな」
一口サイズに千切り、口へと持っていく。口の中に、砂糖と共にシナモンの香りが広がり。
「あ、思い出した! ペ・ド・ノンヌってやつだ!」
もう一つの皿の、一口サイズのものを指差して叫ぶ。
ネットで調べてみると、どうやらシュー生地を揚げたものらしい。
「シュー生地を揚げたもののようだ」
「へー」
一つつまみ、口へと入れるとふわりと酒の香り。
二種類乗っているようで、もう一つ食べるとこちらはスパイスの風味が口の中へと広がる。
「カロリーにさえ目を潰れば、悪くないな」
「本当? 俺も食べようっと!」
指先と口周りに砂糖をたっぷりつけ、彼は口いっぱいに頬張って。
少々子供っぽい仕草も、たくさん食べる仕草も。
俺の心を掴んで離さない。
思わず好きだと告げてしまいそうになるが、ここで我慢するのが年上としてのプライド。
絶対に諦めきれないのだ。
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