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春野ツバサ
2025-10-05 17:49:57
1928文字
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選ばなかった未来に想いを馳せてもいい【ゴジュウの小話】
また書いてしまった……ゴジュウの小話パート2です。
パッションて恐ろしい(gkbr
それも全て遠野吠ってやつのせいなんd(強制終了
前の遠足話とおんなじ世界線、一人称は以下略。
吠ちゃんが家族のいる幸せの世界でなく同じくはぐれ者達の待つ戦いの世界を選択したの、きっと吠ちゃんは後悔してないんだろうなと思いつつ、それでも思うところはあったんじゃなかろうかという妄想とそれを吐き出させようというコンセプトの名のもとに書きなぐりました。
短時間で勢いのまま書いたプラスコンディション下降気味の為雰囲気で色々察して頂けるとありがたいです。
無断転載及びAI学習は御遠慮くださいますよう
お願い致します(礼
「吠くんっ」
とある民家を背に歩いてくる深く帽子を被ったまま微笑む配達員さんに短く声をかける。
こっちに気付いて驚いた様子の配達員
――
吠君に向けて私はにこーっと笑みを浮かべてひらひらと手を振った。
「
……
お前、なんで
……
」
「バイト頑張ってるはぐれ狼さんを労おうと思って」
「いらねぇ。バイト中だ」
ぷいっとそっぽ向く吠くん。相変わらず人に懐こうとしないワンちゃんです。や、猫ちゃんかな? ま、そこが可愛いのですけども。
「奢りですっていっても?」
なので、伝家の宝刀を引き抜きます。この子を釣るのならばこれが一番確実。
告げた瞬間、吠くんは肩をぴくりと震わせて反応する。正直でよろしい。にやり、と意地の悪い笑みを浮かべて答えを待ちます。
「
……
なんでもいいのか?」
「もちろんですよー。色々あってお疲れでしょうからね。頑張ったご褒美ですよ」
色々、の部分に思い当たる節のあった吠くんは苦い顔つきになる。
世界を選ぶ。
吠くんがその苦渋の選択を強いられたのはつい最近のこと。
何も起こらない神のいない世界でぬるま湯の幸福に包まれた夢を見続けるのか。全てを失いそれでも戦い続ける孤独の道か。
吠くんが選んだのは
――
いわずもがな。
「後悔してる? こっちを選んだこと」
「
……
自分で選んだんだ。してねぇよ」
迷わずはっきり告げる吠くんはすごく、眩しい。無意識のうちに口元が弧を描いていたのはまぁ、仕方ないというもの。
「そっかー。エライエライ。いい子いい子ー♪」
帽子の上からわしゃわしゃと撫で回します。
「ちょ、餓鬼扱いすんなっ」
「んーどっちかっていうと、ワンちゃん?」
「なお悪いわっ」
「まぁまぁ。そう照れずに♪」
「照れてねぇっ」
逃れようと暴れる吠くんにそうはさせじと構い倒す私。しばらくそうしてわちゃわちゃとして。
「吠くん」
「んだよ
……
」
目を合わさず不貞腐れる吠君を真っ直ぐ見つめる。
「いいんだよ」
「なにが
――
」
「「あっち」にいたかったって。
言ってもいいんだよ」
目を丸くする吠くんに。私は黙って微笑んだ。
「ソーちゃん、テガソードの言う通り、君が「あっち」を望んだとしても、誰も君を責めることはできないよ」
吠君にとっては間違いなく幸福な世界だった。例えあれが夢幻であったとしても。
いたいと、吠くんが願うのであれば、それは紛れもなく彼の願いで。それを叶えるのはこの世界の特性上、許される範囲のハズだ。
でも、吠くんはそっちを選ばなかった。
この子が「こっち」を選ぶというのはわかっていた。そしてそれを選ぶのを後悔していないということも。
それでも。
迷いが全くなかったのかと言えば、きっとそうじゃないだろう。人は、甘い誘惑には弱い生き物だ。振り切って己を貫き通すのは並大抵の精神でできることじゃない。例えそれがダチの為であったとしてもだ。
「夢(のぞみ)を抱くことは悪いことじゃないよ。
君はもう、それを知ってるでしょ?」
ぐっと押し黙る吠君に小さく笑う。
「
…………
母ちゃんの飯、すっげぇ美味かった」
「うん」
帽子を深くかぶった吠くんの口からぽつりと零れ落ちる。それを黙って聞く。
「父ちゃんも
……
兄ちゃんも
……
すごく、優しかった
……
」
「うんうん」
「
……
幸せ
……
だったなぁ
……
」
「そっか」
それ以上言葉は続かなかった。黙ったままの吠君の頭をもう一度よしよしと撫でる。
「誰も見てないし。泣いてもいいんだぞー?」
「
……
あんたがいるだろう」
「あ。ほんとだ」
あははと笑うと呆れた表情で吠くんに見られました。
「なぁ」
「んー?」
「もし、俺が「あっち」を選んでたら、あんたはどうなってた?」
ぱちん、と。まばたきを1つ。
「そうだなぁ
……
」
問われてうーん、と考え込む。
神様のいない世界。それは英雄(ヒーロー)のいない平和の世界。であれば
――
「きっと、君と私は出逢ってなかっただろうね」
あっけらかんとそう告げれば。吠くんは驚いた様子で目を見開いていた。いや、衝撃、だろうか。そんなに驚くことなのだろうか。
「
……
やっぱこっちで良かったな
……
」
「なにか言った?」
首を傾げるとなんでもねぇっ、とぶっきらぼうな返事が返ってきた。お、なんだもうツンデレワンコ復活ですか?
「腹減ったっ奢ってくれるんだろっ?」
「いいよー。何にする?」
「フランクフルトっ100本位食ってやるっ」
「いいねー。いっぱい食べる君が好きだぞー」
えっ、と驚く吠くんを横目にあはは、と笑いながら並んで歩く。
遠くから、幸せそうな家族団欒の声が聞こえてきた気がした。
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