おれの頭はずっと戦争状態だ。頭の中でどっかんどっかん煩くて、そうかと思えばみんな死んじまったみたいに静かだ。それは音だけじゃなくて、目で見ている筈のものも、本当に目の前に在るのかどうか、なんなのか、さっぱりわからない。
つまり何が現実で何がおれの恐怖なのか、おれ自身が判断しなきゃならない。
だからおまえもおれの恐怖でしかない、そうだろう。なあ、リッパー。
▷リッパー?何それ。
▷ さあ。どうでしょうね。
▶︎ リッパー?何それ。
ああ。そう。はは。
そうだな、悪かったよ。ジャック。
▷ジャック?誰?
▷それで許してほしいんですか?
▶︎ジャック?誰?
誰、だって。
おまえこそ誰だ。
おれのリッパーじゃないなら消えろ。
bad end
▶︎それで許してほしいんですか?
はは。
許さなくて良いさ。ずっと。
おれはずっと許されてはいけない。
▷何を言っている?
▷なら、花でも買いに行きましょうよ。献花、ってやつです。
▶︎何を言っている?
勿論、分からなくても良い。許さなくて良いように。
分からずとも、おまえはずっとおれと一緒だ。
bad end
▶︎なら、花でも買いに行きましょうよ。献花、ってやつです。
なんだよそれ、おまえが花が欲しいだけだろう。
けど。
良いぜ。
▷あっちの狭い道に入ってみましょうよ、こういう路地にあるお店のほうが、良い商品があるかもしれませんよ。
▷あっちの大通りに行きましょう、ああいうところにあるお店こそ、良い商品があるのは当然です。
▶︎ あっちの狭い道に入ってみましょうよ、こういう路地にあるお店のほうが、良い商品があるかもしれませんよ。
ああ、良いぜ。
薄暗くて、俯いて歩く人間ばかりだな。
とても献花用とは思えないような植物の匂いがするばかりだ。
おまえが言っていた花ってのは、こういうことなのか。おれが薬漬けになって恐怖し苦しみ続けることが、献花になるってことか。
おまえがそう言うなら、これも良いかもな。
bad end
▶︎あっちの大通りに行きましょう、ああいうところにあるお店こそ、良い商品があるのは当然です。
ああ、そうするか。
誰も彼もが、前を向いて歩いている。
なのにおれに気が付くと、途端に顰めた顔を逸らして、おれのことを避ける。
それでも花屋に着いた。
なに、なんだ?
は、おれみたいなやつが店には迷惑だってさ。入ることすら拒まれて、大通りからも離れろだってさ。
おまえが言っていた花っていうのは、こういうことか。
確かに誰からも許されず、人から拒絶され続ける。そうして恐怖していることが、おれからの献花になる、って。
良いだろう、おまえがそう言うならな。
bad end
▶︎ さあ。どうでしょうね。
はは。つれないな。
けどそれで良い。おまえはそれで良いんだ。
▷そう。そうです。何せわたしは、おまえの幸せを願っていますからね。
▷何自分勝手に納得してるんですか。おまえが満腹になるには、まだ早いでしょう。
▶︎そう。そうです。何せわたしは、おまえの幸せを願っていますからね。
は?
何言ってるんだ。
お前。
誰だ。
おれのリッパーはおれのためにそんなこと言わないんだよ。
bad end
▶︎何自分勝手に納得してるんですか。おまえが満腹になるには、まだ早いでしょう。
ん、そうか。
おまえはおれのことを良く分かってるな。
何か食うか。
▷真っ赤な林檎、お好きでしょう。
▷火が怖くないのなら、調理して人間らしいことをしてみては。
▶︎ 真っ赤な林檎、お好きでしょう。
そうだな。
ああ、これは。
林檎を齧って禁忌に触れる、なんてこと。
本当にあるんだな。
ああ、意識が遠退くよ。
bad end
▶︎ 火が怖くないのなら、調理して人間らしいことをしてみては。
は、お気遣いどうも。
料理の火なら、問題ない。
そういえばこの食材、そろそろ丸齧りするには危ういな。火を通してしまおう。
ああそうか。何事にも恐怖心と警戒心を抱くことは、決していけないことじゃあないんだな。
おまえはそれを教えてくれたのか?
なあ、おい?
どこだ?
true end
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