癒羽琉(ユウル)/由羽(ユウ)
2025-10-06 18:50:35
1497文字
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朝のひと時と、甘い約束

◇DMC4◇ネロキリ◇
「仕事行きたくねぇ」ってキリエにへばりつくネロ
というテーマをもとに書かせていただいたお話です!

ほんのり大人な雰囲気も漂わせつつ、ほのぼのな朝のひと時。

「ネロ、起きて……?」
 やわらかな声に呼ばれて、ネロはまぶたをゆっくり開いた。
……もう、朝か」
「ネロ、今日は依頼の日でしょ?そろそろ起きて準備しないと……
 ネロはまぶたをこすりながら頷くと、重い体をゆっくりと起こしていく。
 寝癖で跳ねる彼の髪、まだ眠たそうな表情を微笑ましく思ったあと、キリエは優しく声をかける。
「朝ごはん、できてるわよ。リビングで待ってるね」
 そう言ってキリエがネロの部屋を出ようとしたとき、大きなため息が彼女の耳に届いた。
……仕事、行きたくねぇな」
 気だるそうに呟き、ネロは布団から体を抜け出してベッドの縁に座ったあと、再びため息をつく。
 そんな彼の姿を見てキリエは心配そうに微笑むと、隣にゆっくり腰を下ろした。
「今日は、場所が遠いものね。億劫になるのも無理ないわ」
「そうなんだよな。はぁ……面倒くせぇ……
 ネロはがっくりと肩を落としたあと、そのまましがみつくようにキリエの体に腕をまわし、顔を埋めた。
「仕事、行きたくないよ……キリエ……
 そう弱音を吐きながら自分に抱きついてくるネロの姿に、キリエは困ったように笑みを浮かべる。
「でも、ダンテさんは今日、別の依頼があるんでしょう?そしたらネロが行かないと……依頼主が困ってしまうわ」
「それでも行きたくない」
 ネロが即座にそう言うと、キリエは思わずベッドに倒れ込みそうになった。
「あらあら……困ったわね……
 キリエは自分に抱きついて嘆くネロの背中を撫でながら、どうしようかと悩む。
 彼の背中を押して、仕事に向かわせなければならない。だけど、子どものように甘える仕草が愛おしくて、強く突き放すこともできない。
 それでも、どうにかして気持ちを切り替えさせてあげたい——そう思ったキリエは、少しだけ考え込んでから、そっと囁いた。
「ネロ、そしたら今日の夜ごはんは、ネロが好きなものをたくさん作ってあげるね。それと……

……

……!」
 耳元で囁かれたキリエの言葉に、ネロは頬を赤く染め、思わず顔を上げる。
「キリエ、今の本当……?」
「ええ、本当よ。だからお仕事……頑張ってね」
 ネロの頬に、キリエのやわらかな唇が触れる。
 照れくさそうに微笑みながらも、ネロの表情は活気を取り戻し、やる気に満ちていった。
「わかったよ、キリエ。今日も頑張ってくるな」
 そう言ってネロは、彼女の頬に自分も口づけをする。
 そして、互いの腕を名残惜しそうに解きながら、ゆっくり立ち上がった。
「さてと、まずは顔でも洗ってくるか」
 そう呟くネロの背中を笑顔で見つめながら、キリエもその場から立ち上がる。
「お昼のお弁当も、ネロの好きなものをたくさん詰め込んでおいたから、楽しみにしててね?」
「ははっ、それは尚更、仕事頑張らないとな」
「ふふっ……頑張ってね」
 二人はそう言葉を交わしたあと、ネロの部屋を後にした。

***

 顔を洗っている最中、ネロの頭の中にはキリエの甘い囁きが響き続けていた。

——今夜は一緒に過ごしましょう?
——ネロのこと、いっぱい気持ちよくしてあげるね

……今夜、楽しみだな)
 顔を拭くタオルの下で、ネロは思わず表情がほころぶ。
「よし……
 顔を洗い終わり、鏡を見てひと息ついたあと、ネロは温かなコーヒーとキリエの甘い香りに誘われるように、リビングに向かっていった。
 口元に宿った笑みを隠せないまま……

***

 ほんの少しの甘いやりとりと、今夜の約束が——ネロの背中をそっと押してくれた、ある日の朝のひと時。