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るいじゆいざき
2025-10-04 18:52:03
2079文字
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Old Maid【Warframe fanfiction】
Tennotober2025 Day3で描いた3人の話を書いてみたかっただけの小話です。
※漂流者の性別はどちらでも読めるようにしてます。
「簡単なトランプゲームと言ったら、なんだ」
「ババ抜きとかどうよ」
▫
トランプ、という絵札遊びが1999年にはあるらしい。行動開始まで時間のある私とArthurで、彼のデスク周辺にあるカフェテーブルに腰掛けそんな話をしていると、射撃的の在庫が尽きて暇を持て余したQuincyが珍しくこちらへ油を売りに来た。
暇なQuincyはある絵札を持参していた。娯楽の少ないホルバニア・セントラルモールで避難民が退屈しないように、Aoiが自前の能力で簡易的な活版印刷を行い、その辺の厚紙に一般普及されているスートに数字と、スカルドラ部隊の面々を印刷したらしい。
「なんでまたあの人たちを?」
「たきぎにしても気後れしねえだろ?」
「Aoiが作ってくれたのに」
「本人が言ってんだけどな」
鬼札、"Joker"にはいつぞや相対したスカルドラの女性リーダーが描かれている。Quincyはというと、"King"の札に描かれたAlbrechtの顔を油性マジックで塗りつぶしていた。
「Aoiが作ってくれたのに
……
」
「オレのぶんなんだからいいだろが」
「ハァ
……
」
口を尖らせるQuincyにArthurがため息をついた。
Quincy自前のトランプで1回めのゲームが始まった。ポーカーというらしい。
が、これがまた不慣れでまるで適応できずに惨敗した、というよりゲームが成立しなかった。ルール知らずにしても天性のカードゲーム下手なのか、「分かりやすすぎる」という評価をArthur直々に下され、なんとも同情めいた眼差しを向けられてしまった。
「簡単なトランプゲームと言ったら、なんだ?」
「ババ抜きとかどうよ」
一束にもどしたトランプを器用にシャッフルしながら、Quincyは思案げにこちらを見遣る。こうも歯応えが無いと遊びに誘ったところで面白くもないだろうに、どうやらふたりは投了するつもりがないらしい。
「ババ抜きはポーカーより簡単?」
「ああ。相手から1枚カードを引き、同じ絵柄を合わせて場に捨てる。先に捨て終えた奴が勝ち、最後まで鬼札が手元に残ってる奴が負けだ」
「シンプルだ」
トランプが3等分され手元に渡る。Arthur、Quincy、私が時計回りに絵札を1枚ずつ引いていくが、先程のポーカーの件もありふと魔が差した。
Quincyから札を引く時、ほんの少しだけ爪先を掠らせる。『転移』によって一瞬だけ見えた残像を頼りに目当ての札を引いて、場に捨てる。そうするといとも簡単に勝つことができた。
「
……
Arthur、次は逆順でやろうぜ」
「? 分かった」
なんだか不敵な笑みを浮かべたQuincyが囁き、Arthurは怪訝そうに応じる。そうして始まった2回戦目のひと引きで、Arthurは似たような微笑みを浮かべて手持ちの札をテーブルに置いた。
「ズルは良くないな、漂流者」
間に合わせのキャスター椅子がぎこちなく軋み、私はふたりの表情を交互に見る。怒りこそ感じられないが、途端に自分自身がねずみのように小さくなる感覚に呑まれた。
「ごめん
……
」
「ババ抜きでやるには大袈裟なチートだぜ。ったく」
「先程の1勝はそのままお前の勝ちでいい、だが今から『ソレ』は無しだ、いいな?」
「うん。ごめんなさい」
普通のひとなら気付けない程度の『転移』をしたつもりだったが、猛者ふたりにはお見通しのようだ。感銘とも罪悪とも、どちらも合わせた謝罪が再び漏れ出た。
気を取り直して、正々堂々のババ抜きが始まる。結果は呆気ない負けだった。
勝数の記録に、手元には空薬莢が並べられていく。私のものははじめのひとつきりで、ふたりの手元には2、3の空薬莢がカラリと転がっている。その数だけ「もう1戦!」と挑んでも、いつも私の手には"Joker"があった。
「なんで??」
「また負けたのか漂流者!? ダッハハハ!」
「やはりお前は分かりやすすぎるんだ、表情が」
「表情
……
」
「クールなツラに似合わずピュアだよなあ、ソコが良いんだけどヨ」
肩を揺すって笑うQuincyが場の札をまた集める。Lettieから連絡が入り、そろそろ出撃の時間だ。
「ああ、もうひとつ勝因を明かすとするならば」
ArthurはQuincyの握るトランプ束から、スッと1枚抜き取り裏を見せた。
「ええ、ちょっと、インクが滲んでるじゃん!」
「ゲ、」
「次またカードゲームをするなら、Quincyの"King"は持ち込み厳禁だ」
「
……
Quincy?」
「アー、オレちゃん用事思い出しちまったヨ、じゃあな!」
「ハァ
…………
」
サッと愛銃を担いだQuincyはAmir顔負けの速度で走り去り。Arthurの深いため息がモールの薄暗がりにこだました。
後日、Quincyに「Eleanorに『転移』ポーカー挑もうぜ」と連れていかれたが、天性のカードゲーム下手が証明されただけだった。
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