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三毛田
2025-10-04 22:27:35
1075文字
Public
1000字5
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35 035. 手が届いてしまいそう
35日目
届いたら、その先も求めてしまいそう
海を割る姿は、まるで、神様かと思った。
実際、不朽の星神の末裔であるらしいから、俺よりも神に近いのだろう。
あんなこと俺には真似できないし、彼もまた何度もやりたくはないだろう。
〝羅浮の龍尊〟として出会っていたら、決して手の届かない存在。
だけど、〝星穹列車の護衛の丹恒〟だから手が届いてしまいそう。
そんな錯覚。
「実際、手が届くだろう」
珍しく不満を全面に出した丹恒が、俺の手を取って左胸に触れさせてくる。
なんで?
って思ったけれど、そこから伝わる熱と鼓動にだんだん気分が落ち着いてくるのがわかった。
「俺は、星穹列車所属の、ナナシビトの丹恒だ。お前が手を伸ばせば、届くところにいる。勝手に諦めるな」
「諦めてないってば」
今度は俺がムスッとする番。
「そうか。俺の勘違いだったか」
俺の返答に、彼は優しく微笑んで。
その表情がたまらなく好きで、手に力が入ってしまう。
「胸は揉んでもあまり意味がないと思うが」
「たまたま揉んじゃっただけです!!」
「そうか。それなら仕方ない」
恥ずかしくてそう叫ぶと、彼は掴んでいた俺の手首をそっと離す。
ちょっとだけ残念だと思ったのは、ナイショ。
「アンタたち、ここが何処かわかってる?」
呆れたようななのの声。それにより、今はラウンジに居たことを思い出す。
「あー
……
」
何も言わないけど、パムも箒を手に呆れた表情を浮かべて俺たちを見ていて。
「丹恒だけじゃなくて、ウチだって手が届くでしょ?」
俺の手をそっと掴み、握ってくる。
「もちろん、パムにも届くよ。ね?」
そう言いながら、彼女はパムへと手を伸ばして。
パムは、箒を置くとその手を掴む。
「うむ」
そして、もう片方を丹恒の方へ。
彼がその手を握ると、四人で輪になる。
「ふふふふ~」
なのは嬉しそうに笑う。
そんな様子に、悩んでいたことが馬鹿みたいに思えてしまって。
「なの、ありがとう」
「急にどうしたの?」
礼を言われるようなことはしていない。そんな表情。でも、パムと丹恒は俺が言いたいことをわかっている様子で。
「でも、穹の悩みがなくなったならよかった!」
実際は、無くなっていない。手が届いて、その先まで欲してしまいそう。それは未だ考えていることだから。
でも、これ以上悩ませたくないから口にはしない。
「丹恒。続きは、この後で」
と、丹恒の耳元で告げるとまだ続けるのか。というような視線を向けられてしまう。
とりあえずは、今この状況を楽しんでおいても罰は当たらないだろうな。
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