sousakuyamamusume
2025-10-01 19:44:31
816文字
Public Dr. ドゥーム
 

迷子

迷子のケリーさん

 機械の駆動音に混じって、不安げな足音が聞こえる。
 立ち止まってはどこかへ行き、また不安気に部屋の前で立ち止まる。
 ケリーだろう。この城において『人間』は、何かしらの事態がない限り余とケリーしかいない。
「あ、陛下……。」
……何用だ。」
 先ほどから進まないペンを所定の位置へ置き、尋ねる。
「あの、部屋に戻ろうとしたら迷子になってしまって……。」
……そうか。」
 おおかた、そんなことだろうとは思った。
「あの、仕事中だったのでは。」
「問題ない。」
 立ち上がり、彼女の居るドアの方へ向かう。
 彼女の表情は……申し訳なさの中に、うれしさがにじみ出ている。