傘道
2025-10-01 21:54:28
2523文字
Public ビリイト
 

夜のお喋り、お供はティーミルク

znzr二次創作100本投稿記念企画で、リクエストまたはお題ガチャの小説を執筆いたします。
今回は🔫🔦でお題は「日頃慌ただしくしていても、一緒にお茶をする穏やかな時間を大切にする🔫と🔦」です。

風呂上がりに化粧水と乳液でお肌のケアをしたニコはリビングがまだ明かりが付いているのに気づいた。
美容のために長風呂するニコは最後にお風呂に入る。
今日は任務でみんなクタクタになって、明日も朝早くから依頼をこなすハードスケジュール。
お風呂に入ったらすぐに寝る。
明日の依頼に支障が出ないようにそう決めて、真っ先に猫又がお風呂に入った。
うつらうつらと船を漕いでいる猫又の髪をニコが乾かしている間にアンビーがシャワーを浴びる。
ビリーはどうするの?とビリーに聞いたら、やけに慌てた様子で「俺、明日の朝浴びる!」と答えたのでアンビーの次にニコが風呂に入る番になったのだ。
猫又はドライヤーをかけた後に毛繕いをして寝てしまったのを風呂に入る前にニコは見ていた。
アンビーは夜更かしをしないで明日の依頼に備えそうだ。
となるとリビングで夜更かしをしているのは
「ビリー!明日早いのよ!とっとと寝なさい!」
ニコがリビングへの扉を乱暴に開けた。
「うぉ!」
やっぱりビリーだった。
寝巻き代わりのスウェット姿でソファに座っていた。
テーブルにはスターライトナイトのイラスト付きマグカップ。
眠れなくてホットミルクを飲んでいるわけではないことはマグカップの中に入った液体の色でわかった。
ストロベリー味のティーミルク。
そしてスマホスタンドに立てかけてあるビリーのスマホの画面は光り輝いている。
スマホの画面を見ながらティーミルクを飲む。
夜更かしする気満々であることは明らかであった。
「なんでシャワー浴びるの明日にしたのかと思ったら
「あはは
片手を挙げて引き攣った笑みを浮かべた機械人をニコはキリッと睨む。
ねぼすけさんを起こすアンビーのことも考えなさいよ!とニコはズカズカとリビングに入る。
一体スマホで何を観ようとしたのか?
気になったニコがスマホを覗き込もうとしたその時。
「パイセン?」
心配そうな男性の声がスマホから聴こえた。
画面に映っていたのはキョトンとした顔のチャンピオンだ。
サボテンが描かれたマグカップを持って固まっている。
どこか気まずい空気が流れる。
郊外にいるカリュドーンの子のメンバー、ライトとビデオ通話をしていたのだ。
ライト。
ビリーの後輩である。
そしてそれだけの関係ではないこともニコは知っていた。
ビデオ通話とティーミルク。
ニコは全てを悟った。
「ビリー。」
「は、はい!」
ビクリと大きくボディが跳ねたビリーが叱られるのではないかと震えた声で答えた。
しかしニコの表情に怒りはなかった。
ため息を吐いて、額に手を当てている。
それは失望によるものでない。
「通話終わったらシャワー浴びて、事務所の戸締まりしなさい。明日、ちゃんと起きるのよ。私はもう寝るから、思いっきりイチャつきなさい。」
背を向けたニコはどこか呆れた様子でビリーに手を振る。
リビングの扉が閉まる音がやけに大きく聴こえた。
静寂が訪れた後、スマホの画面から後輩兼恋人が話しかけてきた。
「もしかして明日早いんすか?」
「あぁ。朝から依頼だ。」
「だったらこれ中止にしてもよかったのに。」
「良くねぇよ!忙しい時ほどこういうの必要だろ?のんびり話してお茶する時間がさ。」
なんか論理コアがスッキリする気がするんだとビリーはピンク色のティーミルクを飲んだ。
そういうものなのかとライトはマスカット味のティーミルクを飲みながら考える。
ビリー・キッドとライトは恋人である。
しかしビリーは新エリー都、ライトは郊外に住んでいてお互い忙しい日々を送っている。
所謂、遠距離恋愛だ。
距離が離れているせいか、それともお互い死と隣り合わせの仕事柄か。
声が聴きたい。
一目見たい。
その想いは日に日に強くなっていく。
だから二人は決めたのだ。
定期的にビデオ通話をしてお茶を楽しむ時間を作ろうと。
「俗に言うとあれだ。オイルみたいにライト成分を補充しないといけないんだよ。」
「人を成分扱いしないでくださいよ。それだったら俺はパイセン成分不足になるじゃないですか。」
「パイセン成分ってなんか変な単語だなぁ。」
第三者が聞いたらくだらない会話だと思うかもしれない。
それでもこの会話ができる空気が好きだった。
「明日の朝、起きられるかなぁ。」
「頑張って起きてくださいよ。何時に起きないといけないんですか?」
「出発前に娘たちのチェックしたいから6時?」
自分で計算して、計算結果にしょんぼりする恋人にチャンピオンは何か思いつく。
「俺がモーニングコールしてあげましょうか?」
「へ?」
「優しい後輩が起こしてあげますよ。」
愛おしそうに微笑みながら、ライトはマグカップに口をつけた。
フレッシュながら甘いティーミルクが喉を潤す。
恋人からのモーニングコール。
ちょっぴり憧れていた恋人がすることに論理コアが心臓のように鼓動する。
「それは名案だな!頼んでもいいか!?あ、でも早起きしてライトは大丈夫か?」
「早く起きたらトレーニングでもしますよ。チャンピオンが鈍ったらいけないんでね。」
ビリーはマグカップの中のティーミルクを見つめる。
明日、頑張って起きれば恋人からのモーニングコール。
朝から恋人の声が聴けたら、それだけで依頼はパーフェクトにこなせる。
「明日の6時に頼んだぜ。これで二人揃って寝坊したら笑うけどな。」
「だったらどっちがモーニングコールできるか勝負しません?」
「勝負?それだったら負けねぇよ。絶対、6時に起きてやる!」
楽しい恋人との約束。
マスカットとストロベリーのティーミルク。
明日ちゃんと起きれますように。
たわいもない会話をした後、二人はマグカップを軽く洗って拭いてからホットミルクを作った。
ポカポカと温まるのを感じながら恋人を見つめて。
おやすみと言うまで。
二人の夜のお喋り、お茶会は続いた。
勝負の結果は朝を迎えるまでわからない。



どんなに忙しくても貴方の声が聴きたい。
貴方とお喋りしたい。
甘いお茶と一緒に。
のんびり話した夜が明けたら。
甘くて爽やかなモーニングコールが届く。