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三毛田
2025-10-01 21:51:56
1069文字
Public
1000字5
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32 032. 違う人じゃ意味がない
32日目
君じゃないと、意味がない
「
……
その感情を向ける相手は、別に、俺じゃなくてもいいだろう」
「よくない! 丹恒じゃないと、駄目なんだ! 違う人じゃ、他の人じゃ、意味がないんだよ
……
」
逃がしたくなくて、離れようとする手を掴む。
それが伝わったのか、驚いたように肩を震わせ。
それから、必死に俺の手を振りほどこうとする。でも、俺が離すわけがない。
「穹、離してくれっ」
「やだ!」
無理に押し付けるつもりはなかった。けれども、逃げようとするのならば話は別だ。
焦っている、必死な表情。こっちだって、逃さぬよう必死だ。
「ううう
……
なんで、わかってくれないんだよ
……
」
やけっぱちの八つ当たりの声。
わかっている。こんな一方的すぎる感情など迷惑でしかないと。
それでも、丹恒が好きなのだ。
「好き!」
「お前のその感情は、一時的なものだ」
どうして。
そう叫びたいのに、唇は張り付いて、喉が渇いていて何も言えない。
「一時的なものじゃない。それだけは、確かなんだよっ」
何もわからない。知らないけれど、それだけははっきり言えるのだ。
「俺じゃない方がいい」
「お前じゃなくちゃ、意味がないんだよっ」
さっきから、互いに主張が変わらない。
丹恒は、自分じゃない方がいい。その一点張り。俺は、彼じゃなくちゃ意味がない。それだけは譲れない気持ち。
「なの!」
「な、何で気づいたの!?」
まさかなのが資料室の入り口にいるとは思っていなかったのか、丹恒は驚いたように目を丸くして。
なのもなので、俺に気づかれているとは思っておらず、驚いた声を上げ。
「み、三月
……
」
「丹恒。諦めた方がいいとウチは思うよ」
「だが」
「この子、アンタが思うよりも頑固だよ。受け入れろとは言わないけど、その気持ちを否定するのは駄目だと思うんだ」
第三者の意見を聞けば、丹恒も少しは考えを改めてくれるのでは? と思い、彼女に話を振る。
と、説得とまではいかないものの、諦めろと言うように首を横に振り。
「だが」
「絆されちゃった方が、きっと楽だよ。すぐにとは言わないけどさ、きっと丹恒にもウチの言葉の意味がわかる日は来るから」
困惑するポンと肩を叩き、『お邪魔しました~』と小さく告げてそうっと資料室を出ていく。
「というわけで」
「どうしてそうなる」
「まあまあ」
俺が手を離すと、呆れたような諦めたようなため息を一つ。
「丹恒じゃないと、意味がないんだ」
今度はそっと手を掬い上げ、指先にキス。
「穹」
「それだけは揺るがない。覚えておいて、丹恒」
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